口を開けば出てくる言葉は冗談ばかりで、いざ戦うと銃器や刀を駆使した残虐な戦闘スタイルであたり一面を血の海に染め上げる……。ヒーロー=正義の味方という枠に収まらない異色の存在、それがデッドプールです。

彼がカムバックを果たす『デッドプール2』が6月1日から公開されます。前作『デッドプール』(2016年)は、全世界で興収850億円超えという驚異的な大ヒットを記録(Box Office Mojo調べ)。R指定映画として歴代最高の記録を達成し、日本でもデッドプール人気に火がつきました。何から何まで掟破りのデッドプールって一体何者? 今回はこの人気キャラクターが生まれた背景を紹介します。

下ネタ連発のクソ無責任野郎……そもそもデッドプールってどんなキャラ?

まずはデッドプールの概要を簡単におさらい。デッドプールことウェイド・ウィルソンは、元特殊部隊員のトラブルシューターでしたが、末期ガンに冒されていることが判明し、その治療として人体実験に参加。その結果、超回復能力(ヒーリング・ファクター)による不死の能力を持つデッドプールが誕生します。

と、ここまではアメコミヒーローにありがちな誕生秘話ですが、デッドプールは“第4の壁(=フィクションと現実の境目)”を突破しているという点が、他のキャラクターと異なります。自身がフィクションのキャラクターであることを自覚したメタ的なギャグや、他のアメコミ作品を読者視点でイジる発言など、まるで我々が暮らす現実の世界にいるような“違和感”で笑いを生んでいきます。

さらに、キティちゃんのリュックサックを背負うほど“ハローキティ好き”というファンシーな趣味、“下ネタが好き”というおふざけな性格、不死身だからこその肉体欠損のグロさなど、他のヒーローたちとは一線を画しているのです。

(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation

もともとは使い捨てだった?存在そのものが“悪ノリ”

デッドプールがマーベルコミックスに初登場したのは1991年です。そもそも1話限りの使い捨てキャラということで、制作陣の悪ノリから生まれたキャラクターでした。しかも、マーベルのライバル出版社、DCコミックスの「デスストローク」というキャラクターにかなり似せて作っていて、その造形どころか、ウェイド・ウィルソンという本名も、デスストロークの本名であるスレイド・ウィルソンをパクっています。

こんなふざけた経緯で生まれたデッドプールでしたが、制作陣も予想外の人気を獲得し、1993年には単独でのシリーズ化がスタート。以降、不動の人気を獲得すると、コミックスではスパイダーマンとタッグを組んだり、アベンジャーズのメンバーを皆殺しにしたり……と、映画でおなじみのヒーローたちともコラボレーションしています。

(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation

苦節11年!映画化までの道のりは苦難の連続だったデッドプール

そんなデッドプールですが、映画化までの道のりは決して平坦ではありませんでした。2005年ごろから、デッドプールの映画作品をライアン・レイノルズ主演で製作する計画はありましたが、トラブルが重なり、企画はストップ。その後、なんとか『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009年)でチラッと映画初登場を果たしますが、その姿はタトゥーまみれの上裸で、腕の中に埋め込まれた日本刀で戦うという、迷走しまくった設定に……。

お蔵入りになりかけた単独作品の『デッドプール』ですが、自身もデッドプールの大ファンであるレイノルズが食い下がったこともあり、低予算ながら映画化が決まります。苦節11年、2016年についに公開されることになるのですが、苦労を重ねたレイノルズは、完成した作品を観て、思わず泣いてしまったそうです。

スタジオからあまり期待されていなかったからこそ、自由に作品を作ることができたようで、やり過ぎ感スレスレの“デッドプールらしい”破天荒な映画が完成しました。レイノルズが主演を務めたDCコミックスの映画『グリーン・ランタン』(2011年)の自虐ネタなど、虚実入り乱れたギャグ&くだらない下ネタのオンパレード。血みどろで残虐だけど切れ味たっぷりのアクションなど、原作のエッセンスをうまく抽出したこの映画は、結果的にアメコミファン以外にも広く受け入れられ、世界的な大ヒットとなったのです。

(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation

“マーベル・シネマティック・ユニバース”の広がりによって、すでにキャラが飽和状態になっているアメコミ映画。だからこそ、普通じゃないデッドプールのキャラクターがより際立ち、ここまでの爆発的な人気を集めることになったのかもしれません。新作『デッドプール2』でも、唯一無二の存在感を炸裂させてくれることでしょう。

(文/ケヴィン太郎・サンクレイオ翼)