今春、大相撲の巡業中に「女性は土俵から降りてください」とアナウンスされたことが大きなニュースになりました。映画における女性と相撲の組み合わせを探ってみると、女性のたくましさや相撲の新たな魅力を教えてくれる作品が揃っていました。

そこで今回は、女相撲興行をモチーフにした『菊とギロチン』(7月7日公開)を含む「女性×相撲」映画を4本ご紹介します。

(c)2018 「菊とギロチン」合同製作舎

男性部員を鼓舞したのは女性の相撲『シコふんじゃった。』

若貴ブームに湧く1992年に公開され、日本アカデミー賞やブルーリボン賞に輝いた『シコふんじゃった。』。同作では、女性×相撲の描写が話を盛り上げるのに一役買っています。

ストーリーは、単位をもらうために相撲部に入った大学生の秋平が、肥満体型で内気な田中、試合になるとお腹をこわしてしまう青木、痩せっぽちな自分の弟・春雄、まわし姿になることを頑なに拒む留学生・スマイリーといった凸凹メンバーとともに相撲に奮闘し、成長していくというもの。

そんな彼らを支えるマネージャーが、巨漢の女子大生・正子です。奥ゆかしい性格の正子ですが、春雄がケガをしてしまい試合への出場が危ぶまれると、「……私、出ます」と言いだし、胸にさらしを巻いて出場。いくら身体が大きいとは言え、女性の正子が男性と闘うのは容易ではありません。しかし、懸命に踏ん張る正子を見ているうちに、部員には熱いものがこみ上げ、落ちこぼれだった彼らが奮起するのです。

本木雅弘のほか、竹中直人、柄本明、田口浩正といった個性派俳優が揃う中、オーディションで一般から選ばれた正子役・梅本律子の存在感は圧倒的です。

女性が相撲部を救った実話をもとにした『ちゃんこ』

廃部の危機に直面していた広島大学の相撲部が、女子学生と留学生の入部によって存続。翌年には同部初の女性主将が誕生した実話をもとに描いた作品が『ちゃんこ』(2006年)です。

アルバイトと勉強だけの大学生活を送っていた主人公の由香は、ある日、唯一の相撲部員で、ブラジルからの留学生であるカブレラのぶつかり稽古を見て相撲の虜に。試合を目指して留学生部員たちとともに相撲に取り組む中で、淡い恋を経験したり、異文化交流をしたりしながら成長していきます。

クールな由香が相撲に夢中になっていく姿が印象的で、クライマックスとなる試合のシーンはとにかくリアル。由香役を務めた須藤温子は1ヶ月稽古場に通い、撮影に臨んだそう。公式サイトのインタビューでは「まわしを付けた自分の姿が恥ずかしくて鏡を見たくなかったです。だけど、だんだん気持ちが変わっていって、撮影が始まる頃には土俵に上がるならまわしをしなくちゃって思うくらいになった」とコメントしています。

相撲に、ひたむきに向き合う由香や留学生。同作で彼女らが汗を流しながら稽古に励む姿は、相撲が国や性別を問わずに楽しめるものであることを教えてくれます。

女性×相撲×海外制作という異色の相撲映画『恋はハッケヨイ!』

女性×相撲の映画は、国内だけにとどまりません。イギリスでも、世界初の女相撲映画『恋はハッケヨイ!』(1999年)が制作されています。

太めな身体にコンプレックスを抱く主婦のデイジーは、夫の職が不安定なため缶詰工場でパートを始めることに。実はその缶詰工場には秘密の女性相撲チームがあり、デイジーはスカウトされて入部。やがて相撲の力強さ、美しさに魅了されていくというストーリーです。

同作では、太っていることを気にして周りとうまく馴染めずにいるデイジーが、相撲をとることで自己嫌悪や劣等感から解放され、自己実現を成し遂げるという精神的な成長に重きを置いているのが特徴です。キュートなヒロインとして登場するデイジーから、美しさは体型が左右するものではないというメッセージが見て取れます。

女性×相撲×海外制作という異色づくしですが、だからこそ既成概念にとらわれない新たな相撲の魅力に気づかせてくれる一作です。

もがきながら生きる意味を探す女性力士を描く『菊とギロチン』

(c)2018 「菊とギロチン」合同製作舎

7月7日から公開される『菊とギロチン』は、実在した女相撲の興行一座を描いた作品です。舞台は大正末期の関東大震災直後。東京近郊に、元遊女や家出娘などのワケあり女性たちで構成される女相撲一座「玉岩興行」が現れるところから始まります。

女というだけで、押さえつけられる人生を送らざるをえなかった彼女たちにとって、相撲の一座は「強くなりたい」という願いを叶えられる唯一の場所。周囲の人々から奇異な目で見られながらも、厳しい稽古に打ち込み興行に備えます。

そして興行当日、一座は、「社会を変えたい」という大きな夢を持つアナキストグループ「ギロチン社」と出会い、心を通わせるように。「差別のない世界で自由に行きたい」という純粋な願いを胸にそれぞれの闘いに挑むも、そこには厳しい現実が待ち構えていたのです……。

時代に翻弄されながらも強く、たくましく明日を見つめた女性力士たちの姿を、ぜひ劇場でご覧ください。

『菊とギロチン』は7月7日より全国公開。

(c)2018 「菊とギロチン」合同製作舎

『菊とギロチン』
7月7日(土)よりテアトル新宿ほかにて全国順次公開
(c)2018 「菊とギロチン」合同製作舎

(鈴木春菜@YOSCA)