文=三栖かおる/Avanti Press

日本映画をハリウッドでリメイクした作品『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』が5月11日に、ハリウッド映画を日本でリメイクした作品『50回目のファーストキス』が6月1日に公開されます。国境も文化も時間も超えて新しく誕生した2つの作品をもとに、日本とハリウッドの違い、それぞれの魅力について考えてみましょう。

あの名作ロマンティック・コメディを日本でリメイク!?

アダム・サンドラーとドリュー・バリモアのダブル主演で、記憶障害の女性と、一途な愛を貫く男の恋愛を描いたロマンティック・コメディ『50回目のファースト・キス(原題:50 First Dates)』は、2004年にアメリカで公開され、全米初登場1位を獲得しました。

映画『HK変態仮面』や、下ネタやアドリブを取り入れた演出で多くの人を笑わせたテレ東系深夜ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズなど、コメディを撮ればハズレなしの福田雄一監督が初めて恋愛映画のメガホンを取りました。山田孝之&長澤まさみを主演に迎え、ハワイに暮らす“日本人”設定に変えてハワイロケを敢行!

ツアーガイドのアルバイトをしているプレイボーイの大輔は、現地に暮らす記憶が1日でリセットされてしまう女性・瑠依に一目惚れ。記憶を1日しか保てない彼女のために、あれこれと工夫をこらす山田孝之がコミカルであり、その懸命さに心を打たれます。

痒い所に手が届く、見事なストーリー展開

『50回目のファーストキス』 (c)2018 『50回目のファーストキス』製作委員会

ハリウッド全盛期の作品を日本映画としてリメイク。予算的にもスケールダウンしてしまうし、原作との違いにガッカリする準備もしていたのですが、全て杞憂でした。主人公のナンパな感じやロマンチックなセリフも、日本人キャストが演じることでどこか身近に感じられます(山田孝之さん、英語も上手!)。

ハワイという場所や時間の設定が上手く馴染み、むしろ原作よりもリアリティがあって、そこに「福田節」とも言えるコメディの要素が加えられ、笑いあり涙あり、最初から最後まで楽しめる作品に仕上がっています。

日本に暮らす私たちにとって、ほとんどのハリウッド作品は異文化圏の物語。自覚することはなくても現実味が足りていなかったのかもしれません……。日本版『50回目のファーストキス』は、日本人がハリウッド作品を観るときに足りていなかったであろう部分を見事に補填してくれていました。

日本映画がハリウッドでリメイクされたら、スケールアップするのか?

『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』(c) 2017 MIDNIGHT SUN LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

太陽の光に当たれない病気“XP”を抱えた少女の恋を描いたYUI主演の『タイヨウのうた』(2006年)をハリウッドがリメイクしたのが『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』。

幼い頃から昼間は家から出られず、学校にも通えない日々が続いていたケイティの唯一の楽しみは自室の窓から初恋の人・チャーリーの通学を見守ること。高校生になったある夜、ケイティは駅で弾き語りをしている時にチャーリーと出会い、彼には病気のことを隠したまま、次第に二人は恋に落ちていく……。

ヒロイン役をドラマ「シェキラ」のベラ・ソーンが演じ、恋人役チャーリーを演じるのは、あの『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツェネッガーを父に持つパトリック・シュワルツェネッガー。家族構成や2人の出会い方など、原作との設定の違いはありますが、ハリウッドらしいテンポの良さとスケール感でストーリーが進みます。

“日本が輸入した映画”と“日本が逆輸入した映画”。

『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』(c) 2017 MIDNIGHT SUN LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ストーリーの題材的に、これぞハリウッド! というような豪快な演出は見られないものの、原作にはなかった父親との深いつながりの描写は家族愛の強いアメリカならでは。アメリカの広大な景色の中で一生懸命な2人がとても美しく、ロマンチックさが増して、悲しい映画が苦手な人にも観やすい内容に仕上がっています。

日本がハリウッド映画を原案として“輸入”した『50回目のファーストキス』に対して、この『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』は、日本の製作者の働きかけによりハリウッドに“輸出”されたという経緯があります。つまり、今回の公開は“逆輸入”形式。その影響か、キャスティングから随所に“日本人受け”の配慮が感じられました。人物設定は違ってもストーリー起承転結はほぼ原作と同じ。『タイヨウのうた』がアメリカのティーンエイジャー版になって帰ってきたという印象でした。

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)などを手がけるJ.J.エイブラムスが製作指揮をとり、新海誠監督の大ヒットアニメ『君の名は。』(2016年)のハリウッドでの実写化が決定しており、今後どんどん増えるであろうリメイク映画。“輸入映画”や“逆輸入映画”が新しいジャンルに加わる日も近いかもしれません。

皆さんは、どの作品のリメイクが観たいですか?