ある時は世のため人のために巨悪に立ち向かい、ある時は冷徹なマシンとなって人を殺しまくる……。どんなキャラクターを演じても唯一無二の存在感を放ってきたアーノルド・シュワルツェネッガー。現在70歳の彼が、“世界最強の殺し屋”を演じた新作『キリング・ガンサー』(7月14日公開)のタイミングで、これまで数々の作品で演じてきた“強キャラ”たちを振り返ってみたいと思います。

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シュワルツェネッガーにしか出せない圧倒的な肉体の説得力

シュワルツェネッガーはボディビル出身の俳優です。役者デビューとなった『SF超人ヘラクレス』(1970年)など、ボディビルダー時代にも類まれな肉体を武器に役を獲得しましたが、30代半ばで出演した『コナン・ザ・グレート』(1982年)でアクション俳優としての転機を迎えます。

シュワルツェネッガー演じるコナンは元奴隷の剣闘士。宿敵討伐の旅に出たコナンが、屈強な肉体と剣術を駆使して敵を次々となぎ倒す姿は圧巻で、本格的なスタント&アクションに初挑戦したシュワルツェネッガーが、内に秘めた野獣性を爆発させました。全編ふんどし姿で暴れまわる彼が放つ肉体的な説得力は、俳優キャリア初期のピークかもしれません。

たったひとりでも生き残る!生身の人間とは思えない強さ

シルベスター・スタローンなど多くのスターが活躍した“筋肉アクション映画”のジャンルで、中心人物のひとりとなったシュワルツェネッガーは、立て続けに勧善懲悪のヒーローを演じました。中でも『コマンドー』(1985年)は その“強さメーター”が振り切れている作品です。

かつて最強を誇ったコマンドー部隊の指揮官だったジョン・メイトリックス(シュワルツェネッガー)が、単身、敵の軍勢に挑んでいくのですが、その反撃ぶりが最強。鍛え上げられた鋼のような肉体だけでなく、隠密行動や暗殺術にも長けていて、大勢の敵はマシンガンやロケットランチャーで一掃、巧みなナイフさばきで近接戦でも無敵です。

『プレデター』(1987年)でも、その驚異的な強さを発揮。特殊部隊を率いる“ダッチ”少佐は、ジャングルで圧倒的な戦闘力を誇る地球外生命体・プレデターの襲撃に遭います。ダッチは、銃火器を失っても木を削り弓矢や槍を作って応戦、相手の裏をかく戦術で致命傷を負わせるなど、地球外生命体との能力差を“知恵”で覆し、生き残ることに成功します。

生身の人間の限界を超越している、ある種、荒唐無稽なキャラクターを演じた両作ですが、「シュワルツェネッガーなら可能かも?」と観客に思わせてしまうのは彼にしかできない芸当です。

敵役でも最強!バットマンをここまで追い詰めたキャラはいない?

シュワルツェネッガーの強さは悪役としても重宝されてきました。その代表格は、彼を世界的スターへと飛躍させた『ターミネーター』(1984年)です。演じたT-800は、プログラムされた“サラ・コナー抹殺”というミッションを、機械的に淡々と遂行する殺戮マシン。多少の銃撃にはビクともせず、倒したと思っても直後に立ち上がってくる。そんな“死なない”ことがもたらす絶望感は、悪役像として画期的でした。

番外編的な扱いかもしれませんが、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』(1997年)も悪役・シュワルツェネッガーの外せない作品です。悪趣味全開のふざけた言動でバットマンを惑わせつつ、無慈悲にも冷凍銃でゴッサム・シティ全体を氷漬けにしてしまう凶暴性は、『ダークナイト』(2008年)のジョーカーなど他のヴィランたちに引けを取りません。シュワルツェネッガーがメタリックな特殊スーツで全身を覆い、青白いボディペイントで挑んだ奇抜なビジュアルも相まって、悪目立ちという意味でもかなり際立ったキャラクターでした。

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ジジイなのに強い!近年のシュワルツェネッガーが強さを更新?

2003年にカリフォルニア州知事に選出されてからは、シュワルツェネッガーの映画出演の機会は減りますが、盟友シルベスター・スタローンに誘われて2010年に出演した『エクスペンダブルズ』シリーズ以降、アクション映画への回帰を果たしています。

そして知事退任後は、保安官が麻薬王に立ち向かう『ラストスタンド』(2013年)、凶暴な囚人を束ねるボスを演じた『大脱出』(2013年)、特殊部隊リーダー役で精神的な強さを表現した『サボタージュ』(2014年)など、年齢に合わせた“ベテラン”キャラクターで強さを見せてきました。

今回の『キリング・ガンサー』は、アクションに加えてコミカルな要素もふんだんに盛り込んだ「これぞシュワルツェネッガー!」といえる作品です。演じるのは、裏社会で最も恐れられている伝説の暗殺者・ガンサー。そんな彼の商売敵であるブレイク・ハモンが、爆発物の専門家、8歳から殺しを始めた女性殺し屋、ハッキングのプロ、毒殺のスペシャリスト……など、最強のチームを結成して、ガンサーを殺そうとします。

しかし、スゴ腕のガンサーは簡単には殺されません。変装の達人なので、姿を変えることも朝飯前。神出鬼没でどこから狙らわれているか分からないので、返り討ちに遭ったブレイクのチームは、姿が見えないガンサーの恐怖にさらされます。強すぎるがゆえにスクリーンに映っていない時も恐怖を与える、シュワルツェネッガーの新たな境地です。

一方で、冷蔵庫の扉をもぎ取って、その扉でそのまま相手を殴りつけるといった肉弾アクションでは、いまだ健在な肉体の強靭さも披露。泥臭いアクションを得意としていたシュワルツェネッガーの本領発揮ともいえる見せ場もちゃんと用意されています。

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『マギー』(2015年)や『アフターマス』(2016年)など、最近は人間的で繊細な演技も披露していますが、彼の真骨頂は何と言ってもアクション。『キリング・ガンサー』で最新のシュワルツェネッガーを見れば、「やはり強い!」と再確認できること間違いなしです。

(文/バーババ・サンクレイオ翼)