EXILE、三代目 J Soul Brothersのパフォーマーとして絶大な人気を誇る岩田剛典。その一方で、日本テレビ系で放送中の「崖っぷちホテル!」では初の連続ドラマ主演を務めるほか、2018年には主演映画2本を含む5本の映画が公開されるなど、“俳優業”での活躍ぶりも目覚ましいものがあります。

その待機作品の中でも、ある国際映画祭をきっかけに企画が誕生した河瀨直美監督の映画『Vision』(6月8日公開)では、俳優として新たな境地を切り開いています。今回、スクリーンの中でこそ映える彼の魅力を紐解いてみたいと思います。

(c)2018“Vision”LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

「EXILEじゃないみたいだけど、大丈夫?」とまで言われた渾身の役作り

アカデミー賞(助演女優賞)、世界3大映画祭のすべてで女優賞を獲得したフランスの名女優ジュリエット・ビノシュと永瀬正敏がW主演を務める『Vision』。企画のきっかけは、河瀨監督と主演・永瀬正敏による前作『光』が出品された2017年のカンヌ映画祭で、ビノシュと2人が顔を合わせたこと。その翌月には製作が正式決定し、ビノシュと永瀬の“当て書き”で、『Vision』は誕生しました。

物語は、女性エッセイストのジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が、“Vision”と呼ばれる幻の植物を探し求め、奈良・吉野の山深い森を訪れるところから始まります。永瀬正敏が演じる智や、岩田剛典が演じる鈴は、その雄大な自然が広がる吉野の森を保護している“山守”として登場。Visionの存在に導かれるように出会った3人は、不思議なバランスを保ちながら共同生活を送ることになるのです。

劇中、鈴と智が一緒に伐採を行う場面があります。演じる岩田は、高いケヤキの木に登り、 足場の悪い中で“枝打ち”まで披露しています。熟練した技術のいる作業ですが、これもパフォーマーとしての、抜群の身体能力がなせる技なのかもしれません。

(c)2018“Vision”LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

山の景色に溶け込み、ごく自然に佇んでいる作業着姿の鈴は、まるで本物の山守のようで、日頃の華やかさなどは微塵も感じられません。河瀨監督も、「現場に来てからは、私のやり方を理解して、役に没頭してもらいました。初日は“三代目”の空気を背負っていましたが、東京に戻ったら、メンバーから『顔が変わった。EXILEじゃないみたいだけど、大丈夫?』といわれたそうです(笑)」と、彼の変化について明かしています。

実際、出演者には役が暮らす場所で“役を積んでもらう”のが、河瀬組のスタイル。これには、「撮影期間中はカメラが回っていないときもずっと役柄のまま生活していました。毎日、役に入る時間とかもなく朝起きてそのまま撮影が始まるような、河瀬組のリアルを追求する撮影手法がとても刺激的でした」と、岩田本人も明かしています。

気鋭監督とタッグを組み、ファンタジックな水中シーンにも挑戦

『Vision』同様、国際映画祭をきっかけに誕生した映画が、『ウタモノガタリ -CINEMA FIGHTERS project-』(6月22日公開)です。

本作は、EXILEや三代目 J Soul Brothersらに歌詞を提供してきた作詞家・小竹正人の詩から生まれた6つの楽曲からなる全6篇のショートフィルム集。EXILE HIROが率いるLDH JAPANと、ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(以下、SSFF&ASIA)のコラボによる特別プロジェクト“CINEMA FIGHTERS project”として製作されました。岩田は、国内外で高い評価を受けている気鋭監督・石井裕也が手掛けた1篇『ファンキー』に主演しています。

『ファンキー』は、普遍的な人間ドラマを描くことの多い石井作品にしては珍しい、2041年の東京を舞台にした近未来SF。予告編でも、街が水没する不可思議な光景が映し出されているように、どこかファンタジックな独特の世界観に包まれている作品です。その中で岩田は、酸素ボンベを交換しつつ水中に潜りながらの演技にも挑戦。彼自身が「撮影中、溺れかけた」と明かしていますが、その甲斐あって、幻想的な水中シーンに仕上がっています。

“CINEMA FIGHTERS project”は、今回が第2弾となります。2018年1月26日に公開された第1弾には、『パラレルワールド』という1篇で河瀨直美監督も参加しています(岩田は落合賢監督の1篇『SWAN SONG』に出演)。実は、その時のSSFF&ASIAが、岩田と河瀬監督の初対面だったそう。その直後、河瀨作品への出演に繋がっているのですから、2人には何か縁があったのかもしれません。

(c)2018“Vision”LDH JAPAN, SLOT MACHINE, KUMIE INC.

『Vision』での、ジュリエット・ビノシュとのシーンでは、英語での演技にも初挑戦した岩田。ビノシュは、共演を経て「あなたは英語を獲得すべき。そうすれば世界が放っておかない。これを機に、国内の人気者なだけでなく、世界の映画スターへの道を獲得していけばいいよ」と、岩田に励ましの言葉をかけたのだとか。

国際的にその作家性が高く評価されている河瀨直美監督や石井裕也監督の現場を経て、映画俳優としてさらなる高みへと踏み出している岩田剛典。まずは、『Vision』でその片鱗を確かめてみてください!

(文/バーババ・サンクレイオ翼)