第71回カンヌ国際映画祭で、最高賞にあたるパルム・ドールを日本映画として約21年ぶりに受賞した映画『万引き家族』(是枝裕和監督 6月8日公開)。リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林ら演技派陣の中にあって、ひと際目を引く逸材がいる。11歳の子役、城桧吏(じょう・かいり)だ。パルム・ドール受賞効果もあり、是枝監督を「一見すると天真爛漫だが、レンズを通して見ると色気がある」と唸らせた“大物”に世界が注目している。その素顔とは?

『万引き家族』城桧吏、“父”リリー・フランキーに感謝の手紙

万引きに手を染める少年を自然体で好演

是枝監督の映画『誰も知らない』(2004年)で第57回カンヌ国際映画祭男優賞を最年少で受賞した事務所の先輩・柳楽優弥と同じく、オーディションで大抜擢。リリー・フランキー扮する父親と行動を共にし、万引きに手を染める少年を自然体で演じている。

是枝監督の子役演出方法である、脚本を渡さないというスタイルでの撮影となったが「最初は不安に思いましたが、実際は台本がない方がやりやすかったし、自然に演じることができました。リリーさんが劇中で披露するマジックも、事前にやると知っていたら驚くリアクションは上手くできなかったと思います」と早くも大物の片鱗を覗かせる。

レッドカーペット闊歩の夢叶う

第71回カンヌ国際映画祭の公式上映にも参加。人生初海外のカンヌで人生初のレッドカーペットも経験したが「レッドカーペットを歩いたことのある事務所の友達がいて、僕もいつか歩きたいと思っていたので、夢が叶いました」と念願の様子で「第一歩は凄く緊張したし、色々なところからカメラマンに声をかけられたのでどこを見ていいのかわかりませんでした。でも映画の撮影を頑張って良かった、こんな素晴らしい映画に出演させてもらって嬉しい、という気持ちでいっぱいでした」と一生の宝として記憶している。

普段は夜の10時には寝るという城だが、受賞当日の5月20日にはパルム・ドールが発表される深夜3時くらいまで頑張って起きた。「受賞した瞬間、お母さんは『嘘でしょ! まさか! 凄い!』と大喜び。僕は……ちょっと眠かったから『スゴー!』と言ってすぐ寝ました。パルム・ドールといっても僕は凄さがあまりよくわかっていなかったけれど、一等賞だと聞いて嬉しかった」と勲章に胸を張る。

受賞明けの学校での反響に一番驚いているのは城自身だったりする。「学校の友達にも『おめでとう』とか『カンヌどうだった?』とか『女優さんに手を繋がれて羨ましいな』とか言われたりしてビックリ。校長先生や低学年にも知られているし、ちょっと恥ずかしい気持ちもある」と、多感な年頃突入期ゆえのこそばゆさがあるようだ。

将来は役者で「空をピュ~と飛んで、敵を倒す」

出演作のパルム・ドール受賞で日本のみならず、世界からも注目を浴びている。そんな城が快挙の次に狙っているのは、ペン回しマスターだ。「自分にはあまり特技がないので、やれるのであればペン回しを特技にしたらカッコいいと思ったからです。練習を始めたばかりで、マスターぶりを大・中・小で表すならば、今は小。ペン回しをまあまあできる友達がいて、その友達から教わった技は完璧にできるようになったけれど、僕は指の上で連続で回せるようになりたい。今は動画を見ながら練習中です」と次なる高みへの意欲十分。上達のコツは「ペンの中心をしっかりと見つけること。普段はシャーペンでやっています」とのことだ。

将来の夢は、もちろん「役者さん」で「アクションやホラーをやってみたい。特にワイヤーアクションに憧れます。ワイヤーに吊られて空をピュ~と飛んで、敵を倒す。ピュ~って飛んで敵をボッコボコにするのが夢」と具体的ビジョンも見えている。得意科目は体育、俳優業と並行して、7人組小学生ユニット・スタメンKiDSのメンバーとしても活躍しており、運動能力には定評あり。次はアクション作品でパルム・ドール受賞なるか!? 今後の成長が楽しみな11歳だ。

(取材・文/石井隼人)