DCコミックスが誇る孤高のダークヒーロー『バットマン』。世界を代表するコミックヒーローの新作長編アニメーションを、日本のトップクリエイターたちが斬新なアプローチで生み出した。アメリカで開催されたコミックの祭典『ワンダーコン』にてワールドプレミアが行われると、批評サイト・Rotten Tomatoesのオーディエンス・スコアは驚異の100%を記録。海外大手映画データベース・IMDbでも、10点満点中9.5点の高得点をたたき出した。それが『ニンジャバットマン』(6月15日より公開)だ。

今度の『バットマン』はダークじゃない!?

Batman and all related characters and elements are trademarks of and (C)DC Comics. (C)Warner Bros. Japan LLC

『バットマン』シリーズを、日本のアニメーションスタジオが製作するのは、今回が初ではない。2008年、『ダークナイト』公開のタイミングに、既存のバットマンの世界観を踏襲した非常にダークな作品『バットマン ゴッサムナイト』というタイトルで6本の短編アニメも作られている。しかし、今回の『ニンジャバットマン』は、日本で企画し、日本で制作するという形式をとり、より自由な発想のもと作られたので、“甲冑を身に纏ったバットマン”などジャパニーズカルチャーが全開だ。

昨年のNYコミコンで、忍者風のアートワークが発表されると、全世界のオタクたちがその姿に驚愕した。また、すでに発表されている予告映像からも感じられるように、今作はこれまでの“陰”の雰囲気とは真逆で、圧倒的な“陽”のテンションで畳みかける、アクションエンターテインメント作品に仕上がっている。

DCヒーローが戦国時代にタイムスリップ

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本作は、科学実験により天才的な頭脳を持ったヴィラン“ゴリラ・グロッド”を追い、アーカム精神病院へ潜入していたバットマンが主人公。彼は、自ら開発した時間転移装置により、宿敵ジョーカーをはじめ、数々のヴィランを収監していた精神病院ごと、戦国時代の日本へタイムスリップさせてしまう。

ジョーカーたちは、タイムマシンの誤差によって、バットマンより2年前の時代に到着。戦国大名になり替わり、まだこの時代には存在していない蒸気機関などのテクノロジーを使って全国統一を企むなどやりたい放題。バットマンは、ヴィランたちの歴史改変の野望を阻止するため、一緒に戦国時代に飛ばされた歴代ロビンやキャットウーマンたちと共に、忍者軍団を率いてヴィラン制圧に動き出すというのが序盤のストーリーだ。

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戦国時代とバットマンという組み合わせだけでも十分とんでもない設定なのだが、映画の後半までテンションは途切れないばかりか、観客が「そんなバカな!」と思わず叫びたくなる怒涛の展開が待ち受けている。日本が世界に誇る“お家芸”ともいえる“あるもの”が登場する終盤のシーンは、あまりのクレイジーさに、もはや驚きを超えて笑ってしまうこと必至。DCコミックスの懐の深さに驚くことだろう。

制作は日本アニメを席巻するトップクリエイター

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本作のアニメーション制作は、TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニング映像や、賛否両論を巻き起こしたカオスアニメ『ポプテピピック』の制作で日本アニメ界を席巻している、水﨑淳平監督率いるスタジオ「神風動画」が担当。“妥協は死”を社訓に掲げているのも頷ける圧倒的な熱量で、全編キラーショットの連続と言っても過言ではないカッコよさを放ち、人々を魅了する。

シナリオは、アニメ『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』で、ケレン味を極限まで突き詰めた、劇団☆新感線の座付作家・中島かずきが担当。日本発のアニメが海外のコミックファンに「なんてクレイジーなんだ!」と言わしめるあたり、彼の真骨頂の作品といえるだろう。

さらに、アニメ『アフロサムライ』の岡崎能士によって、戦国時代仕様のデザインで描かれたDCコミックスの人気キャラクターたちも、ファン心理を巧みにくすぐる。甲冑のバットマンや、信長仕様のジョーカーはもちろん、伊達政宗バージョンのデスストローク(どちらも眼帯キャラ!)や、オリジナルデザイン同様に、顔を隠すため赤い虚無僧に扮した2代目ロビンことレッドフード(ちゃんと2丁拳銃!)など、どのキャラクターも、ぜひともフィギュア化してほしいクオリティになっている。

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本作は、これまでのバットマンシリーズが持つダークな雰囲気に流されることなく、世界に誇る日本のトップクリエイターたちが、クレイジーに斬り込んだ、エンタメ路線120%の長編アニメーション。新しい日本製バットマンとジョーカーの闘いを、ぜひ劇場で見届けよう!

文=梅崎慎也/SS-Innovation.LLC