8月3日(金)より公開される『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。第1作から数えてなんと足掛け22年になる世界的人気の本シリーズは、今作で6作目へ突入。56歳を迎えたトム・クルーズが挑むスタントが、作品ごとにスケールアップすることでも話題となっている。

そんな最新作の公開にあたり、シリーズをストーリーの面から考察。トム演じるイーサン・ハントが現在どういう状況下にあるのかはもちろん、時代に合わせて変化した物語の背景など、今さら聞けないシリーズのストーリーをご紹介。整理してから最新作に備えよう!

賛否両論からの大ヒット!第1作『ミッション:インポッシブル』(1996年)

CIAの独立機関であるIMF(インポッシブル・ミッション・フォース)は、世界中の政府が直接手を下せない仕事を秘密裏に実行する極秘組織。例え、作戦中に逮捕、あるいは殺害されたとしても、政府が関与することは一切ない。

ある日、ジム・フェルプス(ジョン・ボイト)率いるIMFチームのもとに「東欧に潜入中のCIA工作員リストを盗もうとしている男を逮捕せよ」という指令が届く。作戦は順調に思われたが、フェルプスをはじめ、チームのメンバーが次々と殺され、イーサン・ハントだけが生き残ってしまう。しかし、この作戦はCIAが内部から情報を漏洩している裏切り者をあぶり出すためのもので、リストも偽物だったことが判明。生き残ったイーサンが疑われ、彼は追われる身になってしまう。

東西冷戦も終わり、スパイの重要性が薄れてきた90年代後半という背景のなか、かつて人気を博したTVシリーズ「スパイ大作戦」を映画化した本作。しかし、トム演じるイーサン・ハントは映画版のオリジナルキャラクター。TVシリーズの二代目リーダーで、「おはよう、フェルプス君」でおなじみのジム・フェルプスも同作には登場しているが、トムは人気者の彼ではなく、本作をイーサン・ハントのシリーズにしてしまったのだから驚く。当初はTVシリーズのファンから様々な声があったが、結果として映画は大ヒットを記録した。

ちなみに、今作でイーサンが集めたチームの一員で、元CIAハッカーのルーサー・スティッケル(ヴィング・レイムス)は、イーサン・ハント以外で唯一全作品に登場するキャラクターなので要チェックだ。

“続編”ではない第2弾『M:I-2』(2000年)

元IMFのショーン・アンブローズ(ダグレイ・スコット)が、凶悪なウイルスと治療薬を奪って姿を消す。イーサンはウイルスの奪還と、アンブローズの元恋人であるナイア(タンディ・ニュートン)をチームに引き入れる指令を受けるが、その過程でイーサンはナイアと恋に落ちる。しかし、囮捜査のため、彼はナイアをアンブローズのもとに送り込まなければならなかった……。

本作はシリーズ第2弾ではあるが、監督のジョン・ウーが続編に興味がなかったこと、当時はトムも毎回テイストを変えたシリーズにしたいと考えていたこともあり、前作とは設定上の関連がなく、“続編”ではない。そのため、タイトルも『ミッション:インポッシブル2』ではなく、『M:I-2』という表記で公開されている。

作風もサスペンスタッチからアクション感が強まり、イーサンの人物像も前作とはかなり印象が変化している。派手な銃撃戦や街中でのカーチェイス、ラストには男同士が浜辺で殴り合うといった、およそスパイとは思えないアクションが楽しめる、シリーズの異色作だ。

新シリーズ第1弾ともいえる『M:i:Ⅲ』(2006年)

現場を退いたイーサン・ハントは教官職に就き、身分を隠して恋人のジュリア(ミシェル・モナハン)と幸せに暮らしていた。しかし、教え子だったリンジー(ケリー・ラッセル)が、任務中に闇の武器商人・デイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の一味に捕らえられたとの知らせが届く。

復帰したイーサンはリンジーを救出するが、頭部に埋め込まれていた超小型爆弾が作動し、彼女は死亡してしまう。だがリンジーは、「IMF内部の人間が裏切り、デイヴィアンと組んでいる」というメッセージを残していた。真相を探るため、イーサンのチームはデイヴィアンの拘束作戦を展開する。

恋人のジュリアを登場させてイーサンを結婚させるなど、これまでにないリアルな日常を描いた本作。前作まではイーサンの単独行動や、ワンマンショー的な展開が目立っていたが、本作は作戦時におけるIMFメンバーとのチームワークを重視。テイストはオリジナルの「スパイ大作戦」により近づけられ、本作以降このテイストでの展開が守られ、新たな第1章という位置づけ的作品になった。

