映画デビューから5年ほどでハイペースにキャリアを重ね、若い世代から絶大な支持を集める“新時代の俳優”と呼ぶにふさわしい存在がいます。日本でも口コミで広がり、熱狂的なファンを生んだ『ベイビー・ドライバー』(2017年)で、主人公の天才ドライバーを演じたアンセル・エルゴートです。

“イケメン俳優”というカテゴリーにとどまらない注目度で、Instagramでは1,000万人以上のフォロワーを持っていますが、ここまでの人気を得たのはなぜでしょうか。これからますます活躍しそうなエルゴートの素顔と、最新作『クリミナル・タウン』(8月25日公開)までの出演作で見せてきた彼の魅力に迫ります。

生き方そのものに憧れる!エルゴートのパーフェクトな人物像

エルゴートはニューヨーク生まれの24歳。父は「VOGUE」などで活躍するファッションカメラマン、母はオペラ演出家と、“表現すること”が身近にある環境で育ち、9歳からバレエを、12歳から演劇を学び始めます。その後、高校演劇やオフ・ブロードウェイで役者として舞台に立ちました。

俳優活動と並行して、“Ansolo(アンソロ)”の名義でミュージシャンとしても本格的に活動しています。アンソロは2015年にデビューシングルを発表、DJとして音楽フェスやイベントにも出演しました。また、190cmオーバーの長身を生かして、プラダのキャンペーンモデルを務めるなど、各方面で才能を発揮しています。

誰もが羨むようなプロフィールですが、エルゴートの飾らない性格にも好感が持てます。SNSでは家族や友人たちとのプライベートな交流やその素顔も包み隠さずに見せ、ファンとの交流にも積極的です。極めつけは、高校時代に出会った恋人のことを一途に愛し続けていること。2人のラブラブな様子はエルゴートのInstagramによく登場します。「甘いマスクなのに恋愛は硬派」という彼の素顔もファンを増やしている要因かもしれません。

映画『クリミナル・タウン』より、アンセル・エルゴート(右)とクロエ・グレース・モレッツ(左)

(c)2016 NOVEMBER CRIMINALS HOLDINGS, LLC

正統派イケメンからナイーブな少年まで見事に演じ分ける!

俳優としてのキャリアはまだ浅いエルゴートですが、学園の女子たちの憧れの存在・トミーを演じた『キャリー』で2013年に映画デビューして以降、コンスタントに映画に出演しています。『きっと、星のせいじゃない。』(2014年)では骨肉腫で足を失って感情が揺れ動く少年・ガスを、『ダイバージェント』シリーズ3部作(2014~16年)では主人公の兄・ケイレブを演じ、注目を集めました。

中でもエルゴートの人気が決定的になった『ベイビー・ドライバー』の“ベイビー”が当たり役です。ベイビーは交通事故が原因で耳鳴りに悩まされ続けている天才的なドライバーですが、その性格はナイーブであり大胆。感情をうまく表現できない不器用さも持つ難役でしたが、これを演じきったことでエルゴートはティーン・スターの地位を確立しました。

普段はどちらかと言えば垢ぬけていない、純朴な顔立ちのエルゴートですが、役によって表情が180度変わるその演技力には自然と引き込まれてしまいます。

(c)2016 NOVEMBER CRIMINALS HOLDINGS, LLC

“思春期の悩み”を演じさせたら右に出る者はいない!?

最新作の『クリミナル・タウン』で演じたアディソンもかなり複雑な役です。アディソンは卒業を控えた高校生。読書と音楽(特にデヴィッド・ボウイの曲が好き)が趣味、日課はVHSのビデオ日記、連絡はポケベル……と、懐古趣味のあるちょっと変わり者ですが、性格は優しく素直で、ガールフレンド・フィービーとの関係も良好です。ただ、母親を失った心の傷がまだ癒えておらず、どこか虚無感を漂わせています。

鬱々とした日々をすごしていたアディソンでしたが、ある日、友人のケビンがバイト先のコーヒーショップで銃殺されてしまいます。警察や学校の対応に納得がいかないアディソンは、周囲の制止を振り切って、事件の真相を知るために独自に調査を開始。友人に一体何が起きたのか……?

『キャリー』でも共演したクロエ・グレース・モレッツが演じるフィービーとの恋模様は甘酸っぱい青春映画であり、事件を追うクライムサスペンスでもある本作ですが、見どころはやはりエルゴートが醸し出す独特の空気感。周囲から浮いた存在、傷つきやすい性格という点でベイビー役とも通ずるところもあり、再び思春期特有のナイーブさを表現する熱演を見せています。

(c)2016 NOVEMBER CRIMINALS HOLDINGS, LLC

実力と人柄を武器に、着実にステップアップしているエルゴート。『キングスマン』(2014年)のタロン・エガートンとW主演となる『Billionaire Boys Club(原題)』をはじめ、出演作が続々制作されています。ティーン・スターから実力派俳優へと、どのような変貌を遂げていくのか、今後も楽しみです!

(文/バーババ・サンクレイオ翼)