文=大西美貴/Avanti Press

女性だって、実は男の色気にドキドキしている。男と女のアレコレを、大声では言えないけど見てみたい……、キュンキュンしながら楽しめたら、なおよし! そんな女ゴコロに絶妙に応えてくれるのが、5月18日公開の『のみとり侍』だ。

監督は、2016年に『後妻業の女』を大ヒットさせた鶴橋康夫。40年間映画化を熱望し続けたという小松重男の短編集「蚤とり侍」から物語を再構築し、阿部寛、豊川悦司、斎藤工らイイ男たちが、監督のために“一肌脱いで”、体当たりの熱演を披露している。

『のみとり侍』5月18日(金)全国東宝系にてロードショー
(C)2018「のみとり侍」製作委員会

江戸時代、のみとり稼業は実在していた!

のみとり業は江戸のころ、実際にあった商売だ。のどかな声で町を流し、呼ばれた客の猫の蚤を取って回る。でも、それはオモテの顔。ウラでは、さみしい女性たちに愛を奉仕する添い寝業なのだ。

本作で、阿部寛扮する小林寛之進は越後長岡のエリート藩士。清廉潔白な侍なのだが、思わぬことから左遷され、「猫の蚤とりになって、無様に暮らせ」と仰せ付けられてしまう。

殿の仰せならば励まねば! 良くも悪くも真面目すぎる寛之進は、のみとり屋夫婦に助けられて、どうにか仕事を始めたのだが……。

初めてのお客は、幸運にも亡き妻にそっくりの妾のおみね(寺島しのぶ)。心躍らせたものの、「下手くそ!」と怒鳴られて、プライドはズタボロに。そこで、寛之進は江戸ナンバー1の伊達男、清兵衛(豊川悦司)に頼み込むのだ。

「拙者に女の悦ばせ方を教えてはくれぬか!」

豊川悦司(左)と阿部寛(右)
『のみとり侍』5月18日(金)全国東宝系にてロードショー
(C)2018「のみとり侍」製作委員会

イイ男が繰り広げる、前代未聞の“床の間”の闘い!?

愚直な侍が、持ち前の勤勉さでメキメキと“のみとり技術”をあげていく。型破りな設定のもと、清楚な後家さんや退屈なお妾さんに愛を届け、いかに満足させるのかという奮闘が描かれる。

大事なのは、女をどう悦ばせるか。男の色気とは、見た目だけではなく、どう愛するのか、相手を悦ばすことを考えるのがポイントだと描く。

おしゃべりだって口説きの技のひとつ。勇気を出して声をかけた女たちの話を聞いて、じっと見つめて心を開き、肩をもんだり、優しく触れたり……。気持ちをあげるには、トークも雰囲気も重要なアイテムになる。

達者なキャストのアンサンブルもみどころ

阿部寛には、愚直な侍役がとても似合う。彫刻のようにくっきり見事な筋肉美で一生懸命女たちに向き合う真っすぐな姿と、やっていることのギャップがおかしく、お茶目な魅力を放っている。

一方、豊川悦司は、モテ男の清兵衛役を、歌舞伎の色悪のように濃厚に演じてみせる。この人は声と指先もとてもセクシー。

脇では、貧乏長屋にある健気な寺子屋の先生役の斎藤工、テンション高めの熱演がいかにもおバカな殿様に見える松重豊らが、切なさと笑いを添える。

大竹しのぶ(左)と風間杜夫(右)『のみとり侍』5月18日(金)全国東宝系にてロードショー
(C)2018「のみとり侍」製作委員会

このほか、スケベなのみとり屋の親分に風間杜夫、イケメン好きの女将には大竹しのぶ。鶴橋組常連の2人が、イナセで情に厚い夫婦に扮して、絶妙な掛け合いで寛之進を盛り立てる。粋な江戸弁の親分が、「女てぇのはね」と、口説きのテクニックを教えるシーンは、スケベ全開なのだけど、からっと笑えて痛快だ。

江戸の浮き世の恋模様に、武士の忠義や庶民のエネルギー、幕府への風刺までぴりりと効かせて、物語はテンポよく進んでいく。果たして、寛之進は男をあげることはできるのか? そして運命の相手、おみねとの恋の行方は!?

江戸にこんな商売があったとは! そしていつの時代も、男女の“情”が混沌とした世の中を生き抜くエネルギーになっている、ということに気づかされる。エロティックで純情、無骨だけど優しい、このギャップが女ゴコロを刺激する男の色気かも。

監督も「阿部さんしかいない!」と大絶賛の阿部寛、体当たりのはじけっぷりとチャーミングな色気を存分に楽しんで!