歌舞伎を観に行ったことはありますか? もし「興味があるけれど格式が高そう……」と尻込みしている人がいたら、ぜひオススメしたいのが、映画館で観られる「シネマ歌舞伎」。ここでは6月9日に公開される『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』を取り上げ、その魅力をご紹介します。

舞台公演がそのまま楽しめる「シネマ歌舞伎」

そもそもシネマ歌舞伎とは、歌舞伎座で実際に行われる舞台公演を撮影し、映画館で上映するというもの。2005年に1作目となる『野田版 鼠小僧』が公開されて以来、現在までに30に及ぶ作品が公開されています。

撮影はHD高性能カメラ、音響は5.1サラウンドという徹底したこだわりによって、表情の変化や息遣いまで聞こえてくるほど臨場感たっぷりです。特に今年5月から来年1月までは、《月イチ歌舞伎》と題して、毎月1本のシネマ歌舞伎が上映され、スタンプラリーなどの企画も実施されているんです。

ここが違う!舞台公演とシネマ歌舞伎の違い

歌舞伎ビギナーにぴったりなのはもちろん、舞台公演とは異なる楽しみ方ができるのもシネマ歌舞伎の魅力。筆者は、今回ご紹介する『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』の舞台公演を鑑賞していますが、シネマ歌舞伎にはまた違う発見がありました。

たとえば、作中の複雑な人物関係を整理するため、話が展開するごとに人物相関図の画像が差し込まれている点。これは歌舞伎公演ではなかったものですが、本作の場合は、状況を把握することで楽しめるストーリーだからこそ、嬉しい配慮でした。

また、歌舞伎座の客席からはなかなか見られない細かい部分が確認できるのも、大きなスクリーンで上映する醍醐味。暗転するその瞬間まで俳優の細かな表情や芝居が見え、指先にまで神経を行き渡らせる様子からは、俳優たちのプロ魂がひしひしと伝わってきます。時にはカメラ目線でポーズを決めるサービスショットもあり、シネマ歌舞伎鑑賞者への粋な心遣いに胸が躍りました。

お騒がせな弥次喜多コンビが殺人!?

今回の『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』の元となっているのは、歌舞伎座の納涼歌舞伎で好評を博してきた「東海道中膝栗毛」。江戸の町人、弥次郎兵衛と喜多八が繰り広げる珍道中を描いたもので、これまでにも『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005年)を含む、幾多のオマージュ作品がつくられてきた名作です。

本作は、平成二十九年歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」で上演された、お伊勢参りの途中でラスベガスにも立寄る奇想天外な弥次喜多ストーリーの続編。弥次喜多の2人が大事件に巻き込まれてしまうミステリー仕立てになっており、前作に引けを取らない、話題性に富んだ作品になっています。

ラスベガスにまで及ぶお伊勢参りの旅から帰ってきた弥次さん喜多さんは、一文無しになってしまったため歌舞伎座でのアルバイトを再開することに。劇場では初日を明日に控え、切符は完売御礼で大盛況。そんな中で弥次喜多コンビは、おっちょこちょいを連発しては怒られてばかりの日々を送っていました。しかしある日、舞台上で殺人事件が勃発! 弥次喜多の2人が犯人として疑われてしまうのです。

主役の弥次喜多コンビは、市川染五郎(現:松本幸四郎)と市川猿之助。さらには中村勘九郎や中村七之助、市川中車をはじめとする豪華な俳優陣が脇を固めます。また、市川染五郎の息子である松本金太郎(現:市川染五郎)と、市川中車の息子である市川團子も出演。お騒がせな大人たちをなだめつつ、重要な役どころを担います。

行く先々で騒ぎを起こす弥次さん喜多さん。今回は、奇想天外な謎にどんな風に挑むのでしょう。歌舞伎が身近に感じられるような、思わず頰が緩む仕掛けにも注目してみてください。

『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)』は6月9日より全国公開。

作品紹介ページ
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/38/
予告編
https://youtu.be/V9YD7cfIEuY
やじきたスタンプ ※シネマ歌舞伎としては初の試みで、LINEスタンプを発売しました!
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/news/2018/04/_1_127.html

(鈴木春菜@YOSCA)