二刀流として話題になっている大谷翔平のように、映画界でも俳優だけでなく、監督、脚本家、ミュージシャンなど複数の分野で活躍する、マルチな才能をもつタレントがいます。その一人が、6月29日(金)公開の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で、ランド・カルリジアン役を演じるドナルド・グローヴァーです。

ドナルドが演じるランドは悪名高きギャンブラーで、ハン・ソロの愛機ミレニアム・ファルコンの元々の持ち主。本作ではハンがどうやってランドからミレニアム・ファルコンを手に入れたのか? ファンにはたまらない秘密が明かされます。後にランドはハン・ソロと一緒に銀河を救うことになるので、本作での活躍に注目すべきキャラクターです。

そんなランドを演じるドナルド・グローヴァー、実は4刀流というべき、すさまじい才能の持ち主であることをご存知でしょうか?

マーベルでヒーローデビューも目前?ハリウッド注目の黒人俳優

まずは、俳優としてのドナルド・グローヴァーのキャリアから見ていきましょう。

ドナルド・グローヴァーのことが、一躍知られる存在になったのは2015年のこと。この年に彼は2つのヒット映画に出演しています。そのうちの一つ、『マジック・マイクXXL』(2015年)では、ラッパー兼ストリッパーのアンドレ役として出演。ストリップショーでは結婚式をテーマにしたパートで甘い歌声を披露し、札束の雨を降らせるシーンを熱演しています。

一方、マット・デイモン主演のSF映画『オデッセイ』(2015年)では、火星に取り残された主人公の救出計画を立案する、天才科学者のリッチ・パーネル役に。ホチキスを宇宙船に見立てながら予想外の発想的プランを説明し、周囲を戸惑わせるなど、天才特有の風変わりな行動を巧みに演じて存在感を示しました。

そしてドナルド・グローヴァーは、2017年にマーベル映画の人気作『スパイダーマン:ホームカミング』で、スパイダーマンの敵であるトゥームスと武器の取引を行うアーロンを演じています。アーロンは「脅しのための武器は殺傷力が高いものでなくて良い」と考えるような、根っからの悪人ではないキャラクター。主人公ピーターに命を救われ、後に敵の情報を提供するようになる、ストーリーでも重要な役割を担っています。

なお、ドナルド・グローヴァーは『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)の公開にあたって、「#donald4spidermany」のハッシュタグで主役に名乗りを上げたことがありました。その発言はすぐにSNS上で拡散され、熱心なファンたちが「ドナルド・グローヴァーをスパイダーマンに!」というキャンペーンを展開。アメリカの公式Twitterのトレンドランキングで3位になるほど注目を集めています。それを知った原作者のスタン・リーがMTVの記者に電話で、彼が「オーディションを受けるチャンスがある」と自分の意見を語ったことも話題になりました。

残念ながらこのキャスティングは実現しなかったものの、のちにアニメ版の「アルティメット・スパイダーマン」では、彼がモデルとなった黒人少年で、新たなスパイダーマンとなるマイルス・モラレスの声優となります。ちなみにこのマイルスは、先述のアーロンの甥という設定。『スパイダーマン:ホームカミング』には、アーロンが「近くに住んでいる甥が心配だ」と話すシーンがありました。

現在は離脱したことが報じられているものの、『デッドプール』をアニメ化する企画に脚本・製作総指揮として参加。大ヒットした『ブラックパンサー』の続編への出演が噂されるなど、何かとマーベル作品と縁があるドナルド・グローヴァー。近い将来、マーベルヒーローを実写映画で演じる可能性もありそうです。

俳優以外に脚本家、監督としても才能を発揮したテレビドラマ「アトランタ」

近年は映画俳優として知名度を高めているドナルド・グローヴァーですが、アメリカのショービズ界において、その存在感を決定的にしたのが2016年放送開始のドラマ「アトランタ」です。

アメリカの地方都市アトランタが舞台のこの作品で、ドナルド・グローヴァーは名門大学を卒業したものの、うだつの上がらないセールスマンになった主人公のアーンを好演。一念発起して従兄弟のラッパーのマネージャーとなり、業界でのサクセスを目指すというストーリーとともに、高い評価を受けました。

ドナルド・グローヴァーはこの作品で、俳優だけでなく監督、脚本も担当しています。ショービス界における権威ある賞「ゴールデングローブ賞」では、2017年に個人としてテレビドラマ部門男優賞を受賞。さらに、同年のエミー賞ではコメディ部門の主演男優賞に加え、監督賞、脚本賞にノミネートされると、主演男優賞と黒人初となる監督賞を受賞する快挙を達成しています。

