5月12日放送の「王様のブランチ」(TBS系)に歌手・郷ひろみが出演。自身の代表曲「お嫁サンバ」にまつわる秘話を明かした。最初にメロディーだけを聴いて「すごくいい歌だな」と感動したものの、できあがった歌詞が気に食わず、プロデューサーに「これはないでしょ」と抗議したという。ところが同曲は大ヒットを飛ばし、第14回日本有線大賞・有線音楽賞を受賞。歌手として大きく飛躍するきっかけの曲となったのであった。このように、名曲には誕生秘話がつきものである。

「サンバ」に「アチチ」攻めの姿勢で大ヒット!?

「お嫁サンバ」といえば、「♪恋する女はきれいさ~」の歌い出しで知られる、郷ひろみを代表するシングル曲だ。サビ部分の「1.2.3バ2.2.3バ お嫁 お嫁 お嫁サンバ」は超がつくほど有名なフレーズだが、初めてこの歌詞を目にした郷の戸惑いは大きかった。

レコーディング直前まで渋っていた郷を説得したのが、プロデューサーの酒井政利。「これを歌えるのは郷ひろみしかいないんですよ。カッコいいメロディーにカッコいい詞は誰でも歌えるし、ありきたりの歌じゃないですか。でもこれをやれば、間違いなく永遠に歌い継がれていく歌になります」という言葉で、郷は決意したのだ。

この18年後、郷は「♪A CHI CHI A CHI」のフレーズで有名な76枚目のシングル「GOLDFINGER'99」をリリース。「『1.2.3バ2.2.3バ』の経験があるから、ボクは『A CHI CHI』でずっと攻める!」と自信を持ってこの曲に臨んだのだそう。「お嫁サンバ」の存在なしには、40万枚以上のセールスを記録した「GOLDFINGER'99」も存在しなかったのかもしれない。

KAT-TUNデビュー曲はある“法則”から生まれた!?

ピンチをチャンスに変えた例は、ほかにもSMAPの1998年の大ヒット曲「夜空ノムコウ」に見られる。作詞を手がけたのは、シンガーソングライターのスガシカオ。2013年6月8日放送の「SmaSTATION!!」(テレビ朝日系)のインタビューでは、同曲が初めての“作詞だけ”の依頼であったこと、思った以上の難しさに、途中で書くのをやめてしまったことを語った。そして迎えた締め切り当日、北海道でコンサートを控えていたスガは、羽田から札幌へ向かう飛行機の中のわずか1時間半で詞を書き上げたという。

スガは、2016年1月24日放送の「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日系)に出演の際、作詞の“極意”を語っている。自身が作詞を担当したKAT-TUNの2006年のデビュー曲「Real Face」には、“ジャニーズの歴代ヒット曲に共通する法則”を使用したそう。

その法則とは、「濁音で始まる言葉を頭に使う」というもの。「(濁音の言葉は)コンビニとかでパッと流れたときに、耳にひっかかる」と説明したスガは、強い歌詞にするため、あえてサビの頭に「ギリギリ」という言葉を用いたとも語った。

確かに、ジャニーズ歌手のヒット曲の中には、「♪ギンギラギンにさりげなく」(「ギンギラギンにさりげなく」近藤真彦)、「♪17才は ZIG ZAG love letter」(「ZIG ZAG セブンティーン」シブがき隊)、「♪Dynamiteなhoney」(「ダイナマイト」SMAP)など、個性的かつ印象的なサビが登場する。濁音で始まる言葉の数々に、われわれは知らぬ間に心つかまれていたようだ。

どんな曲も、世に出るまでに、さまざまな紆余曲折を経てきている。歌い手が「どうしても歌いたくない」といえばお蔵入りだし、詞と曲のどちらかがハマらなくても、曲はヒットしない。ここに紹介した以外でわれわれが普段よく耳にする曲も、華々しいヒットの裏には、いろいろな人の苦労があるのだ。

(文/ナカニシハナ)