映画『クジラの島の忘れもの』は、夢を失くした女性と夢を追いかけるベトナム人の青年が、国境を超えて愛を貫く姿を描くヒューマン・ラブストーリーだ。心に影を落とすヒロイン・愛美を演じるのは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で注目された大野いと。愛美に恋心を抱くベトナム人の青年・コアを、スティーブン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』の主要キャストをオーディションで勝ち取った新星・森崎ウィンが熱演している。ダンスボーカルユニットPrizmaX(プリズマックス)のメンバーとしても活躍する、多才な彼にお話を伺った。

意識したのは、片言の日本語のさじ加減

Q:コアは、傷ついた愛美の心を癒していく存在です。どのようなことを意識して演じましたか?

僕は大野さんのお芝居を見て、リアクションをしていくことを意識しました。本作をご覧になった方が、コアを癒しと感じてくださったのなら、大野さんが与えてくれた印象なのかなと思います。

Q:森崎さんご自身は日本語が大変お上手なのに、コアを演じている時はぎこちない日本語を話していらっしゃいました。監督から具体的な演技指導があったのでしょうか?

日本語が下手過ぎるとギャグっぽくなるので、片言のさじ加減を監督と相談しながら演じました。そのほかの役作りとしてはベトナム語を話すシーンに備えて、ベトナムから日本に来ていらっしゃる方々のインタビューをYouTubeで観て、発音を耳で覚えました。

Q:劇中、クジラが重要な役割を果たします。愛美とコアらが船に乗っている時、クジラが尾ヒレを見せるシーンは実写ですか?

あれは本物です。残念ながら、僕たちがいる時にクジラの大ジャンプは見られなくて。別の日にスタッフさんが頑張って撮りました。

Q:尾ヒレのシーンでは、クジラが登場するまで待つ、“クジラ待ち”があったわけですね。

“クジラ待ち”というのは、人生で初めての経験でした。

Q:どれくらい待ちました?

すごく待った記憶はないです。

Q:それはラッキーでしたね!

実際に、ホエールウォッチングをする船に乗ったので、営業時間内に撮れない場合は別撮りするしかないという状況でした。そんな中でクジラが尾ヒレを見せてくれたことは、作品の後押しになりました。

夢はアカデミー賞を獲って恩返しをすること

Q:『クジラの島の忘れもの』は、昨年の1月に撮影されたそうですね。この時すでに、『レディ・プレイヤー1』への起用が決まっていた?

『レディ・プレイヤー1』は、撮影まで終わっていました。

Q:そうでしたか! ウィンさんが(運を)持っているから、クジラの尾ヒレを撮れたと言われたことは?

『レディ・プレイヤー1』のCGで、クジラのシーンを作れないかと冗談交じりに言われました。それは僕の力ではどうにも出来ないかなと(笑)。

Q:クジラのシーンを『レディ・プレイヤー1』のCG技術で作っていたら……(笑)。

かなりお金がかかっていたと思います(笑)。

Q:そんな冗談が出るほど、和やかな撮影現場だった?

本当に素敵な現場に巡り合ったなと思いました。

Q:劇中、コアがベトナムの街や人々をもっと豊かにすることが夢だとアツく語るシーンがあります。森崎さんの夢は?

僕の夢、目標は、10年以内にアメリカのアカデミー賞を獲ることです。僕がこの世界で頑張ることが、これまで関わってきた作品のスタッフやキャストさん、家族や友人たちへの恩返しになると思っています。スティーブン・スピルバーグ監督のキャスティングは間違っていなかったんだ、と言われたいですね。僕は普段、歌をやっていて。自分で言うのも何ですが、歌には自信があるんです(笑)。役者としての経歴はまだまだで、今は芝居で認められるとは思っていません。アカデミー賞を獲ることが出来たら、自分で自分を役者だと認めてあげたいですね。

(C)クジラの島の忘れもの製作委員会

映画『クジラの島の忘れもの』
5月12日(土)より渋谷シネパレスほか全国公開
公式サイト:http://www.kujiranoshima.com
配給:エムエフピクチャーズ
(C)クジラの島の忘れもの製作委員会

取材・文/田嶋真理 撮影/横村彰