このこともあってアメリカでは同作の人気が沸騰。2018年にはシーズン2も放送されて話題になっています。

ミュージシャンのチャイルディッシュ・ガンビーノとしてグラミー賞も受賞

映画やテレビドラマで多彩な才能を発揮しているドナルド・グローヴァーですが、それと時を同じくしてミュージシャンとしても輝かしい実績を築き上げています。

「チャイルディッシュ・ガンビーノ」の名義で、ラッパー兼歌手として活動しているドナルド・グローヴァー。最近では2016年末に発表したアルバム『Awaken, My Love!』が大ヒットしています。70年代のファンクミュージックにインスパイアされた音楽性は話題となり、今年1月に発表された「第60回グラミー賞」では、主要2部門を含む5部門にノミネートされて、最優秀トラディショナルR&Bパフォーマンスを受賞。受賞式ではライブパフォーマンスも行っています。

ちなみに、この授賞式ではディズニーの名作アニメ『ライオンキング』実写版で、若き日のシンバ役を演じた子役のJD・マクラリーと共演したことも話題となりました。この作品は2019年に公開を予定されており、ドナルド・グローヴァーは主人公シンバ役を演じます。同作では、世界の歌姫ビヨンセとの共演も発表されています。

世界が注目した衝撃のMV「This is America」

2018年5月に彼の名を世界にとどろかせたのが、「This is America」のミュージック・ビデオです。

チャイルディッシュ・ガンビーノ名義で公開された同映像は、先述の「アトランタ」でタッグを組んだ日本人映像作家のヒロ・ムライが監督したもの。ブラック・ライヴズ・マター運動など、現在のアメリカ社会における黒人差別を連想させる衝撃映像が、本国アメリカのみならず日本でも話題となっています。

特に、映像の中でドナルド・グローヴァーが銃を乱射しているシーンは、実際にアメリカで黒人差別がきっかけで起きたトレイボン・マーティン射殺事件、チャールストンの黒人教会銃乱射事件をモチーフにしているであろうことが視聴者の間で考察されて、大きな話題となっています。歌詞解説サイト「Genius」の閲覧数は、史上最速となる45時間で100万PVを突破。YouTube再生回数も、わずか1週間足らずで1億回、1ヶ月で2億回を突破しました。

日本ではこれまであまり知名度のなかった彼ですが、ハフポスト日本版が特集記事を公開するなど、音楽専門メディアも社会現象として取り上げたことで、一気にその存在が知られることになりました。なお、ミュージシャン「チャイルディッシュ・ガンビーノ」としては、次のアルバムで引退することを表明していますが、「This is America」での活躍もあって、その活動に世界中が注目しています。

『スター・ウォーズ』シリーズにおけるランド・カルリジアンとは?

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』/2018年6月29日(金)公開/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

ショービズ界のあらゆる分野で、唯一無二の活躍を見せるドナルド・グローヴァー。今回の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では、シリーズファンにとってはおなじみ、悪名高きギャンブラーのランド・カルリジアンの若き日を演じます。

ランド・カルリジアンは、オリジナル・トリロジーこと旧三部作にも登場する、愛すべき悪党でアウトローのハン・ソロのかつての悪友です。彼はギャンブルや詐欺によって生活し、手にした大金によってしゃれた格好に身を包んでは多くの女性と遊ぶ、色気のあるキャラクター。本作では後に悪友となるハン・ソロとランドの、まだぎこちないやりとりが描かれます。

「スター・ウォーズ」シリーズでランドは、『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』(1980年)にて初登場し、帝国軍に追われたハン・ソロとレイア姫を裏切るものの、のちにダースベーターに反旗を翻して、囚われたレイア姫を奪還。さらに、ハン・ソロの救出のための行動にでます。『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983年)では、ハン・ソロ救出後に反乱同盟軍の将軍に。帝国軍のデス・スター破壊のための突撃隊長として、ミレニアム・ファルコンに搭乗し、デス・スター中枢部の破壊に成功しました。

ハン・ソロの船であるミレニアム・ファルコン号は、元々はランド・カルリジアンのもの。いかにしてファルコン号がハン・ソロの手に渡ることになったのか? 今回の映画では、その知られざる秘密も明かされますので、往年のファンも要注目です。ドナルド・グローヴァーがどのように若きランド・カルリジアンを演じるのか、今から楽しみでなりません。

(文/Jun Fukunaga@H14)

 

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