ドラマや映画で欠かせないバイプレイヤーの中でも、一度見たら忘れられないインパクトを残しながら、どんな役柄でもこなしてしまう渋川清彦。6月9日から公開される主演映画『榎田貿易堂』でのアラフォーのしがない店主役から、7月7日公開の『ルームロンダリング』で魅せる津軽弁のパンクスの幽霊役を始め、石井岳龍監督作『パンク侍、斬られて候』(6月30日より公開)や瀬々敬久監督作『菊とギロチン』(7月7日より公開)、豊田利晃監督作『泣き虫しょったんの奇跡』(2018年秋公開予定)など、話題作への出演が目白押しの渋川の魅力に迫る!

アラフォー世代にはモデルのKEEとしてなじみ深い、独特の風貌

渋川清彦と言えば、アラフォー以上の世代にとっては「MEN'S NON-NO」や「smart」のモデルとして活躍していた頃の“KEE”としてなじみ深いかもしれない。

「ルパン三世」さながらの長い手足とモミアゲが特徴で、強面なのに笑うと人柄の良さがにじみ出る、個性的なキャラクターとして、サブカルキッズの間では当時から絶大な人気を誇っていた。

1998年に豊田利晃監督の『ポルノスター』で映画デビューを果たして以降、豊田組を始め、数々のテレビドラマや映画に出演。2006年に旧名のKEEから出身地の群馬県渋川市にちなみ、渋川清彦に改名。チンピラから気のいい兄ちゃん役まで、変幻自在に演じられる若手バイプレイヤーとして、唯一無二の存在感を放っている。

(C)2017映画「榎田貿易堂」製作委員会

生まれ育った群馬県渋川市で撮影された『榎田貿易堂』

『榎田貿易堂』では、『モーターズ』(2014年)や『お盆の弟』(2015年)に続き、主演を務めている渋川。故郷の群馬県渋川市で撮影され、監督を務める飯塚健も同郷で小学校も同じというから、思い入れもひとしおであるにちがいない。

渋川が演じているのは、開業4年目のリサイクルショップ榎田貿易堂の店主・榎田洋二郎。「扱う品はゴミ以外、何でも来い」が信条で、その言葉どおり店の従業員や客にも、夫とうまくいっていないことを隠す人妻の千秋や、クールな青年・清春、終活中だが男がいるヨーコ、帰省中の自称・スーパーチーフ助監督の丈など、個性豊かな面々が集結している。

作中には、何者にもなれぬまま人生の折り返し地点に突入してしまった大人たちの、悲哀たっぷりの刺さるセリフが満載。往生際の悪い奴らと見るか、しぶとい奴らと見るかで、人生の捉え方が変わってきそうだ。渋川は自由奔放に生きてきた40代のリアルを、自然体で見事に演じ切っている。

(C)2018「ルームロンダリグ」製作委員会

『ルームロンダリング』では現世に未練タラタラの津軽弁のパンクスを演じ魅力炸裂!

『ルームロンダリング』では、手首を出刃包丁で切って自殺した津軽弁のパンクスの幽霊に扮する渋川。コップがつかめず大好きなお酒が呑めないからと、現世に未練タラタラ。勇気が無くて送れなかったデモテープを、霊感があって自分の姿が見える御子に頼んで、レコード会社に送ってもらおうと画策するなど、お化けなのに妙に人間臭くて「渋川史上もっともハマり役なのでは?」と感じるほどにチャーミングな役柄なのだ。

粋がっても人の良さが滲み出てしまうキャラクターを演じさせたら、渋川の右に出る人は居ないはず。小気味よいテンポで繰り出される津軽弁なまりのセリフが、妙に渋川の魅力を引き立たせている。

(C)2018「ルームロンダリグ」製作委員会

そのほかにも『パンク侍、斬られて候』では重い荷物を背負って全速力で走る密偵を演じ、『菊とギロチン』では女相撲の一座を率いる親方役、『泣き虫しょったんの奇跡』ではプロ棋士を目指す主人公を支える山川役を演じるなど、ますます役柄の幅を広げている渋川。

先日シネマート新宿で行われた『ソレダケ/that’s it』(2015年)のトークイベントで登壇した際には、「『パンク侍、斬られて候』の予告を2歳半になる息子がずっと見ていて、必ず猿が手を挙げる真似をする」と観客の前で目を細めて語るなど、子煩悩な一面も覗かせていた。今後は教育熱心な父親役など、渋川の新境地にも期待が出来そうだ。

(文/渡邊玲子@アドバンスワークス)