6月29日公開予定の『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』は、今もなおカリフォルニア州のサウスウィンチェスター通りに佇む、“幽霊屋敷”として知られる「ウィンチェスターハウス」をもとにした映画だ。

ウィンチェスターハウスは、呪いによって夫と子を亡くしたと信じるサラ・ウィンチェスターが、その呪いから逃れるため、38年間1日も休まず増改築を繰り返したという屋敷。開かずの間、まるで迷宮のように入り組んだ部屋……1人の女性の私邸とはにわかに信じがたい構造。その異様さからか「幽霊が出る」と噂され、サラの死後は怪奇建築物として、ミステリー好きの観光客に人気のスポットとなっている。

そんな「事実は小説より奇なり」もとい、「事実は映画より奇なり」な“幽霊屋敷”をモデルにした作品を、3本ご紹介したい。

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「人を喰う屋敷」に心理学者と超能力者が挑む『ローズ・レッド』

心霊現象を科学的に実証するため、女性心理学者が超能力者6人と調査チームを結成し、自ら部屋を増やし続ける幽霊屋敷「ローズ・レッド」に挑む姿を描いた『ローズ・レッド』(2002年)。

本作はホラー作家のスティーヴン・キングが脚本を手がけており、TV放送されたエピソードを1本の長編映画としてまとめた、4時間超の骨太な作品に仕上がっている。「持ち主であった女主人の遺志を継ぎ、屋敷に入った人間のエネルギーを喰らいながら増殖していく呪いの家」という設定は、ウィンチェスターハウスを彷彿とさせる。

研究に命をかける女性学者、マザコンの霊能力者、サイコキネシスの力を持つ自閉症の少女など、登場人物の個性も抜きん出ている。彼らが一人、また一人と屋敷に殺されていく展開は、不謹慎ながらドキドキハラハラワクワクの連続だ。なお、脇役で登場するスティーヴン・キングも見どころのひとつ。

奇怪な屋敷で起こる幽霊大戦争『HAUNTING 震! 悪魔の棲む家』

ウィンチェスターハウスの管理人を任されたスーザン、ドレーク、アニーの一家3人を、次々と怪現象が襲う様子を描いた『HAUNTING 震! 悪魔の棲む家』(2009年)。

管理人を任された家が、想像以上の豪邸だったことに喜んでいた主人公一家。しかし、次々怪現象に見舞われる羽目になり、ついには娘が霊にかどわかされて行方不明となってしまう。娘を探すために、夫妻は謎の超常現象研究家・ハリソンとともに怨念渦巻く屋敷で決死の捜索を開始するのだが……。

本作の見どころは、何と言っても屋敷に潜むウィンチェスター一族の霊&ウィンチェスター家を狙う霊達が登場する際の演出だ。ふっと気づくとよぎる影、突如現れる醜悪な形相の老婆に何度肝が冷えたことか。まるで遊園地のお化け屋敷をこわごわ進んでいるようなスリルがある。特に、霊の代表とも言うべき老婆・サラの恐ろしいこと恐ろしいこと。正直、こんな屋敷にはどれだけ高額な報酬をもらっても住みたくない! と叫びたくなってしまうこと請け合いだ。

また、ラストに向けて丁寧に張られた伏線にも舌を巻く。結末に驚いてからまた観なおすと、「ああ、これはこういうことだったのか!」と味わうことのできる、一粒で二度美味しい作品だ。

夢の国の人気アトラクションを映画化『ホーンテッドマンション』

ウィンチェスターハウスがモデルだと言われているディズニーランドの人気アトラクション「ホーンテッドマンション」を、ホラーコメディとして映画化したのが『ホーンテッドマンション』(2003年)だ。

本作の主人公は、不動産業を営むジム・サラの夫婦。彼らは、かつて屋敷の主人が非業の死を遂げた大豪邸の売却を相談される。家族総出で屋敷に訪れた夫婦を迎えたのは、死んだはずの主人・エドワード、執事・ラムズリー、そして屋敷に棲む幽霊達だった。そう、エドワード邸は多くの霊がうろつく恐ろしい幽霊屋敷だったといった話だ。

本作は、ホラーと銘打たれてはいるが、ディズニー映画らしく「真実の愛」をテーマにした作品。「自殺したエドワードの恋人・エリザベスと瓜二つだった」という理由でサラがエドワードらに狙われる、という緊迫した展開の中、いくつもの愛が試される。ジム、サラ、そして子ども達の家族愛。エドワードとエリザベスのめくるめく愛。さまざまな「真実の愛」が、怪しげで壮麗な“ホーンテッドマンション”を舞台に描かれるのだ。とりわけ、エリザベスの死の秘密が明らかとなるクライマックスのシーンには、思わず涙する。

怖いのに、クスッと笑えて泣ける秀逸な作品。「ホラーといえど、怖すぎるのはちょっと……」という“ホラー初心者”にもオススメだ。

世にもおぞましき館が生まれた謎に迫る『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』

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世界でトップクラスに有名な幽霊屋敷「ウィンチェスターハウス」。その忌まわしき伝説に真正面から切り込んだのが、『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』だ。サラはなぜ妄念にとり憑かれたのか? どのようにして何の変哲もない屋敷を稀代の「幽霊屋敷」に改築していったのか? そんな、ウィンチェスターハウスのおぞましい成り立ちが丁寧に描かれている。

ストーリーはこうだ。サラ・ウィンチェスターは自らの不遇を霊媒師に相談し、度重なる増築を行うようになるが、彼女が経営するウィンチェスター社の重役たちはそのことをいぶかしく思う。そこでサラから経営権を奪うため、精神科医のエリックを屋敷に送り込むが、エリックは屋敷で毎晩怪奇現象に悩まされ、追い込まれていく。やがて彼は、とある部屋を発見し、亡霊の正体へと迫っていく。

監督は、『ジグソウ:ソウ・レガシー』(2017年)で『ソウ』シリーズのファンから高い評価を受けたスピエリッグ兄弟が担当。「最恐の幽霊屋敷」の名にふさわしい、キレキレのホラーを見せてくれることだろう。

来たる夏、納涼代わりに、ウィンチェスターハウスの不思議でおぞましい世界へと足を踏み入れてはいかがだろうか。

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『ウィンチェス ターハウス アメリカで最も呪われた屋敷 』
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2018 年6月29 日(金)TOHOTOHO シネマズ シャンテほか全国公開

(小泉ちはる@YOSCA)