人気ミステリー『猫弁』シリーズで知られる大山淳子の小説『猫は抱くもの」が同名タイトルで映画化された。メガホンを取ったのは、『メゾン・ド・ヒミコ』『ジョゼと虎と魚たち』などの繊細な恋愛ドラマから、時代劇『のぼうの城』まで幅広いジャンルを手掛けてきた犬童一心監督。『猫は抱くもの』では元アイドルの女性・沙織と自分を人間だと思い込んでいる、ロシアンブルーの猫・良男が、自分らしく生きるすべを見つけるため奮闘する姿を描いている。

この映画で犬童監督は、主人公と猫の関係を立体的に浮かび上がらせるため、「人の視点」と「猫の視点」を導入。実際の猫に加え、個性豊かな俳優たちが擬人化された猫を演じるという斬新なアプローチに挑んでいる。『ヘルタースケルター』以来6年ぶりの主演となる沙織役の沢尻エリカと、沙織の飼い猫・良男が擬人化した姿を演じた吉沢亮にお話を伺った。

演じている時は想像出来ない部分が多かった

Q:完成した本編を初めて観た時、どう思いましたか?

沢尻エリカ(以下、沢尻):初めて脚本を読んだ時、想像出来ない部分が多くて。撮影に入る前の舞台稽古で、脚本で想像出来なかった部分を手探りで演じていくのは楽しい経験でした。完成した本編はとても可愛くてファンタジーな世界観に仕上がっていて、犬童監督らしいなと思いました。

Q:吉沢さんは猫を演じていますが、どのようにして役を作り上げていったのでしょう。

吉沢亮(以下、吉沢):初めて人間以外の役を演じるのは楽しみでもありましたが、プライベートで猫を飼ったことがなく、最初はどう演じたら良いのか分かりませんでした。舞台稽古で監督から猫の細かい動きをいろいろと伺って、役を作り上げることが出来ました。

Q:良男が沙織に甘えるところや、良男が電車の音にビクッとするところなど、すごく猫の感じが出ていました。

吉沢:監督に猫の細かい動きや俊敏さをいろいろと教えていただきました。監督は猫に対する愛情がすごく強くて、猫マスターみたいな存在でした。

Q:吉沢さんは猫を飼ったことがないそうですが、沢尻さんはいかがですか?

沢尻:私はもともと犬派で、現在も犬を2匹飼っているんです。猫も好きですが、付き合い方が分からなくて、飼ったことがありませんでした。でもこの映画で共演した猫の良男を撮影終了後に引き取ったんです。母は猫派でずっと猫を欲しがっていたので、この映画が猫を飼う良いきっかけになりました。今では私が飼っている犬たちと打ち解けて、一緒にじゃれ合って遊んでいます。

Q:猫のお名前は?

沢尻:グレー色にちなんで、グリちゃんと名付けました。母はグレー、猫、グリグリと呼ぶときもあります。

Q:吉沢さんはご自身が良男を演じていただけに、特別な想いがあり、猫を引き取りたかったのでは?

吉沢:僕は良男役なので、撮影現場で猫の良男と接する機会がなかったんです。別のシーンに良男が来ている時はあったんですが、一緒のシーンはなくて。

苦労したのはキャットフードを食べるシーン

Q:吉沢さんは猫の良男として、キャットフードを食べるシーンがありましたが、あれはお菓子ですか?

吉沢:ココア味のクッキーです。この映画のために作ったもので、味はおいしかったのですが……。

沢尻:私も気になって食べてみましたが、口の中の水分が全部持って行かれました(笑)。

吉沢:あれを食べながら芝居をするのは難しかったですね。猫の役なのでバリバリ食べなければならないんですが、あのお菓子は口の中で全く溶けない(笑)。セリフを喋るのに苦労しました。

Q:映画以外のお話もお聞かせください。オフの過ごし方は?

沢尻:トレーニングをしたり、美容室やエステへ行くこともあります。

吉沢:ずっと家にいます。DVDを観たり、ゲームをしたり、漫画を読んだり、ひとりで出来ることをしています。最近、観て良かった映画は『ピアノ・レッスン』です。

Q:最後に、この映画の見どころを教えてください。

吉沢:全体的にとても可愛らしい世界観で、観るとハッピーな気持ちになる映画だと思います。歌ったり踊ったり劇場で撮ったりとか、いろんな要素が詰まっている、あまり観たことのない映画になっています。ご覧になった方が、新しいものを観たという気持ちになっていただけるような作品だと思っています。

沢尻:かわいい猫たちがたくさん出て来ます。実写の猫たちのほか、擬人化された猫を演じた役者さんたちはみんな個性豊かで、素晴らしい演技を披露されています。私も撮影現場で役者さんたちの演技をすごく楽しみました。ぜひご覧いただきたいです。

(C)「猫は抱くもの」製作委員会

『猫は抱くもの』
6月23日より新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイト:http://nekodaku.jp/
配給/キノフィルムズ
(C)「猫は抱くもの」製作委員会

取材・文/田嶋真理 撮影/横村彰