ファン待望となる細田守監督の最新作『未来のミライ』が、7月20日(金)より全国公開。2006年の映画『時をかける少女』のスマッシュヒット以降、その名前を世界的に轟かせている細田守監督作品の魅力を、最新作公開に合わせてあらためて紹介していこう。

魅力その1・カッコよくクールな映像づくり――魅せるレイアウト

『時をかける少女』で印象的に描かれる、街中の分かれ道と標識のカット。タイムリープを繰り返す主人公・紺野真琴がたどる物語の展開を暗示している以上に、映画の一場面として緻密に描かれた背景とキャラクターの構図が素晴らしい。

細田守作品の映像としての心地よさの一つは、そのレイアウト(画面設計)能力の高さにある。リアルに描かれた街や部屋をしっかりと設計することで、絵で描かれたキャラクターたちが、本当にその場にいるように感じることができるのだ。

日本を代表するアニメ映画監督である宮崎駿もレイアウト能力が非常に高いが、細田守監督の持ち味は、スクリーンの画角に合わせた空間の切り取り方のシャープさと言える。

未来のミライ 画角

(C)2018 スタジオ地図

2000年に公開された人気作品の『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』では、PCを操作する主人公・八神太一の部屋を、斜め視点から映し出すカットが印象深い。マンションの一室や何気ない街角でも、少し角度を変えて描くだけで、カッコよく見えるのだ。カメラを必要以上に動かさず、同ポジションでテンポよく描かれるレイアウトの美しさは、往年の小津安二郎作品の画面設計にも通じるだろう。

(C)2018 スタジオ地図

魅力その2・一途で真っすぐなキャラクターたち 

『時をかける少女』の紺野真琴や『サマーウォーズ』の小磯健二は、タイプこそ違えど、少し抜けているところがありつつ、一途な想いや仲間を思いやる気持ちを持っている、等身大のキャラクターだ。アニメキャラクターらしいデフォルメ表現もありつつ、観ている人がどこか共感することができる魅力を持っている。

そして物語が進むにつれてキャラクターたちが躍動し、共闘して敵に立ち向かっていくことに、カタルシスが得られるのだ。

(C)2018 スタジオ地図

魅力その3・形をかえて描かれていく家族の絆

『サマーウォーズ』や、2012年公開の『おおかみこどもの雨と雪』、2015年公開の『バケモノの子』。そして、最新作『未来のミライ』でも、物語の中心には「家族」というモチーフが存在する。

母と子、父と子、そして姉と弟。普遍的な家族関係を、アニメーションならではの表現を用いて描いてきた細田監督。

『未来のミライ』は、4歳の男の子・くんちゃんのもとに、彼を「お兄ちゃん」と呼ぶ、未来からやって来た少女・ミライちゃんがやってくるところから、紡がれるストーリーだ。時代を越えて描かれる家族の絆が、どのようにつながっていくのか――。ぜひ、緻密な背景やキャラクターの構図を最大限堪能できる劇場で観てほしい。

(C)2018 スタジオ地図

日本の夏の風物詩となりつつある、細田守監督作品。家族で観ても友だちと観ても、一人で観ても楽しめるアニメーション映画に、この夏出会ってみてはいかがだろうか。

(文/加藤真大@アドバンスワークス)