香港で20万人以上の動員を記録した大ヒット映画『29歳問題』が、5月19日より公開されます。同作はタイトルの通り、30歳の誕生日を目前に控えた29歳の女性・クリスティが主人公。クリスティはすべてうまくやっているつもりでしたが、仕事のプレッシャー、彼氏とのすれ違いや家族の問題がのしかかり、気づいた頃には袋小路になってしまうのです。

同作に限らず、29歳の女性を描いた作品は国内外にいくつも存在します。このことからも、この年齢が一部の女性にとって特別なものであることがわかります。彼女たちにはどんな壁が存在し、どんなことに心を砕いているのでしょうか。ここでは映画やドラマを参考に、女性の“29歳問題”に迫ります。

気づけばすべて失い“イタイ女”に!?-『29歳からの恋とセックス』

男女の価値観の違いや、思いの差を描いた『(500)日のサマー』(2009年)。同作の製作陣が、29歳が内に秘めている葛藤をあぶりだした映画が『29歳からの恋とセックス』(2012年)です。

主人公のローラは長く付き合っていた彼氏・ルークとの結婚が決まり有頂天。しかし式の準備が進むにつれて結婚が恐くなったルークから突然、婚約破棄を言い渡されます。これを機に迷走しはじめるローラは、ヤケ食い・ヤケ酒にとどまらず、ルークの友達や知り合ったばかりの男と次々に関係を持ってしまうのです。

けれど思い出すのはいつもルークのことで、焦燥感は増す一方。やがてローラの軽率な行動が原因で、ルークとの関係は完全に修復不可能に。同時に大切な友達も失ってしまいます。

日本の29歳の葛藤を丁寧に描く-「29歳のクリスマス」

日本を代表する“29歳問題”作品といえば「29歳のクリスマス」(1994年・フジテレビ系)。20年以上前のドラマですが、描かれている“29歳の姿”は今に通ずるものがあります。

ストーリーは、主人公の典子が29歳の誕生日に恋人に振られ、左遷されるなど散々な1日を迎えたことから始まります。「30歳の誕生日には幸福になってやる」と誓う典子ですが、その後出会った御曹司からプロポーズを受けても、「自立したい」という強い思いから、簡単には要求に応えません。一方、典子の親友である彩と賢も、それぞれ仕事や一筋縄にはいかない恋愛に悩んでいました。2人は互いを慰めるうちに、一夜の関係を持ってしまい……。

典子も彩も、幸せに“してもらう”ことに違和感を覚えているものの、実力や自信が十分でないために自立しきれず、悩みもがく様子がとにかくリアルです。

押し寄せる老化も人生の楽しみ-『アデライン、100年の恋』

『アデライン、100年の恋』(2015年)は、史料館で働く29歳のアデラインが主人公。誰もが認める美貌と知性、ユーモアを兼ね備えたパーフェクトな女性ですが、実は29歳のまま100年以上生き続けている不老不死だったのです。

アデラインは大晦日のパーティで、エリスという青年と恋に落ちます。2人はエリスの実家に向かいますが、そこにいたエリスの父親・ウィリアムは、なんとアデラインのかつての恋人でした。自分が背負った秘密のせいで、ウィリアムとの関係を絶たざるを得なかった過去を持つアデラインは、今回もエリスとの大切な恋を手放そうとするのですが……。

老化が止まったままのアデラインは一見羨ましく思えますが、自分の娘だけが老いていく姿を目の当たりにしたり、かわいがっていた老犬があの世に行ってしまったりと、一人だけ時の流れから取り残される苦悩が描かれます。

若さを保つことばかりを考えてしまいがちですが、ラストでアデラインが見せる微笑みからは、好きな人と一緒に年を重ねることの幸せ、老いることの大切さが伝わってきます。

(c) 2017 China 3D Digital Entertainment Limited

『29歳問題』の主人公・クリスティが背負っているのは、順調に積み上げたキャリアによる重圧、今までと同じやり方では立ち行かない恋愛、大きく見えていたはずの父親の小さな背中など……こうした悩みから、クリスティにとっての29歳は、それまでとは世界の見え方が変わってくるタイミングであることが見て取れます。

クリスティも他作品の29歳と同様に迷い苦しみますが、そんな時に見つけたのは、同じ年齢で同じ誕生日のティンロという女性の日記でした。同年齢でありながら、自分とは違う気ままで楽天的なティンロの日常に、クリスティは次第に心惹かれていくのです。

本作の監督を務めるのは、香港を代表する女性クロス・メディア・クリエイターのキーレン・パン。初演以来13年間演じ続け、ロングランヒットを飛ばしている人気の一人芝居を、このたび自ら映画化しました。

女性たちのリアルで繊細な心の機微を描きながら、全編にチャーミングな仕掛けが施されており、世代に関係なく明るく爽やかな気持ちになれる一作に仕上がっています。クリスティが“29歳問題”を突破する姿を、ぜひ劇場で見届けてください。

(c) 2017 China 3D Digital Entertainment Limited

「29歳問題」
5月19日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
(c) 2017 China 3D Digital Entertainment Limited
配給:ザジフィルムズ/ポリゴンマジック

(鈴木春菜@YOSCA)