年齢を重ねるごとに、大人の女性としての魅力を増している深田恭子。娘の中学受験を支える専業主婦を演じたドラマ「下剋上受験」(2017年・TBS系)や、妊活に励む妻を演じたドラマ「隣の家族は青く見える」(2018年・フジテレビ系)など、近年では生活感あふれる主婦役に次々と挑戦しています。

特に、不妊というセンシティブな題材を扱った「隣の家族は青く見える」では、不妊治療への不安や覚悟といった複雑な心境をストレートに体現。愛する夫と苦楽を共にしようとする“良き妻”の役で、新たな一面を見せてくれました。さらに深田は、6月15日より公開の映画『空飛ぶタイヤ』でも、夫を献身的に支える“理想の妻”を演じています。

(c)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

窮地に追い込まれた夫を献身的に支える妻を熱演!

『空飛ぶタイヤ』は、ある日、突然発生したトレーラーの脱輪事故から物語が始まります。長瀬智也が演じる主人公は、事故車両の整備不良を疑われた運送会社「赤松運送」の2代目社長・赤松徳郎。彼は、車両そのものに欠陥があったのではないかと疑念を抱き、製造元である大手自動車会社「ホープ自動車」と対峙することに……。深田が演じるのは、そんな徳郎を献身的に支える妻・史絵です。

脱輪事故により、幼子を持つ若い母親が亡くなった悲しい事実を重く受け止めながらも、警察から執拗に捜査される徳郎は、仕事も激減し、周囲から孤立していきます。心身ともに疲れ果てて帰宅した夫に、時に軽口をたたいたり、時に愚痴を言い合ったり……と、何気なく普段通りに接する史絵。たとえわずかでも“夫婦の時間”を大事にし、徳郎のささくれ立つ心に寄り添います。

(c)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

事故の悪影響は、徳郎自身や会社へのバッシングだけに留まらず、まだ小学生の息子・拓郎にも向けられます。学校で“事故の加害者の息子”と後ろ指をさされ、ふさぎ込んでしまう息子。史絵は彼にもまた、そっと寄り添い、温かく励まします。

演じる深田は、「仕事で闘う夫、学校で闘う息子を支える温かい妻を演じさせて頂きましたので、微笑ましい家族のお話も是非楽しみにして頂けたらと思います」とコメントしています。その言葉どおり、劇中の“赤松家”でのやり取りはシリアスになり過ぎず、心安らぐシーンに仕上がっています。

(c)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

深キョン演じる妻との共通点も?池井戸潤作品の魅力的なヒロインたち

直木賞候補にもなった池井戸潤のベストセラー小説が原作の『空飛ぶタイヤ』ですが、池井戸作品としては、意外にもこれが初の映画化となります。仕事に対して固い信念を持つ主人公を数多く描いてきた池井戸作品。そんな熱い主人公を支える“美しい妻”もまた、存在感を発揮してきました。

池井戸作品の名を広く知らしめた、2013年放送のドラマ「半沢直樹」(TBS系)で、上戸彩が演じた半沢直樹(堺雅人)の妻・花は注目を集めました。彼女は、とにかく明るくポジティブな性格で、思ったことをすぐ口にするタイプ。銀行内では心理的な駆け引きばかりしている半沢だけに、嘘のない花の言動が、心からホッと安心できたのでしょう。

また、近作では2017年放送の「陸王」(TBS系)で壇ふみが演じた、老舗足袋業者の4代目社長、宮沢紘一(役所広司)の妻・美枝子もまたそのひとり。長年連れ添った熟年夫婦ならではの適度な距離感で、夫の新規事業を心配したり、就職活動がうまくいかない息子に寄り添ったりと、宮沢家の精神的支柱ともいえる存在感を醸し出していました。

手に汗にぎる男たちの闘いの中で、こうした妻たちの存在は、見ているこちらも、唯一ほっとひと息つけるオアシスのようです。

(c)2018「空飛ぶタイヤ」製作委員会

こうした池井戸作品における妻の共通点は、『空飛ぶタイヤ』の史絵役にも当てはまります。

つい弱音を吐く夫を前に、「まだすべて終わったわけじゃないでしょう……?」と史絵が優しく諭すシーンが登場しますが、池井戸作品では、妻たちの何気ない言動が、事態を好転させてきました。いかに絶望的な状況でも、まだ望みはあるのでは……? 妻たちの言葉には、そんなふうに背中をそっと押してくれるような安心感があるのです。

どちらかといえば、“男たちの熱きドラマ”という印象の強い池井戸作品ですが、『空飛ぶタイヤ』では、こうした深田恭子演じる“良き妻”ぶりにもぜひ注目してみてください。

(文/晴スミス・サンクレイオ翼)