菅田将暉と土屋太鳳のW主演映画『となりの怪物くん』で、若者たちの恋模様を見守る保護者的立場の大人を演じた速水もこみちが、俳優業での新たな挑戦と、料理の世界での活躍について語った。

一歩引いた役回りが新鮮

Q:「若い人たちを見守る」タイプの役は初めてだそうですね。

生徒役とか後輩役はあるんですが、見守るという役回りはなかったです。新しいチャレンジでした。20代だったらできなかった、今の僕の33歳という年齢に合った役だと思います。原作を読ませていただいたときに、僕が演じたみっちゃんはみんなから一歩も二歩も引いた位置から見ていると思って、実際に僕自身も同じような状況だったら同じように行動するだろうから、共感する部分が多々ありました。

Q:みっちゃんはずっとサングラスをかけているのが印象的です。

原作ものでは忠実にやるように努力しています。ずっとサングラスで目が隠れていて何を考えているのかわからないという、原作のみっちゃんの感じが良かったので、途中で外す案もあったのですが、(月川翔)監督とお話ししてやめました。その分、シーンごとにサングラスを変えて表情をつけています。

Q:撮影現場では、年下の俳優さんたちとどんな交流をしていましたか?

僕は自分から行くタイプではないので、わりと端っこのほうでみんなを見ていました。ですから、撮影現場の環境が役の設定と合っていました。みんなと一緒に花火をしたいと思ったりもしましたが(笑)、そこは菅田くん演じる春の保護者的立場からぐっと抑えました。ある意味、映像で仕上がる前に、自分が一観客としてみんなの青春模様を眺めて、楽しんでいたかもしれません。監督も自由にやらせてくださって、いいバランスでみんなとの距離感ができて、居心地が良かったです。それに、土屋さんや池田(エライザ)さんは、けっこう話し掛けてくれました。

Q:どんなお話をされましたか?

土屋さんは「母が毎日『MOCO'Sキッチン』を拝見しています」って言ってくださったので、「ママによろしくお伝えください」って(笑)。あと、お肉がお好きだそうで写真を見せてくれたんですけど、すごく男っぽい感じに撮ってあって。池田さんの写真がとてもオシャレだったから、同世代なのにギャップがあって面白かったです(笑)。それぞれ個性があって素敵ですよね。

Q:料理番組を持ち、レシピ本の出版はもちろん、キッチンツールのプロデュースなどもされていますが、俳優業とどのように両立しているのでしょうか。

俳優業はセリフを覚えて芝居という形で表現しますが、僕は知的興味を持った事柄を視聴者の方と一緒に勉強して、自分から発信するということをやりたかったんです。料理自体はもともと好きでしたので、最適だと思って料理番組をやらせていただきました。どちらも違った魅力がありますね。視聴者の方の反応もぜんぜん違って面白いです。映像はたくさんの人がたくさんの時間を掛けて作りますが、料理は感動の反応が早いです。たとえば買い物に行ったときに「今日の放送を見ました。美味しそうでした」と言っていただける。視聴者との距離が縮まった感じがします。

軸足は決めていない

Q:軸足は、俳優と料理のどちらなのでしょうか。

決めてないです。観てくださる方のイメージ的には料理のほうが強いかもしれないですけど。料理という行為は生活に欠かせないし、人が生きるためのエネルギーでもあるので、絶対になくならない。幸せの運び方が俳優業とは違いますね。そもそも僕はひとつのことだけじゃなくて、あれもこれもチャレンジしたいと思っています。好きなこともいっぱいあって、人がどんな形でこんなふうに成長したんだろうとか、どんなアイディアでこれが生まれたんだろうということにすごく興味がある。歴史とかも含めて、これを作っている裏側はどうなっているんだろうなと。活動の場を料理に広げたのも、そういうところからきているのかもしれません。

Q:今後、俳優業はどういう形で続けていきたいですか?

自分で決められるものではないので、タイミングとめぐり合わせですね。ただ、30代になって物の考え方も変わってきているので、もっと自分に見合ったものを探していけるといいなと思っています。映像ものに関しては、複雑なものよりキラキラしたシンプルなもののほうが好きです。その意味でも、この映画の前向きな感じはすごく好きです。出てくる人たちがみんな純粋で、傷つきながらも歩んでいく成長物語ですから。

ヘアメイク:池上豪(NICOLASHKA)

スタイリスト:吉野誠

取材・文:早川あゆみ 写真:日吉永遠