『ジュラシック・パーク』(1993年)の公開から25周年を迎える『ジュラシック』シリーズ。14年ぶりの復活で注目を集めた第4弾『ジュラシック・ワールド』(2015年)が、日本でも95億円の興収を記録する大ヒットとなったことは記憶に新しいですが、7月13日(金)より早くも最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が日本に上陸しました。

ハリウッドを牽引する、まさに“モンスタームービー”と呼ぶにふさわしいこのシリーズですが、すごいのは興行収入だけではありません。映画を変えた、と言っても過言ではないほど、後の作品に多大な影響を与えてきたのです。

(c) Universal Pictures (c) Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

CGを使ったすべての映画は「ジュラシック・パーク」の影響下にある?

いまや当たり前になったCG(コンピューター・グラフィックス)技術ですが、もともとは、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めた『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(1985年)など、1980年代後期から部分的に映画に用いられてきました。そして、『ジュラシック・パーク』で、実写映画史上はじめて“生き物”をCGで表現したことで、革新的な進化を遂げます。

中心メンバーとして手がけたのは、ジェームズ・キャメロン監督の『アビス』(1989年)や『ターミネーター2』(1991年)など、CGによって水や金属を表現したデニス・ミューレンです。『ジュラシック・パーク』に登場するCGの恐竜たちは、リアルな質感と細やかな仕草で、本当に現代に恐竜が生きているかのような説得力をもたらしました。

専用のデジタルソフトまで開発して作られた『ジュラシック・パーク』は世界に衝撃を与え、本作を境に、CGの時代が幕を開けていくことになるのです。また、『タイタニック』(1997年)といった数々の超大作を手がけているVFX制作会社デジタル・ドメインなど、『ジュラシック・パーク』を機に設立された会社もあり、もし本作がCGを採用しなければ、後の多くの名作も誕生していなかったかもしれません。

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『ジュラシック・パーク』はひとつの時代を終わらせた作品でもあった…

実は『ジュラシック・パーク』は、初めからCGありきで制作が進んでいたわけではありません。もともとは“ゴー・モーション”というストップモーション・アニメの一種を使って撮影される予定で、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980年)や『ロボコップ』(1987年)などでその手腕を高く評価されていたストップモーション・アニメーターのフィル・ティペットが招集されていました。

ティペットは持ちえるすべての技術と経験を駆使して、ゴー・モーションで恐竜たちに“命”を吹き込みました。しかし、どうしても動きがぎこちなくなり、完全な滑らかさに欠けていました。このことに頭を悩ませていたスピルバーグ監督は、ミューレンが密かに作っていた恐竜の骨格の群れが野原を駆けるCGのテスト映像を見て、あまりの滑らかさに驚愕します。

ゴー・モーションの代わりに全面的にCGを使用することが決まり、ティペットは失意のまま降板することになります。彼が思わずスピルバーグに漏らした「私(=過去の特殊効果)は絶滅だ」という言葉はあまりにも有名で、同映画の中でも“旧時代”が終わる象徴のセリフとして用いられているのです。

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アナログとデジタルの架け橋となった『ジュラシック』シリーズ

CG技術の進歩のきっかけとなった『ジュラシック・パーク』ですが、すべてがデジタルというわけではなく、“アナログとデジタルの架け橋”と位置付けることができる作品です。

CGで滑らかな動きを生み出すことには成功したものの、恐竜たちがどうやって動くと自然に見えるのか、その知識がありませんでした。そこで再び招集されたのが、一度クビになったティペットです。完璧な恐竜の動きを作り出すために、恐竜の生態まで細かく把握していた彼は、監修という形で、CGスタッフたちに恐竜の演出を授けました。

さらに本作では、“アニマトロニクス”という生物を模したロボットを使い、撮影する技術が用いられています。SFXアーティストのスタン・ウィンストンが制作したアニマトロクスの恐竜たちは、いわばデジタルとアナログの中間。キャストと恐竜が対峙する、どアップで恐竜が映し出されるシーンで圧倒的なリアリティを発揮しました。

CG技術が発達した後のシリーズ作品や、最新作の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』でも、このアニマトロクスは現役の技術として使用されています。『ジュラシック』シリーズは、過去の技術とそれを支えたクリエイターたちへのリスペクトにあふれているのです。

(c) Universal Pictures

ミューレン、ティペット、ウィンストンらの技術が集結した『ジュラシック・パーク』は、アカデミー視覚効果賞を受賞し、映画界における特殊効果のターニングポイントとなりました。

技術だけでなく、『ジュラシック・パーク』は公開当時の全世界興収記録を塗り替え、『ジュラシック・ワールド』は週末興収記録を打ち立てるなど、数字でも映画史を更新し続けています。『ジュラシック・ワールド/炎の王国』も、すでに公開された北米を含む68の国と地域で初登場1位を獲得(7月3日時点)。一部の国ではシリーズ史上最高のオープニング成績を打ち立てています。

映画のあり方に影響を与えてきた『ジュラシック・パーク』シリーズは、これからも語り継がれていくことでしょう。25周年というアニバーサリーイヤーを飾る最新作ではどんな驚くべき表現を見せてくれるのか、劇場でチェックしてください!

(文/ケヴィン太郎・サンクレイオ翼)