日本刀を男性に見立てた「刀剣乱舞」や、戦艦を女性キャラ化した「艦隊これくしょん -艦これ-」など、ひとつのジャンルとして確立されている“擬人化”作品。乗り物や動物など、形あるものを人に見立てるのはもはやポピュラーで、最近では建築用語を擬人化したマニアックなものまで登場しています。そんな擬人化ブームの最先端をいく「ひらがな男子」をご存知でしょうか?

バカリズムに「芸人としてだけではない魅力」感じる ドラマ製作者が語る才能

お笑い芸人×ミュージシャン×アイドルが“ひらがな”を擬人化!

(C)Nippon Television Network Corporation

「ひらがな男子」とは、読んで字のごとく、“ひらがな”を男性に見立てたキャラクター。例えば、ネガティブな意味合いを持つひらがなの“ふ”は“不幸で不憫なフリーター”という設定となり、また動詞の語尾につくと否定の意味となる“ぬ”は、世界を“ぬ”という文字で塗りつぶそうとする悪役的な役割が与えられるなど、ひらがなの持つそれぞれの特徴が、キャラクターの性格にも反映されています。

かなり奇抜なアイディアのこの「ひらがな男子」は、人気深夜番組「アイキャラ」(日本テレビ系)の企画として、お笑い芸人のバカリズム、ロックバンド「Base Ball Bear」の小出祐介、アイドルグループ「でんぱ組.inc」の夢眠ねむの3人によって生み出された異色のキャラクター。2017年秋には、番組の枠を飛び出し「ひらがな男子 いつらのこゑ」という名でアプリゲーム化。梶裕貴や杉田智和といった人気声優が共演すると、ダウンロード数20万を超えるヒット作となり、そしてこの度『劇場版 ひらがな男子~序~』(公開中)として、映画公開まで実現させてしまった一大プロジェクトなのです。

ひらがながスクリーン越しに応援を要求? トンデモ満載のバカリズム脚本

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企画の成り立ちだけでも十分規格外ですが、映画はさらにとんでもないことのオンパレード。

あらゆる文字がなくなってしまい、人々が不便な生活を送る世の中を舞台に、ひらがなの第一席である明るい性格の“あ”が、うさんくさい占い師の“う”といった仲間たちとともに、世の中に散らばるひらがな男子を探し求めるというSF冒険奇譚です。

また、観客参加型の応援上映スタイルとして制作された本作の脚本は、キャラクターの生みの親であるバカリズムが担当。ただし、「応援上映についてあまり知らなかった」とバカリズム本人が語るようにそのスタイルはかなり掟破り。

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キャラクターがアニメ内と現実世界の境界である“第4の壁”を超えて、しきりに応援を要求してくるというのは当たり前。さらに、ひらがな男子の体にあるという文字の形をしたあざを探す場面ではスクリーン下部に「背中に(あざが)あるよー!」という字幕が現れるように、応援してほしい内容がテロップで表示されたり、キャラクターがアニメのお約束をいじったりと、既存の型にはまらないやりたい放題な内容となっているのです。

擬人化という限定的なくくりの中だけでなく、映画としても最先端を行く「ひらがな男子」。「ひらがなを応援する」という字面だけでは何のこっちゃ分からないこの体験を、実際に劇場で味わってみてはいかがでしょうか?

(文/ケヴィン太郎・サンクレイオ翼)