5月25日より公開されるリドリー・スコット監督最新作『ゲティ家の身代金』。嘘のようなホントの誘拐事件を基に映画化された本作の公開にちなみ、これまでに製作された「実在の誘拐事件」をモデルにした名作と、それにまつわる驚愕の事実をまとめてご紹介します!

1本の映画が刑法を変えた!? ピーター・チャン監督作品『最愛の子』

最初に紹介したいのは、ピーター・チャン監督が中国で起きた誘拐事件を基に映画化した『最愛の子』(2014年)です。別居中の夫婦の子どもが失踪し、3年後、他人の子どもとして育てられていた息子と再会した夫婦の苦悩を描いた本作。

「誘拐と人身売買」をテーマに描きつつも、被害者と加害者という枠組みを超え、生みの親と育ての親という立場から、子どもを愛するとはどういうことなのかを突き付けられます。

しかもこの映画が中国で公開されるやいなや、児童誘拐問題が各メディアを巻き込んで大きな論争となりました。そして、刑法の改正法案により、「誘拐された子どもや女性を買うことは重罪」とみなされることになったのです。

1本の映画が社会を動かすきっかけにもなりうることを改めて世間に広く知らしめた例としても、この映画が製作された意義はとても大きいと言えるでしょう。

アンジェリーナ・ジョリーが権力と闘い我が子を探し続ける『チェンジリング』

続く2本目は、アンジェリーナ・ジョリー主演で、ロサンゼルスで実際に起きた衝撃的な事件を映画化した『チェンジリング』(2008年)です。

本作では、9歳の少年が行方不明となり、その5か月後、事件は急展開を迎えます。あろうことか1928年当時の汚職にまみれていたロサンゼルス市警察が、自分たちの無能さを隠すため息子を失った母親にまったく別人の少年をあてがい、無理やり事件を解決しようとしたのです。

驚きなのが、この映画に登場するエピソードのほとんどが、脚色ではなく事実であるということ。言い換えれば、その必要がないくらい、実際の出来事が残酷だったとも言えるのです。

別人の少年を突きつけられ、警察に抗議した母親が、精神錯乱状態であると勝手にねつ造され、精神病院に強制送還されてしまうシーンは、なんともショッキング。今から考えるとありえないようなことが、当時は現実に起きていたということを知らしめる、歴史の証人たる作品として後世まで残り続けることでしょう。

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大富豪なのに、孫の命を助けるためには一銭も出したくない!? 『ゲティ家の身代金』

そして最後にご紹介するのが、ハリウッドを代表する巨匠リドリー・スコット監督が、1973年にアメリカで実際に起こった誘拐事件を基に映画化した『ゲティ家の身代金』です。

誘拐されたのは、世紀の大富豪とも呼ばれる石油王ジャン・ポール・ゲティの孫、ポール。

この映画で特筆したいのが、イタリア最大の犯罪グループから要求された身代金が1,700万ドル(約50億円!!)という、とてつもない金額だったこと。さらに、総資産50億ドル(約1.4兆円!!)のゲティ氏が、守銭奴のあまり身代金の支払いを断固として拒否したということ。そして、その両方が事実であるから驚きです。

しかもこの映画、“#MeToo”問題による主役の降板劇があり、お蔵入りの危機にも直面しました。しかし、急遽代役を務めたクリストファー・プラマーが、アカデミー賞助演男優賞やゴールデン・グローブ賞にノミネートされました。なにかと注目を集め、話題に事欠かない作品なんです。

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今回ご紹介した3本は「嘘のようなホントの誘拐事件」をテーマにしているだけでなく、いずれもエンターテインメントとしても見ごたえたっぷりの作品ばかり。元の事件の結末を知っている人も知らない人も、最後までハラハラ、ドキドキさせられること請け合いです!

(文/渡邊玲子@アドバンスワークス)