人気小説やコミックの実写化作品が数多く作られているなか、たびたび耳にするのが「イメージと違う!」という批判だ。特に、主人公のビジュアルや設定にギャップがあるほど、戸惑いの声が寄せられることが多い。そんな実写化作品のなかにも、原作者が「描いていたイメージとピッタリ!」と太鼓判を押すケースもある。今回は作者のイメージを実現させた、実写映画化作品に関するエピソードを取り上げてみよう。

実写化想定で当て書き!? 大泉洋のための作品が映画化!!

実写化作品のなかでも、“新たなパターン”として注目を集めているのが、大泉洋主演で映画化が発表された小説『騙し絵の牙』だ。本作は、「映像化された時に自分が主演できるような小説はないか」と、大泉が長年言い続けたことをきっかけに制作が始動。そのため、大泉をイメージして主人公が“当て書き”されている。

作者の塩田武士は、主人公と大泉の「完全同期化」を目指し作品を執筆した。出演作品やバラエティ番組を見て、大泉独特の会話の間や語尾を投影させたという徹底ぶりだ。さらに単行本の表紙も、大泉が担当している。

実写化決定について塩田は、「映画史上類を見ないシンクロ率100%の主演俳優!」と早くも期待の言葉を寄せている。大泉も、「今はただただこの主役の話が、ちゃんと自分にきたことに安堵しております」とホッとしているようだ。徹底したこだわりにより制作された原作なだけに、スクリーン上のシンクロ具合にも注目だ。

「実写ならこの人!」という秘めたる思いが実現

また、『騙し絵の牙』のように徹底した当て書きではないものの、作者の「実写化するならぜひこの人に!」という思いが実現し、原作ファンを納得させたケースもある。

『東京喰種 トーキョーグール』(2017年)では、主演に俳優の窪田正孝が抜擢され、人を食らう喰種(グール)と、人間の顔を併せ持つ主人公を熱演した。窪田について、原作者の漫画家・石田スイはTwitterで、「連載当初より『実写やるなら、この人がいいな』と思っていた方に、やっていただけることになりました」とコメントを寄せている。

さらに石田は「窪田くんがもっと世に知られればいいなと思っていたので、その意味では貢献できたかなとー満足してます。」とツイート。このツイートに対して「スイ先生が決めたのなら文句無しです!!!」「窪田君にしか出来ないでしょうね」といった声が続出。原作ファンも納得の実写化だったようだ。また石田のツイート通り、本作は世界23カ国でも上映され、窪田の名を世に広めた代表作となった。

ほかにも、実写映画化によって、作者と主演女優の「両思い」が判明したケースもある。それが2015年に公開された、桐谷美玲主演の『ヒロイン失格』である。原作者の幸田もも子は、実写化に際し、コミック連載時から主人公は密かに桐谷をイメージして描いていたそう。一方偶然にも桐谷も、連載時から原作の大ファン。その熱は、連載時からブログやラジオでしきりに本作を推薦するほど。同作は、そんな作者と主演女優の秘めたる思いが通じ合い、両者の願いを叶えた作品となった。

驚きのキャスト実現に作者もびっくり!

難しいとされていたキャスティングも、俳優が原作者のファンであったおかげで実現する場合がある。2019年公開予定の映画『翔んで埼玉』もその一つだ。原作は“埼玉ディスり”が繰り広げられる、独特の世界観を持つギャグ漫画。主演にはGACKTと二階堂ふみという異色のペアが抜擢され、GACKTは容姿端麗なアメリカ帰りの高校生を演じることで話題を集めた。

このオファーを受けたGACKTは、当初「(自分が高校生という)設定に無理があるんじゃないかな?」と思っていたという。しかし自身が同作の原作者である魔夜峰央のファンであることから、「先生からの指名ということであればやるしかない」という思いでオファーを受けたと明かしている。

このキャスティングを魔夜も実現するとは思わなかったようで、「願ってもないキャスティング」と驚きと喜びの言葉を、実写化発表の際に寄せている。魔夜が描く強烈な世界観を、GACKTがどのように表現するのかにも期待が集まりそうだ。

原作ファンたちの「作品愛」が強いほど、賛否両論が分かれる実写映画化。原作者と主演役者のシンクロ率も、人気を左右するポイントになるのかもしれない。

(文/相場龍児)