R18+指定作品として初の応援上映が話題の映画『娼年』。劇中で男娼役を演じた松坂桃李が披露するフルヌード、そして大胆過激な濡れ場がセンセーショナルな本作でメガホンをとったのは、劇団「ポツドール」主宰の三浦大輔監督だ。

三浦作品といえば、これまでにもさまざまな人気役者が“脱いだ”ことでも話題をさらった。いわゆる“R指定作品”のイメージを持つ人もいるかもしれないが、三浦監督が描いているものは何なのか? 改めて振り返りたい。

一切の妥協ナシ!三浦流の監督術

『娼年』で主演をつとめた松坂は、「ここまで精神的に追い込まれた現場は初めて」とTwitterで本音をポロリ。それもそのはずで、監督・三浦が役者に求める要求はどこまでも高く、作品づくりに一切妥協はナシ。しかし、その厳しさがトリガーとなってか、“脱いだ”役者たちが“実力派”として次々評価されてゆくのも、また事実である。

冬期ドラマ「トドメの接吻」(日本テレビ系)に出演した女優・門脇麦のブレイクも、思えば三浦作品がきっかけであった。「日本映画史上最もハダカなドラマ」と銘打たれた2014年公開の『愛の渦』(R18+)では、乱交に身を投じるヒロインの女子大生役を選ぶオーディションの一次審査に時間をかけた三浦だが、二次に残ったのは門脇だけ。ところが、「消去法で決めることはしたくなかったので、一次のときにいろいろと課題を渡した」とどこまでもストイックに対応したそう。ちなみにオーディションで門脇が裸を見せた際には、三浦が「僕も脱ぎます」と言って一緒に裸になる気遣いを見せた逸話も残っている。

また、同作で三浦は、俳優・池松壮亮を門脇の相手役に抜擢。両者の大胆な絡みは大きな話題となり、池松は翌年2月に第38回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。2016年には、のちにR15+で映画化もされたdTVオリジナルドラマ「裏切りの街」で再びタッグを組んだ。本作でもまた、衣服を脱ぎ捨て、濃厚なラブシーンに挑んだ池松。後のインタビューでは「ホテルに行くシーンは、30テイクぐらいやりました」と三浦のこだわりぶりを振り返り、「別の監督であればOKテイクにするところでも、(三浦監督は)決して妥協しない」と明かした。

裸に興味は無い。本当に描きたいものは?

佐藤健や有村架純が出演した2016年公開の『何者』。原作にあたる同名小説著者の朝井リョウとは、同じ早稲田大学出身の三浦。それもあってか、兼ねてより互いの作品にシンパシーを感じていたそうである。

早稲田大学といえば、芸能人や著名人を数多く輩出した「演劇倶楽部」や「演劇研究会」が有名。三浦主宰の「ポツドール」は前者に端を発し、1996年に旗揚げされたが、後者では同時期に堺雅人が看板役者を務めていた。

演劇・映画一筋の道を歩んできた三浦だが、目指すのは、意外にも“センセーショナルな作品”ではなく、あくまで“リアルの追求”だという。過去のインタビューでは「自分にとって、エロスは目的ではない」「あくまでリアルな人間のやりとりに興味があるだけで、裸に興味は無い」などと語っている。

三浦作品にとってのヌードは、登場人物の感情という絵具を、鮮やかにキャンパスに描くためのツール――いわば“筆”のようなものかもしれない。

(文/ナカニシハナ)