6月9日に公開の『リディバイダー』は、現実世界と複製世界を行き来しながら進んでいく物語。アトラクションゲームのような臨場感とドラマティックなストーリーが同時に堪能できます。ここでは、これまでにない異色のSFクライシス・ムービーの魅力をご紹介します。

現実世界VS複製世界。生き残るのはひとつだけ

(c)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.

物語の舞台は、エネルギー枯渇問題に見舞われた近未来の地球。人類は枯渇問題を解決するため、地球のコピー(エコワールド)をつくり、そこからエネルギーを送りこむことで危機を脱しようとしていました。

エコワールドでつくられたエネルギーは、2世界をつなぐ巨大タワーを通じて順調に地球に送り込まれていましたが、ある日、何者かの襲撃を受けてタワーが暴走しはじめます。すると世界中で異常現象が相次ぎ、地球は崩壊の危機に直面することに。

そこで、人類の生き残りをかけてエコワールドに送り込まれたのが、元NASA宇宙飛行士のウィルでした。ウィルがエコワールドに足を踏み入れると、そこにはまるで戦争が起きたかのような荒れ果てた世界が広がっていたのです。そして同時に、地球滅亡へのカウントダウンがはじまります……。

FPS視点&客観視点で、2世界を乗りこなそう

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地球と、その複製であるエコワールド。本作では、この2世界での様子が交互に描かれます。ここで注目したいのが、それぞれの世界の“撮影手法”。現実世界を映す時は一般の映画と同様に客観視点ですが、複製世界を映す時は、FPS視点になっているんです。

FPSは、正式には「ファースト・パーソン・シューター(First Person shooter)」といい、主人公の視点のこと。主にシューティングゲームなどで用いられているスタイルです。これを用いることによって、本作では、複製世界で繰り広げられる攻防戦のスリルが存分に楽しめます。

たとえばウィルが攻撃を受けて負傷するシーン。客観視点ならウィルの負傷する姿を映しますが、本作では目の前で大きな爆破音が轟き、砂埃が舞う様子が描写されます。観客にも何が起こったのかわからない状態がしばらく続き、やがて画面に表示されるウィルのステータスがケガしていることを知らせます。ここで初めて、状況が把握できるのです。

激しい戦闘ほど、戦っている本人は状況を把握しづらいといいます。本作でも、観客もウィルと一緒に目の前で起こることに必死に食らいつくことになり、状況に一喜一憂させられるのです。ほかにも、襲ってくるドローンをシューティングゲーム感覚で撃ち落としたり、負傷した箇所を手当てする際の消毒液が本当に沁みてくるような演出だったりと、複製世界の緊迫した状況をリアリティたっぷりに体感できます。

気鋭のキャストにも注目

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一方、現実世界は客観視点で描かれますが、こちらも見逃せません。複製世界のシーンでは顔を見ることができないウィルですが、彼を演じているのは実写版『美女と野獣』(2017年)で野獣を演じ、名を知られることとなったダン・スティーブンス。現実世界のシーンでは、スティーブンスのイケメンぶりや家族に対する優しい横顔、強い正義感を宿したまなざしなどが作品を彩ります。

また、この闘争に深く関わっており、2世界の両方に登場するアビゲイル役は、ベレニス・マーロウが担当。ほぼ無名の状態で『007 スカイフォール』(2012年)でボンド役を射止めた、エキゾニックな美しさと妖しい色香は健在です。

本作の原点は、YouTube上で公開されるやいなや、260万回以上視聴されて話題となったショートムービー。ファンの後押しを受けて、このたび長編映画としてスクリーンに登場することになりました。監督のティム・スミットにとっては長編デビュー作となっています。

近年では、全編FPS視点の映画『ハードコア』(2015年)が公開されましたが、本作は2視点を駆使することで、新たな体験型の映像作品に仕上がっています。斬新な映像と手に汗握るスリル、思わず共感してしまうドラマを同時に楽しみたい。そんな欲張りな方に贈りたい一本です。

『リディバイダー』は6月9日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開。

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監督:ティム・スミット
出演:ダン・スティーヴンス(「美女と野獣」ビースト役)
ベレニス・マーロウ(「007 スカイフォール」ボンドガール)
2017年/イギリス/91分/原題:REDIVIDER
提供:カルチュア・パブリッシャーズ 
配給:松竹メディア事業部
(c)2016 REDIVIDER PRODUCTIONS,B.V ALL RIGHTS RESERVED.
公式:redivider.jp/

(鈴木春菜@YOSCA)