心の自由を求めてもがく43歳の独身女性・節子の姿を、ユーモアを交えて赤裸々に描き、海外で高い評価を受けた『オー・ルーシー!』が、4月28日に日本公開される。節子を演じるのは、寺島しのぶ。『キャタピラー』(2010年)で日本人として35年ぶりにベルリン国際映画祭・最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞した国際派女優だ。

『オー・ルーシー!』では、米アカデミー賞の前哨戦のひとつであるインディペンデント・スピリット賞の主演女優賞に、『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンド、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のマーゴット・ロビーらとともに候補入りを果たした。日本はもとより、世界にその名を轟かせる、寺島しのぶにお話を伺った。

ほかの女優さんの顔が浮かんだときはやらない

Q:『オー・ルーシー!』に関わることになった経緯を教えてください。

平栁敦子監督が私を選んでくださって。そこからすべてが始まりました。

Q:寺島さんがオファーを快諾された後、ほかの俳優さんたちの出演が決まったのですね。

役所広司さん、ジョシュ・ハートネットさんと、どんどんと豪華な方々の出演が決まって。もしかして、良い映画になっちゃうんじゃないか? と思いました。役所さんは大変お忙しい中で『オー・ルーシー!』の撮影期間だけ、スケジュールが空いていたそうです。監督はすごく(運を)持っている方だと思います。『オー・ルーシー!』は、作品が持つ運のようなものもあります。アメリカだけでもたくさんのインディペンデント作品がある中、日米合作の『オー・ルーシー!』がインディペンデント・スピリット賞の作品賞と主演女優賞の候補に入ったことは奇跡だと思います。

Q:ジョシュは『パール・ハーバー』(2001年)でブレイクした後、ハリウッドの大作に背を向け、独自の作品選びを貫いています。寺島さんもジョシュ同様に作品の大小に関わらず、内容で出演を決めていらっしゃるように感じます。寺島さんの出演選びの決め手は?

これは私がやらなきゃダメかなと思ったときですね。台本を読んでいて、違う女優さんの顔が浮かんでくるときがあるんです。あの女優さんがやったほうが絶対に良い、と思ったときはやらないです。その方を押しのけてまで、やりたいとは思いません。適材適所がありますし、作品自体のことを考えると、この方のほうが良いってときがあるんです。でもこの映画は、これは私がやらねばと思いました。私はキャスティング能力があるんです(笑)。この方が良いと推薦するときもあるくらいです。私がやらねばというのは私の勘ですが、出演した後に、“この役は寺島しのぶでなければ成り立たなかった”と言われると、やって良かったと思います。

Q:今後も海外の作品に積極的に出演したい?

海外の作品だから出演したいという気持ちはなくて。台本を読んで、私がやらなきゃと感じるものであれば、日本でも海外の作品でも関係ないと思っています。ただ、自分が好きな監督さんや自分の味を持っている監督さんに声を掛けてもらったら、やるかもしれません。例えば、ミヒャエル・ハネケ監督や、『過去のない男』のアキ・カウリスマキ監督は、どのような演出をするんだろうなと思います。一緒に仕事をしてみたいですね。

あの米アカデミー賞女優も本作にハマった!

Q:寺島さんのブログを拝見させていただきました。フランシス・マクドーマンドとの2ショットがとっても素敵で。

良い写真ですよね。

Q:フランシスは『オー・ルーシー!』を観た感想を直接、寺島さんにお伝えしたとか。

フランシスと平栁敦子監督が同じエージェントという縁もあり、彼女はこの作品を観てくれて、“『オー・ルーシー!』と私の存在がすごく良かった”“監督と仕事がしてみたい”などと言ってくれました。ものすごく嬉しかったです。

Q:寺島さんは女優として、フランシスのどのようなところに魅力を感じますか?

何事も恐れず、私は私。そういう姿勢がかっこいいなと思います。私もこうありたいなと思います。演技面では、映り方の技術です。フランシスは心で芝居をして、さらに技術もある。『スリー・ビルボード』ではセリフで多くを語らず、彼女のちょっとした仕草ですべてが分かってしまいます。彼女の的確な映り方にすごさを感じました。

Q:寺島さんが『オー・ルーシー!』を通じて得たものは?

アメリカへ行き、現地のスタッフさんたちが日本の役者の演技をどう捉えるのか、楽しみにしていました。撮影に入ると、言葉が分からなくても演技を理解し、褒めてくれることもあって。自分の演技は表現として間違っていなかったことを実感しました。とても嬉しかったですね。

(C) Oh Lucy,LLC

映画『オー・ルーシー!』
4月28日(土)よりユーロスペース、テアトル新宿ほかにて全国公開
公式サイト:http://oh-lucy.com/
配給:ファントム・フィルム
(C) Oh Lucy,LLC

ヘアメイク/片桐直樹(EFFECTOR)
スタイリスト/中井綾子(crepe)
取材・文/田嶋真理 撮影/横村彰