文=木俣冬/Avanti Press

暑い……。あまりの暑さに外に出ないでテレビばかり観ていたいところだが、昔から夏のドラマは視聴率が低いと言われている。日本全国、レジャーの季節だからだ。それを好機と捉えて実験的なことを試みるドラマがあれば、あくまで守るドラマもある。試みとして若手俳優を主役に据えることも多い。いろいろあるが、さすがに暑いので難しいこと考えずに粋のいい俳優の躍動を楽しみたい。ということで、俳優を中心におすすめドラマを紹介していこうと思う。

主演の両脇支える共演者からも目が離せない!?

7月クールのドラマのトップバッターを切ったのは、月9「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」(フジテレビ系 月曜よる9時)。シリーズものだが上戸彩から沢村一樹に主役が交代し、捜査する犯罪も、未解決事件や特殊犯罪から、最新技術・AIを使って、サブタイトルの如く犯罪を未然に防ぐ捜査活動を描くことになった。

ふたを開けてみたら沢村一樹もスマートで魅力的だが、横山裕と本田翼が頑張っている。女は男の指に惹かれ、男は女の足技に惹かれるという2大フェチズム。ミステリアスでエレガントに、指で頬に触れる横山、勢いよく蹴りを決める本田翼。沢村、横山、本田の三位一体捜査(プレー)に期待したい。

主演・沢村一樹(中央)、本田翼(左)、平田満(右)
「絶対零度~未然犯罪潜入捜査~」毎週月曜よる9時
(C)フジテレビ

火曜日も綾瀬はるかと竹野内豊と佐藤健の三人体制の「義母と娘のブルース」(TBS系 火曜よる10時)。ひょんなことから子持ちの男(竹野内)と結婚することになった主人公(綾瀬)は、仕事人間のため家庭も仕事的な視線で捉えていて、義理の娘に履歴書を送ったり、腹踊りを見せたり、ちょっとズレているところが愛らしい。

脚本は昨年、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」という大作を描ききった森下佳子。TBSでは「JIN-仁-」「天皇の料理番」などヒット作を書いている森下の才が光り、どの役も生き生きしている。家族に佐藤健がどう関わってくるのか。佐藤はまた、朝ドラ「半分、青い。」の後半戦にどう関わるのかも気になる。ふたつのドラマのキーマンで大忙しの佐藤だが、声や目つきや動作がまったく違っていて目を見張る。

主演・綾瀬はるか
「義母と娘のブルース」毎週火曜よる10時
(C)TBS

4月期「おっさんずラブ」でブレイクした田中圭が出演する「健康で文化的な最低限度の生活」(フジテレビ系 火曜よる9時)は、ケースワーカー(吉岡里帆)が生活保護受給者の人生を立て直そうと奮闘する極めて今日的な問題作。同じく漫画原作の「僕たちがやりました」(2017年)のスタッフが制作していて俳優のビビッドな芝居を撮ることが期待できる。

田中圭は主人公の上司。今度は上司かぁと「おっさんずラブ」ファンはきっと感無量。ほかに1月期「アンナチュラル」で熱演した井浦新が主人公の指導係で出演する。若手人気ナンバー1くらいの勢いがある吉岡を田中と井浦がどう支えるか。こちらも三人に注目。

主演・吉岡里帆(左)、井浦新(中央)、遠藤憲一(右)
「健康で文化的な最低限度の生活」毎週火曜よる9時
(C)カンテレ

過去作からの期待高まる主演たち

水曜日は「アンナチュラル」で大活躍した石原さとみが、才能・美貌・財力すべてを持ち合わせた華道家を演じる「高嶺の花」(日本テレビ系 水曜よる10時)。華道家のもも(石原さとみ)は結婚が破談になり傷つくが、自転車屋店主・直人(峯田和伸)と出会う。格下男の誠実な愛が女の心を動かす話になるとしたら、峯田はそういう役にピッタリ。とはいえ、脚本は純愛ドラマの名手・野島伸司だからひねってくるかもしれない。

