1919年の創刊以来今年で100年を迎える『キネマ旬報』。これまで創刊70年、80年、90年と節目ごとに「映画史上のベスト・テン」アンケートを行ってきましたが、創刊100年を迎えるにあたり、趣向を変え10年ごとに区切ったベスト・テンを行うことにしました。

前号『キネマ旬報』7月下旬号での特別企画「1970年代外国映画ベスト・テン」に続く、第2弾として、『キネマ旬報』8月上旬特別号では、本誌レギュラーの評論家・ライターなど中心に115名に選んでいただいた、「1970年代日本映画ベスト・テン」をお届けします。

第1位 太陽を盗んだ男

(C)TOHO CO.,LTD.
1979年キネマ旬報ベスト・テン第2位

70年代の閉塞感をぶち破るべく現れた破格のエンターテインメント。中学教師は呟く――「誰にでも原爆は作れる。この太陽の力を君たちの手に取り戻した時、君たちの世界は変わる」。膨張する都市に埋もれる日常に抵抗を試みた男が取り戻したかったものは何か? 長谷川和彦が「ヘヴィとハイ」を融合させて突きつけた問いは、今も鮮烈だ。(文=渡部幻)

第2位 仁義なき戦い

(C)1973 東映
1973年キネマ旬報ベスト・テン第2位

戦後の広島で実際に起きたやくざ抗争を、その渦中にいた組長・美能幸三(映画では広能昌三)の手記を基に深作欣二監督が映画化。互いの欲望をぶつけ合うやくざたちの群像劇としての面白さが観客の心を捉え、73年1月に第1作が公開されるや翌年6月までに全5作のシリーズが作られた。ここから東映実録やくざ路線が始まる。(文=金澤誠)

第3位 新幹線大爆破

(C)1973 東映
1975年キネマ旬報ベスト・テン第7位

新幹線に仕掛けられた爆弾を巡り、犯人一味と警察、国鉄職員らが息詰まる攻防を展開。内容に難色を示した国鉄の協力を得られず、新幹線本体や関連施設は全てミニチュアとセットで再現。その逆境を逆手に取り、実車では不可能な至近距離からの撮影を行うなど、本物以上の迫力ある映像を生み出した。海外版も世界中でヒット。(文=井上健一)

第4位 ルパン三世 カリオストロの城

原作:モンキーパンチ (C)TMS
1979年キネマ旬報ベスト・テン第54位

囚われの身となったクラリス王妃を救うために、カリオストロ伯爵と対決するルパン三世。70年代邦画はリアルで重い作品も多かった中、本作のルパンだけは城の屋根の上を飛べるほど軽やかで、車は崖を上り、食事シーンに至るまで面白く、そのクオリティは後のジブリ全盛期を予感させた。邦画の夢と可能性が本作に詰まっていた。(文=中川泰伸)

第5位(同点2作品) HOUSE ハウス

(C)1979東宝・フィルムリンクインターナショナル
1977年キネマ旬報ベスト・テン第21位

東宝から「『JAWS ジョーズ』のような映画を」と持ちかけられた大林宣彦が、娘・千茱萸の「少女が家に食べられる」というアイデアを基に作り上げた劇場用映画デビュー作。大林独特の映像マジックが全篇を彩るファンタジックなホラーで、当時は一部の熱狂を除き酷評されたが、根底に流れる反戦への思いなど、その精神は近作にも通じる。(文=井上健一)

第5位(同点2作品) 復讐するは我にあり

(C)1979松竹株式会社/株式会社今村プロダクション
1979年キネマ旬報ベスト・テン第1位

昭和38年。福岡県下で2人、東京都で1人、静岡県で2人を殺害した実在の男の逃亡の果て。佐木隆三の緻密な原作を素材に鬼才・今村昇平は、自らと同時代を生きた“獣”の精神に身を浸し、血液と精液をないまぜに煮詰めて、粘りつくような情念の劇を生み出した。緒形拳ら時代を代表する俳優陣によるアンサンブルは世界映画史に屈指。(文=渡部幻)

7位以下の作品は『キネマ旬報』8月上旬特別号に掲載。1919年の創刊以来今年で100年を迎える『キネマ旬報』が「1970年代ベスト・テン 日本映画篇」を発表。誰もが知るあの名作もランクイン!? 評論家・ライターの作品解説とともに掲載している。

制作:キネマ旬報社