また、イーサンの新たな相棒的存在となるキャラクター、ベンジー・ダン(サイモン・ペッグ)が登場。彼は今後のシリーズすべてに出演するので注目だ。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト ネタバレ

映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』より、左からベンジーとルーサー
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IMF最大の危機!『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)

IMFは、核兵器の使用を企む「コバルト」というコードネームを持つ危険人物に渡される発射コードを奪うミッションに失敗。この緊急事態に、IMFは殺人の罪でロシアの刑務所に服役していたイーサン・ハントを脱出させる。イーサンたちは「コバルト」の情報を求めてクレムリンに潜入するが、何者かに無線を乗っ取られ、さらにはクレムリンに仕掛けられた爆弾が爆発して、大惨事となる。

この事件への関与を恐れたアメリカ政府は、秘密組織のIMFを解体。追われる身となったイーサンたちは、核による大量虐殺で人類の浄化を目論むヘンドリクス(ミカエル・ニクヴィスト)が、「コバルト」の正体だと突き止める。

本作では核兵器の使用を阻止するというミッションのほかに、“イーサンがなぜ刑務所にいたのか”という物語も同時に描かれる。前作でイーサンは結婚しているが、職務上平穏に暮らすことはできず、暗殺者の襲撃を受けた際、妻のジュリアを守るために殺人を犯してしまう。自分のせいでジュリアが危険にさらされると苦悩するイーサン。やがて首謀者の一味が服役中であるという情報を掴んだ彼は、ジュリアの生存を極秘にするという条件で、ロシアの刑務所に潜入する。

映画のラストでは、離れてジュリアを見守るイーサンと、それを受け入れているジュリアの様子がうかがえる。最新作にはジュリアも登場するので、ここはぜひ押さえておきたいポイントだ。

最新作と密接につながる『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015年)

イーサンは謎の組織「シンジケート」を追っていた。一方、これまでの規則を無視したやり方を問題視されたIMFは解体されてしまう。イーサンは後ろ盾を失うが、元IMFのベンジーと共に調査を続けていた。そんななか彼は、「シンジケート」が元英国諜報部MI6のソロモン・レーン(ショーン・ハリス)が率いる組織であることを突き止める。組織に潜入中のMI6諜報員・イルサ(レベッカ・ファーガソン)の協力を得て、イーサンは組織の全貌が記録されたUSBメモリを入手するのだが……。

常にイーサンの行動を先読みするキレ者の首謀者レーンや、イーサンを翻弄しつつも、悪と祖国の陰謀の間で揺れる女スパイのイルサなど、最新作につながる新キャラクターが登場する前作。

ストーリーを言葉で説明されると難解なシリーズの中で、映画を観ればすんなりと理解できる脚本や、迫力と緊張感を兼ね備えたアクションの数々から、本作はシリーズ最高傑作との呼び声も高い。監督も続投しているため、最新作を観るにあたり非常に重要な作品となっている。

最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018年)

ミッション:インポッシブル/フォールアウト シリーズ解説

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盗まれたプルトニウムを奪還する作戦中、イーサンは捕まった仲間の命と引き替えに、敵にプルトニウムを渡してしまう。彼とIMFチームは、世界同時核爆発を未然に防ぐ新たなミッションを受けるが、CIAはイーサンを監視するため、敏腕エージェントのウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を同行させる。

猶予は72時間。手がかりは「ジョン・ラーク」という正体不明の男の名前だけ。情報を得るため、イーサンはやむなく収監中のソロモン・レーンの脱走に手を貸すが、そのことでイルサとの信頼関係が失われてしまう。タイムリミットが迫る中、チームの仲間や愛する妻の命までも危険にさらされて……。

ミッション:インポッシブル/フォールアウト 解説

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最新作には、前作からソロモン・レーン、女スパイのイルサが登場! 妻のジュリアも現れ、前3作と深い繋がりを持った最新作に仕上がっている。

浮き沈みの激しいハリウッドで、一人の俳優が20年以上もコンスタントに同じ役に挑み、毎回世界的ヒットにつなげているシリーズ作は、本作以外、他に例を見ない。トム・クルーズも早56歳。若かったイーサンも歳をとり、味わい深い、魅力を持った人間へと成長している。

本シリーズが求められるハードルは回を重ねるごとに高くなっているが、そのなかで、決して大味にならないハードなアクションと、マンネリ化しない質の高いストーリーが提供され続けている。シリーズがあと何本作られるかはわからないが、いつの日かトムがイーサン・ハントを引退する時、ジェームズ・ボンドのように、新しい俳優がイーサン・ハントを受け継いでいく姿が見られると面白いかもしれない。

最新作は、ぜひ過去作でのトムの勇姿をチェックしてから、劇場に足を運んでほしい。

文=SS-innovation.LLC