エッセイ「ブスの瞳に恋してる」などの著者としても知られる放送作家・鈴木おさむが、脚本&初監督を務めた大人のラブコメディー。映画単独初主演を飾った吉田羊と、その親友を演じた大久保佳代子が、恋と友情について語った。

すてきなコンビネーション

Q:お二人はこれが初共演ですが、お互いの印象を教えてください。

吉田羊(以下、吉田):大久保さんはとてもニュートラルに、肩の力の抜けた状態でいてくださいました。お芝居というより、大久保さんの言葉としてセリフを言ってくださったので、わたしもフラットに「会話」ができました。

大久保佳代子(以下、大久保):羊さんは、クールなイメージがありました。でも、実際にお会いしたら距離感がとても心地よい。ざっくばらんどころか、ざっくばらばらばら、みたいな(笑)。「芸人寄りだよね」って羊さんにも言いました。

Q:吉田さん演じる飛鳥と大久保さん演じる千種は、とても素敵な友人関係でしたが、素の関係性ゆえだったんですね。

吉田:絶対そう。大久保さんとしか成立しなかったと思います。

大久保:飛鳥とケンカしたシーンで、「行かないで」って気持ちが持てたのは、半分は羊さんに対する気持ちだったと思います。

吉田:わたしも「この人を失いたくない」って思いました。

大久保:なんていいコンビネーション(笑)!

3つそれぞれの恋

Q:飛鳥が落ちる3つの恋について、お二人はどう感じられましたか?

吉田:わたしはお仕事で評価されたいから、(吉田)鋼太郎さん演じる職場の上司・淡井さんへの気持ちに一番共感しました。仕事を認められるだけで相手が2割増しいい男に見えます(笑)。

大久保:確かに。仕事としても女としても認められたら2倍うれしいですね。結局淡井さんには奥さんがいるんですけど、入り口としては一番惹かれます。

吉田:千種の思い人でもある、玉木宏さん演じる野村との恋は、個人的にはないです。親友を傷つけることは絶対に嫌。自分が本当に心を開ける相手は裏切りたくないです。確かに野村さんの全力さは魅力ですけど。

大久保:玉木さんは人の目をまっすぐ見るし、あの声と肉体美だったら落ちちゃうかもしれません。赤いランニングがお似合いですけど、カッコいいギリギリのラインだと思いました(笑)。

吉田:ふざけてないから成立するんですよね。淡井さんの生クリームを使って口説くシーンもですけど、台本だと「こんな恥ずかしいこと、できるかい」って思うんです。でも、飛鳥のセリフにあるように、ロマンスを演出されると、こっちもそれを演じ始める。乗らないと損な気がして。うまく女性心理を描いていると思いました。

大久保:キャスティングも絶妙ですよ。鋼太郎さんの派手な服と玉木さんのキザな行動でも二枚目に見えるんだから、すごい。

吉田:その意味でも、お二人とも俳優として素晴らしいんですよ。

Q:野村周平さん演じる、年下の同僚・星矢との恋は?

大久保:野村くんは罪作りな男の子です。

吉田:人の懐に入るのが上手い。大久保さんは翻弄されていました(笑)。

大久保:休憩時間、彼が和室で昼寝しているところを通りかかったら、「大久保さん、ここ空いてるよ」って自分の隣を指すんですよ! 年上だから余裕こきたいのに、恥ずかしくてドギマギしちゃいました。

吉田:わかってやっていますからね。イケメンずるいわー(笑)。わたしに恋をする役だったので、撮影の合間も「羊さんかわいい」って褒めてくれました。でも一方で「大久保さんかわいい」って言っているのを聞くと、普通に飛鳥としてやきもち焼いちゃいます(笑)。

恋をしたい女性に

Q:大人の女性として、恋をしたい女性にアドバイスをいただきたいです。

大久保:結婚してないけどいいですか(笑)? 年を取ると恋に飛び込むエネルギーがなくなってきます。1人って楽だしね(笑)。この先、もし恋を探しに行くとしたら、完全武装して出掛けます。

吉田:若いときは狩猟体質で自分に興味のない人間こそ追いかけるという、無茶な恋愛をしていましたけど、年を重ねるといかに自分が楽なのかが基準になってきます。恋愛に限らず、お仕事のパートナー選びでもそうです。それがなかなかできないんだけど(笑)。少なくとも、誰といると気持ちがいいかは、自分の心に聞けばわかるはず。そうすれば、自然と出会いの可能性は高くなるのかな。

大久保:ずっと友達だと思っていた人が、実はそうかもしれないですよね。一度ちゃんとオスとして見てみるのも必要かも。

吉田:オスって(笑)。でも決めてかからないことも大事だと思います。

Q:大人向けの恋愛映画が少ない時代に、この映画の持つ意義をどう感じますか?

吉田:これまでは「若さこそ正義」という、我々にとって氷河期みたいな時代でした(笑)。最近はナチュラルに生きているアラサー、アラフォーの女性もすてきだよってメディアが取り上げてくれるので、生きやすくなった気がします。だからこの映画が、大人の女性も「恋がしたい」って胸を張って言える入り口になったらいいなと思います。そういう時代の流れができたら、(鈴木)おさむさん、してやったり(笑)。

大久保:ロマンチックなことをされると女性は年に関係なくキュンとするんだって、男性陣に知ってほしいです。若い子は「やだー」とか言うけど、おばさんはちゃんと乗るから(笑)。

吉田:基本女性向けの映画ですが、男性にも恋愛の指南書として観てもらいたいです。

取材・文:早川あゆみ 写真:日吉永遠