主演・石原さとみ(奥)、峯田和伸(手前)
「高嶺の花」毎週水曜よる10時
(C)日本テレビ

木曜日は、綾野剛が無慈悲な企業買収家を演じる「ハゲタカ」(テレビ朝日系 木曜よる9時)。以前、ドラマや映画化もされたスリリングな経済小説を綾野が演じるとどうなるか。企業ドラマといえば池井戸潤ものが一人勝ち状態だが、真山仁原作×綾野のビターな企業ドラマが、猛暑を涼しくさせてくれるかも。

主演・綾野剛
「ハゲタカ」毎週木曜よる9時
(C)テレビ朝日

続いて木曜10時は山﨑賢人がサヴァン症候群の医者を演じる「グッド・ドクター」(フジテレビ系 木曜よる10時)。子供のような心をもった医者が小児科で活躍する。自閉症だが天才的な能力をもつという難役は過去にダスティン・ホフマンを代表に、中居正広や椎名桔平などがやっている。山﨑賢人は名優たちの演技とどう差別化するか、これは腕の見せどころである。

主演・山﨑賢人
「グッド・ドクター」毎週木曜よる10時
(C)フジテレビ

コンビネーションも楽しみなドラマ

「探偵が早すぎる」(読売テレビ・日本テレビ系 木曜よる11時59分)は滝藤賢一演じる探偵が、広瀬アリス演じる女子大生を守るミステリー。事前に犯罪を察知し防ぐとは「絶対零度」と趣旨がかぶるが、こちらはコメディ。滝藤と広瀬のコンビネーションが面白そう。

主演・滝藤賢一(右)、広瀬アリス(中央)、水野美紀(左)
「探偵が早すぎる」毎週木曜よる11時59分
(C)読売テレビ

若手の活躍といえば「チア☆ダン」(TBS系 金曜よる10時)。土屋太鳳、佐久間由衣、石井杏奈たちがチアダンスにいそしむ。ヒット映画の9年後のストーリーで映画の主演だった広瀬すずも先輩役で出演。女子たちのチアダンスは絶対眼福。土屋のキレッキレのダンスは有名だが、番宣番組で石井杏奈が抜群の運動神経を見せていたので、注目している。

演技派対決が楽しめそうなのは、山田孝之×菅田将暉の「dele」(テレビ朝日系 金曜よる11時15分)。スター性をもちながら、そのスター性を消して役に徹する2大天才職人俳優・山田孝之、菅田将暉がデジタルの遺品整理を請け負う仕事を通して持ち主の真実を解き明かしていく。本多孝好、金城一紀、瀧本智行などが原作、脚本、演出で参加してディープなドラマになるだろう。

主演・山田孝之(右)&菅田将暉(左)
「dele」7月27日(金)よる11時15分放送開始 ※一部地域を除く
(C)テレビ朝日

この俳優の演技に注目!

天才的にミリ単位で的確な演技をする俳優はもうひとりいる。窪田正孝だ。彼は「ヒモメン」(テレビ朝日系 土曜よる11時15分)に主演。“ヒモ”という身も蓋もないダメ人間をどれだけそれっぽく演じるのか。彼が演じることで“ヒモ”に対するマイナスのイメージは払拭されるのか。

最後は日曜劇場「この世界の片隅に」(TBS系 日曜よる9時)。こうの史代が描いた太平洋戦争のとき広島・呉で暮らしていた人たちの物語はアニメ映画になって大評判、今度は岡田惠和脚本で連ドラ化される。健気で愛くるしいヒロインすずは、朝ドラ「ひよっこ」(2017年)のメガネっ子・澄子で注目された松本穂香が、3,000人ものオーディションから選ばれた。

呉から古民家を緑山スタジオのオープンスペースに移築して撮影するという力の入れようなのと、このところ高視聴率を誇る日曜劇場であることから、このドラマが成功したら松本は俳優としてかなりの飛躍をするだろう。朝ドラヒロインレジェンドのようなことが日曜劇場で起こるかもしれない。

主演・松本穂香(左)、松坂桃李(右)
「この世界の片隅に」毎週日曜よる9時
(C)TBS

*         *

ここでご紹介できなかったドラマ、あとから入れなかったことを後悔したドラマも多数ある。心残りな作品は、また個別に紹介していきたいと思う。若手が頑張る夏、彼らのエネルギーをもらって、厳しい暑さを乗り越えたい。