第87回アカデミー賞で4部門を受賞した『グランド・ブダペスト・ホテル』で知られるウェス・アンダーソン監督の最新作『犬ヶ島』が、公開中だ。本作は近未来の日本を舞台に、失踪した愛犬を探す少年と犬たちの壮大な旅と冒険を描く、ストップモーションアニメだ。元セレブ犬のデュークを演じるのは、『ザ・フライ』、『ジュラシック・パーク』、『インデペンデンス・デイ』などでおなじみの個性派俳優ジェフ・ゴールドブラム。『ライフ・アクアティック』、『グランド・ブダペスト・ホテル』に続き、ウェス・アンダーソン監督と3度目のタッグを果たしたジェフにお話を伺った。

ひとりぼっちのスタジオで声を収録

Q:スケジュールの都合でスタジオではなく、電話で声を収録されたそうですね。

メインの5頭の犬のうち、僕以外の4頭を演じた俳優たちは全員一緒に収録したんだ。僕も彼らと一緒に収録したかったんだけど、撮影でLAにいなければいけなくて、ひとりぼっちのスタジオで収録したんだ。ウェスはニューヨークにいて、電話で指示を出してくれた。僕は彼の言いなりさ(笑)。

Q:プライベートでスタンダードプードル(トイプードルの原型と称される大型犬)を飼っていらっしゃいますが、デュークを演じる上で役立ちましたか?

もちろんさ。この映画を準備している中で、愛犬のウッディがこれまでと違ったように見えてきたんだ。ウッディにじっと見つめられると、“何か考えているな?”と感じる瞬間があったよ。僕には幼い息子がふたりいるんだけど、ウッディは彼らのことを守ってくれるんだ。僕に甘噛みをしても、息子たちには決してしない。そういうところに驚かされたよ。

Q:その忠誠心は、アタリを懸命に守ろうとするデュークに通じるところがありますね。子供が生まれて、作品選びが変わったなんてことは?

生活はがらりと変わったけど、仕事についてはどうかな。息子をセットに連れて行ったことはあるけど、『マイティ・ソー バトルロイヤル』の撮影中は青いネイルをした姿のまま帰宅したこともあるから、僕の仕事や演じることが何なのかについてちゃんと理解するには時間がかかると思う。息子たちは映画やTVを観たことすらないしね。ウェスの娘と息子が同世代なんだけど、彼の娘は生まれたときから『犬ヶ島』の撮影現場に慣れ親しんで育っているんだ。そういうこともあって、『犬ヶ島』は僕の息子たちが最初に観る映画としてふさわしいかもしれないね。

『東京物語』から怪獣映画まで!日本映画愛を語る

Q:『犬ヶ島』は日本映画の影響を強く受けています。日本映画に関する想い出は?

約10年前にポール・シュレイダー監督が小津安二郎監督の『東京物語』を観るようにと薦めてくれて観たんだけど、本当に素晴らしい映画だと思ったよ。ポールは『東京物語』を最高の日本映画の5本に入ると言っていた。黒澤映画では『乱』が好きで、伊丹十三監督の『タンポポ』は映画館で観たよ。子供の頃はゴジラやモスラのような怪獣映画に夢中で、『キングコング対ゴジラ』などが好きだった。ウェス監督は黒澤映画を全部観ているほどの日本映画通だから、今後は彼が推薦する日本映画をたくさん観てみたいと思っているよ。

Q:これまでのキャリアの中で、ウェスのほかにも、スティーヴン・スピルバーグやデヴィッド・クローネンバーグなど、伝説的な名監督たちとタッグを組んでいます。彼らがあなたとぜひ仕事がしたいと願う理由は?

僕は自分がすごくラッキーだと思っている。彼らのような素晴らしい人々と仕事が出来て感謝しているよ。秘訣を敢えて言うならば、ものすごく情熱を持って演技をしているというところかな。少年の頃、毎朝のシャワーを浴びた後、曇ったガラスに“神様、どうか僕を俳優にしてください”と書き、パッと拭いて消していたことを思い出すよ。当時、俳優になりたいという夢を秘密にしていたからね。俳優になるチャンスを得た時は喜びにあふれ、誠意を持って最善を尽くすことを心掛けていた。もしかしたら、そのことが現在の僕につながっているのかもしれないね。

(c) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画『犬ヶ島』
5月25日(金)より全国公開
配給/20世紀フォックス映画
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/
(c) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

取材・文/田嶋真理