この夏、『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』が映画館に登場する! 仮面ライダービルドに変身する天才物理学者の桐生戦兎役の犬飼貴丈と、戦兎の相棒となるライダーに変身する元格闘家の脱獄囚・万丈龍我を演じる赤楚衛二。現役仮面ライダーの2人が、ヒーロー像について語った。

犬飼は「珍味みたいなもの」!?

Q:平成仮面ライダーのシリーズ第19弾「仮面ライダービルド」もゴール目前ですね。犬飼さんは当初、「子どもたちの憧れになるのが第一目標」とおっしゃっていましたが、手応えはありますか?

犬飼貴丈(以下、犬飼):イベントで戦兎のグッズを持つ子どもたちを見ると、少しずつではありますけど目標に近づけたのかな? と実感します。でも街中を歩く時間があまりなく、声を掛けられることはほとんどありません。そこはクランクアップしてから実感するのかも。

赤楚衛二(以下、赤楚):子どもたちの憧れになれたか……確かに実感はありません。それも一つの成長でしょうが、成長というのは自分ではわからないものだと思います。自分がどう評価されているかは、周りの人に聞いてみたいです。

Q:ご自身の考えるヒーロー像とは?

犬飼:席を譲ったりゴミを拾ったり、ささいなことがサっとできる人を尊敬します。

赤楚:周りをキチンと見られる人。俺が、俺が! ではなく、周りのことを思い、周りに感謝する。そうした気づかいがヒーローには大事だと思います。

Q:撮影現場のムードメイカーは誰ですか?

犬飼:武田航平さんかな。

赤楚:いるだけで雰囲気が変わります。武田さんがいると気温が5度くらい上がる感じ(笑)。

犬飼:赤楚は一緒にその波に乗り、盛り上げる役だよね。

赤楚:犬飼は変化球を投げる面白い人。何かの話題で盛り上がっていると、別の角度から一言はさんで全体を沸かす。ちょっとトリッキーな人です。

犬飼:アクが強いんだね、珍味みたいなものかも(笑)。

赤楚:バカをやるにしても、冷静に場を読んで、ぱん! と笑いをはさむ。人とは違う空気をまとっていて面白いです。

展開が速くシリアスなシリーズ

Q:ストーリーが進むにつれてどんどん変化しますが、戦兎と龍我の関係性をどう感じて演じましたか?

犬飼:どんなに変化していっても、あれだけ信頼して大切に思い合えるのは大変なことですよね。客観的に考えても滅多になく、一つの美しいカタチなのかなと。

赤楚:まさにそう。最初はぶつかり合ったからこそ、ここまで来ることができたんだと思います。

Q:それを演じるお二人の関係性にも変化が?

犬飼:最初からバチっと合ったというのか……仮面ライダーの撮影現場って不思議なんです。言葉では言い表せない独特の空気感があって、だからこそ揺るぎない関係を築けるのかなと。

赤楚:確かに。最初の1、2日間はお互いに人見知りのような状態で表面的な会話しかしませんでしたが、気づいたら自然となじめていました。クランクイン前のアクション稽古のときから関係性は出来上がっていました。

Q:「仮面ライダービルド」のストーリーが複雑で驚きました。歴代仮面ライダーと比べ、その魅力をどのように感じていますか?

犬飼:ストーリー展開が非常に速く、全体的にシリアスですよね。

赤楚:僕自身も台本が複雑過ぎてついていけないときがあります(笑)。僕が演じる龍我なんてそもそも脱獄犯ですから! 脚本を手掛ける武藤将吾さんは『クローズZERO』など、男を格好よく描かれる作品を書いてこられた方でもあって、このシリーズも男一人ひとりの言動や生き様が格好いい。ギャグに関しても会話のやり取りの中、微妙な空気感で笑わせることが多く、そうした笑いはライダーでは珍しい気がします。敵に「お前ら弱いな」と言われ、「お前言われてるぞ」「俺かよ!」みたいな(笑)。

Q:アドリブはありだったのですか?

犬飼:厳しい撮影が続く中、リラックスできるシーンではわりと「みんなが好きなようにやってみて」と言われることが多いです。そこでアドリブがいけそうだったら自発的にやる、5話くらいからそうでした。僕自身は特にアドリブが得意なわけではありませんが、視聴者の方も気楽に観られるところなので、笑ってもらえればいいなという思いでやっていました。ストーリーがシリアスだからこそ、なおさら。

赤楚:楽しかったです。楽し過ぎて笑っちゃって、テイクを重ねることもあったくらい。一番笑わせるのは……最近だと(水上)剣星さん。剣星さんが一点を見つめながらパイナップルの器でジュースを飲むシーンがあったんですけど、あの目線をたどると、ず~っと僕のことを見ているんです(笑)。あれはキツかったです。夢にも出てくるレベルだったので、剣星さんを見ると思い出し笑いをするようになっちゃいました。

テーマのハッキリした映画

Q:今回の『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』をこれから観る人にアピールするなら?)

犬飼:世間一般に特撮ヒーロー作品は子ども向けという印象があるかもしれません。もちろんそうした面もありつつ、大人が観ても楽しめる要素がちりばめられているので、先入観を持つ人にこそ観てもらいたい。武藤さんの描く男と男の友情、少しずつ解けていく謎、スピーディーな展開に男性ならきっとハマるでしょうし、女性も楽しめるはずです。

赤楚:『仮面ライダー』シリーズは全国的にメジャーな作品で、どの年齢層の方も入りやすいのではないでしょうか。特に今回の映画はテーマがハッキリしています。簡単に言えば、ヒーローとは何か? 戦兎が「カラっぽだ」と言われても立ち上がるのは誰のためか? そうしたテーマは子どもにも理解できるだろうし、大人も楽しめるはずです。

Q:この仮面ライダーシリーズを経て、俳優として得たものは?

赤楚:1年間は短いようで意外と長く、苦悩する場面も多々あったので、物事をじっくり考える癖がつきました。お芝居のことでいうと、1年間やり続ければどうしてもイメージが固まります。これはつまらない、ではどうしよう? とずっと考えていました。普段の自分はおとなしいタイプで、暴れることなんてほとんどありません。でも撮影でアクションをやったりすると、壁を殴ってるな俺! って(笑)。もともとお芝居は楽しかったのですが、普段はできないことをお芝居ならできる。改めて芝居って楽しい! と実感できた気がします。

犬飼:仮面ライダーといえば、思い浮かべるのは変身シーンですよね。作品を紹介するときに使われるのもそこでしょうし(笑)。そこが格好よくなければ子どもは憧れないですから、一番大事な場面でもあります。この1年、どうやったら格好よく見えるか? と試行錯誤してきました。それで今回の劇場版で初めてと言っていいくらい、納得のいく変身ができた気がします。それでようやく仮面ライダーとしての役割を一つ、果たせたのかなと。

取材・文:浅見祥子 写真:日吉永遠