現在絶賛放送中の医療ドラマ「グッド・ドクター」(フジテレビ系)。脇役のなかでもキラリと光る存在感を放つのは、子どもに人気の明るい看護師の橋口役を演じる俳優・浜野謙太だ。

私生活では二児の父でもある浜野は、子連れで撮影現場を訪れることも。Instagramに投稿された、主演の山﨑賢人と娘の2ショットや、浜野と娘がおもちゃで“お医者さんごっこ”をする写真には、「温かい雰囲気の現場ですね」「育児と仕事の両立すごい!」との反響があり好評だ。

“働き方改革”が進む現代。芸能界でも、子育て中の役者に配慮した現場が増えているようだ。

時代は変わった?NHK局内にキッズスペース

“子連れ出勤”で思い出すのが、かつて流行語にもなった「アグネス論争」である。歌手のアグネス・チャンが子どもを連れて現場入りすることを厳しく批判した人々と、アグネスをかばう人々の間で子連れ出勤の是非が世間で大きく議論された。あれから30年、時代は大きく変わったと言わざるを得ない。

今秋10月より放送の連続テレビ小説「まんぷく」(NHK)で主演を務める女優・安藤サクラは、浜野と同じく子持ちの役者。朝ドラ史上初のママさんヒロイン起用をキッカケに、NHKは自局初の試みとなるキッズスペースを大阪放送局内にオープンさせた。

局内の部屋の一角約10畳をリニューアルし、子どもの安全を確保するためのマットが敷かれ、おむつの交換台や授乳スペースも設けられている。このキッズスペースは、安藤に限らず、局スタッフならば誰でも自由に利用できるという。

安藤は、5月1日の会見で「想像していたより立派な施設で、見た時にこれからのいろんなことが変わっていくんだなと感じて、すごく感動しました。心強いです」と柔らかな笑顔を見せた。

男性たちも意識改革!目指すは“子連れに優しい現場”

“子連れ出勤”に意欲を燃やすのは、母親たちばかりではない。放送作家の鈴木おさむは、お笑いトリオ・森三中のメンバーで妻の大島美幸との間にもうけた笑福(えふ)君を連れて、映画のロケハンを行ったことを自身のブログに綴っている。

子連れで現場入りした心境について、「正直、連れていこうかちょい悩みまして(中略)。仕事で来てるのに、子供を連れてきてるんじゃないよ! と思う人も絶対にいると思うんです。そう思う人の気持ちも分かりますしね」とあくまで謙虚に述べながらも、「だけどね、前にね、紀里谷和明監督が言ってましたが、ハリウッドの撮影現場で、自分の子供を連れてくる現場も結構あるんだと(中略)。自分が監督やるときには、スタッフが子供を連れてこれる日とか……そういうの作れたらいいなと思ってるんです。嫌がる人がいるのももちろんわかります。だけど、そういうことをすると、何か、小さくですけど変わることもあるのかな……的な」と持論を展開。

鈴木のブログで名があがった紀里谷は、代表作に『CASSHERN』(2004年)、『GOEMON』(2009年)などを持つ映画監督。自身のTwitterでは、「この際だから言っときます。紀里谷と仕事をされる方はどなたでも子供連れてきてもらって結構です。打ち合わせ、インタビュー、撮影、全く気にしませんので、お気軽に」と子育て中の役者にエールを送っている。世の中に大きな影響を与える芸能界という場が“子育てに優しい社会づくり”を率先して行ってくれれば、こんなにうれしいことはない。

公共の福祉と文化向上を目的とする公共放送事業体――それがNHKである。安藤サクラという史上初の“ママさんヒロイン”を誕生させたことが、今後の一般社会に与える影響は計り知れない。パパやママが働きやすい世の中をつくる“働き方改革推進”の強力な起爆剤となることを願う。

(文/ナカニシハナ)