これまで映画には様々な地球外生命体が登場し、人間とのバトルを繰り広げてきました。そのバリエーションは実に多種多様ですが、人間社会に脅威をもたらす醜悪なモンスターとして描かれながらも、ファンから熱狂的な支持を集めている稀有な存在が“プレデター”です。

最新作『ザ・プレデター』が公開中ですが、この機会にプレデター独自の“強さ”にフォーカスして、過去の映画シリーズを振り返ってみましょう。

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原始的な狩りを好む“醜い顔”…でもその実態は?

そもそもプレデターとは、『プレデター』シリーズに登場する地球外生命体の総称です。1987年公開の第1作に登場した初代プレデターには“ウォーリアー”という名称があるように、それぞれのタイプによって名が付けられています。

特徴的なカニのような口をはじめ、映画内のセリフで「醜い顔」と言及されるほど顔の造形はグロテスクで、地球人の尺度からすると異形そのもの。惑星の生物たちを“狩猟”するハンターのような性質を持つ彼らは、一見、野蛮な種族かと思わせますが、装備品を見れば高度な文明を持ち合わせていることが分かります。姿を消すことができる光学迷彩や、的確に敵を仕留めるプラズマ・キャノンなど、その強力なテクノロジーを駆使すれば地球征服なんて朝飯前かもしれません。

しかし、忘れてはいけないのは、プレデターの戦いには“流儀”があるということ。これこそ他の地球外生命体と異なる大きな特徴です。彼らにとって異星人との戦いは、無目的な殺戮ではなく、ハンターである自身の存在意義そのもの。その生態の多くは謎に包まれていますが、過去5作の中には、武士道にも通じるような真の強さを象徴するシーンが登場しました。

初代プレデター“ウォーリアー”が登場する1作目『プレデター』
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武士道にも通じる精神を体現!誇り高き戦士としての掟

異色のキャラクター像を強く印象づけ、今なお伝説的な人気を誇るのが、第1作『プレデター』(1987年)に登場するプレデターです。

屈強な特殊部隊の軍人たちとの壮絶な戦いが描かれる中で、プレデターには戦士としての“掟”があることが判明します。そのひとつが、弱い者とは戦わないというもの。武器を持たない相手はむやみに殺したりせず、逆に強者と認めた相手(1作目ではアーノルド・シュワルツェネッガー扮する部隊の指揮官・ダッチ)とは、飛び道具的な武器を捨て去り、接近戦用のリスト・ブレイドのみによる原始的な“決闘”を挑みました。

こうした独特の美学は、以降の作品にも色濃く受け継がれていきます。近未来の都会が舞台の続編『プレデター2』(1990年)では、プレデターの精神性がさらに明らかになりました。それは、死闘を繰り広げたハリガン刑事(ダニー・グローヴァー)をプレデターたちが取り囲むシーンです。プレデターたちは、ハリガンを襲うのではなく、彼の強さに対して、種族を超え、敬意を示したのです。その行動は、それまでの地球外生命体のイメージを大きく変えるものでした。

プレデターとエイリアンが夢の競演を果たしたスピンオフ作品『エイリアンVSプレデター』(2004年)でも、彼らの誇り高き習性が描かれています。若いプレデターが成人になるために100年周期で行われる“儀式”が描かれる本作。生死をかけてエイリアンと戦うというこの儀式は、一人前として認められるためには決して避けては通れない通過儀礼。ちなみにこの作品では、味方のプレデターが命の危機にさらされても、周りは決して助太刀しないという描写もあり、正々堂々とした戦いの考え方も表していました。

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かつてプレデターの強さを“体感”した監督が描く、最強プレデター!?

最新作『ザ・プレデター』は、第1作、第2作の正統な続編と位置付けられている作品だけに、プレデター描写へのこだわりも相当なもの。というのも、本作の監督を務めたのは1作目の『プレデター』に俳優として出演し、通信兵・ホーキンスを演じたシェーン・ブラックその人。同作では、大きな眼鏡をかけ、下ネタまじりのジョークを連発していましたが、プレデターに内臓を引きずり出されて樹に吊るし上げられるという、無惨すぎる死を遂げています。

役の上とはいえ、その強さを“体感”したブラック監督だけあって、今回のプレデターも、屈強な肉体と様々な装備で人間を次々にハントしていきます。極めつけとして、他の種のDNAを利用して進化を遂げたという“究極のプレデター”と呼ばれる新種も登場。果たしてこのプレデターは人類の敵なのか味方なのか、他のプレデターとまったくの別種なのか、そしてどんな戦いの流儀があるのか……。

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単純なモンスターと呼べないほど、独自の精神性を持ったプレデター。『プレデター』以前と以降で、映画における地球外生命体の概念は変わったと言っても過言ではありません。最新作の公開を機に、独自のポジションを築いてきたプレデターの強さに触れてみてください。

(文/ケヴィン太郎・サンクレイオ翼)