中島美嘉の冬の名曲「雪の華」が映画化され、2019年2月に公開される。同作は東京とフィンランドを舞台に、余命宣告された美雪(中条あやみ)とガラス工芸家をめざす悠輔(登坂広臣)が“一生に一度、運命の恋”に落ちる様子を描く。

楽曲をモチーフとした映画は、基となる楽曲がどのような形で映像にリンクし、ストーリーにコミットするのか、我々視聴者の期待は無限にも沸くものだ。そういえば、過去にも「あの名曲」が映画になっている。

日本が誇るあの「世界的名曲」が……

かつて世界的大ヒットを記録し、海外では「SUKIYAKI」の名で親しまれている、歌手・坂本九の代表曲「上を向いて歩こう」。1961年に発売された同曲は、翌1962年には同曲をモチーフに映画が制作されている。キャスト陣に名を連ねるのは、主演を務めた坂本九本人に加え、浜田光夫、吉永小百合、高橋英樹ら豪華日活スターたちだ。

表題曲は出演者一同がエンディングシーンで大合唱しているが、「思い出す 冬の日 ひとりぼっちの夜」と、原曲にはない幻の「4番」が登場するのだ。レコードでは春、夏、秋の3番までだっただけに、当時のファンたちにとっては“ニクい演出”であったに違いない。

他にも昭和期には、「銀恋」こと『銀座の恋の物語』(1962年)などが、また、平成初期には、平松愛理の大ヒット曲をモチーフとした『部屋とYシャツと私』(1993年)、THE 虎舞竜の『ロード』(1996年)といった数々の国民的な名曲が映画化された。

多様な音楽ジャンルが映画化された2000年以降!

2000年に突入してからも様々な名曲をモチーフとした映画が誕生した。2006年には、夏川りみがカバーしてヒットした楽曲と同名タイトルの『涙そうそう』が公開。さらに2010年には一青窈の代表曲のひとつ「ハナミズキ」が同名タイトルで映画化。歌詞の一部「君と好きな人が、百年続きますように」をキャッチコピーに、曲の世界観を見事に映像化してみせた。

映画化されたのは大ヒット曲だけではない。2013年には、近年人気急上昇中のロックバンド・クリープハイプのソングライター兼ボーカリスト・尾崎世界観の原案を元にした映画『自分の事ばかりで情けなくなるよ』が公開。

同作は、同バンドにおけるメジャー・デビュー以降の映像作品を手がけてきた監督・松居大悟がこれまでに製作した、ミュージック・ビデオ「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」、ショートフィルム三部作『イノチミジカシコイセヨオトメ』『あたしの窓』『傷つける』を基にした青春群像劇。複数の楽曲を映画という一つの大きな世界に昇華させ、まさに尾崎の“世界観”が詰まった音楽映画に仕上がっている。

また、「ニコニコ動画」でヒットした“れるりり”によるVOCALOID(ボーカロイド)楽曲「脳漿炸裂ガール」が、柏木ひなたと竹富聖花のダブル主演で2015年に映画化された。VOCALOIDとは、歌声を合成するソフトウェア。海外でも人気の“初音ミク”などがよく知られている。『脳漿炸裂ガール』の後も、『桜ノ雨』(2016年)、『トリノコシティ』(2017年)など、数々のVOCALOID楽曲が実写映画化されている。『トリノコシティ』では、原曲制作者である40mPが劇中音楽を担当するなど、ボカロ曲からの映画化は、若き才能に新たなチャンスを招くこともあるようだ。

そして2019年には、あの名曲がスクリーンに登場

楽曲モチーフの映画ファンに、ここで一つ朗報が。2019年には人気ボーカルグループ・GReeeeNのヒット曲「愛唄」の実写映画化公開が決定している。「GReeeeN映画プロジェクト」第2弾である本作の主演は、2017年公開の第1弾『キセキ -あの日のソビト-』にナビ役でも出演し一躍注目を集めた、旬の若手俳優・横浜流星だ。

メンバー全員が歯科医師免許を持つGReeeeN。『キセキ -あの日のソビト-』では、本業(歯科医)と音楽を両立させるため、顔を公にせず活動する覆面ボーカルグループである彼らの結成秘話が描かれた。劇中でグリーンボーイズのリーダー・ヒデ役を演じた俳優・菅田将暉が披露した圧倒的な歌唱力、それも“本家に限りなく近い歌声”が大きな反響を呼んだことも記憶に新しい。その系譜を継ぐ第2弾では、「愛唄」がどのように物語として紡ぎ出されるのか。早くも注目が集まる。

菅田の例にもみられる“役者による歌のカバー”は、映画館に足を運んだ原曲ファン、そして役者ファンの両者にとって嬉しいサプライズ。そういえば、『雪の華』で主演の中条あやみは、2017年の『覆面系ノイズ』でボーカルデビューしているし、登坂広臣は三代目J Soul Brothersのボーカリストとしてかねて歌声には定評がある。そんなふたりが、劇中で「雪の華」をカバーデュエット……なんて期待もできるかもしれない。

(文/ナカニシハナ)