旅は道連れ、世は情け。拳で語り合う男たちが織りなす、傷だらけの青春を描いた『HiGH&LOW』シリーズから、新たな物語が誕生した。

主人公は、山下健二郎、佐藤寛太、佐藤大樹が演じたダン、テッツ、チハルの3人組=その頭文字からひと呼んでDTC。しかも、“ハイロー”の特色だった立ち回り&アクションはナシ! バイクで連れだった3人がたどり着いたのは、湯けむり立ちこめる温泉街。互いに惹かれ合う旅館の女将と番頭の仲を取り持とうと、あれこれと思案をめぐらせた末、作戦を実践。その人情味あふれる顚末を描く。

シリーズ、そして役者としての可能性を広げた3人の思いを、映画が完成したこの機に、つまびらかにしていこう。

ケンカやアクションとは違うこともできるんじゃないか

(C)2018 「HiGH&LOW」製作委員会

山下健二郎 実は『HiGH&LOW』のシリーズが始まる前、ダンのキャラクターを決める時に「絶対に三枚目で、関西弁をしゃべるという設定でお願いします」と伝えていたんです。自分はコメディーが大好きで、二枚目よりも三枚目のキャラに惹かれてきたので、そういう可能性をちょっと狙っていたところがあって。で、いざシリーズが始まってみると、ダンとテッツとチハルの3人が何か面白い立ち位置を築いていて、“DTC”の3人はケンカやアクションとは違うこともできるんじゃないかな、という話し合いが徐々に具体的になっていったんです。

今回、監督を務めたノリさん(=平沼紀久。『HiGH&LOW』シリーズの脚本をメインで担当)が、「DTCの3人は別枠で遊べる可能性があるから、ちょっと道をつくっておくよ」と言ってくださっていたので、こまめに連絡をとりあっては、「こういうのはどうですかね」と、いろいろアイデアを出す、みたいなセッションを重ねていきました。そうこうするうち、ノリさんが(企画プロデュースの)HIROさんに話してみたところ好感触を得て、それ以降は僕も何回かHIROさんと食事をご一緒させていただいて、「こういう感じの、どうですかねぇ」「いいじゃん、じゃ、その企画進めよう」と、話が進んでいったという感じです。そうやってできあがったのが、ノリさんと僕のやりたかったことが、見事なまでに全部詰まっている台本だった、という……(笑)。

DTCの強み

(C)2018 「HiGH&LOW」製作委員会

その“計画”を聞かされて、2人の佐藤=寛太と大樹も歓喜の声をあげた。

佐藤大樹 (ドラマの)シーズン1を撮っていた時、僕はまさかDTCでスピンオフを撮ることになるなんて、まったく思ってもいなかったですし、想像もしていなかったんですよ。当然のように、アクションを押していく作品なんだろうなと思っていたんですけど、シーズンを重ねていくごとに、だんだんそれぞれのキャラができてきて…中でもダンさんが出てくるシーンは、少しほっこりしたり、笑えるというイメージが浸透していって。それが結果的にいいギャップになって、アクションも映えたんじゃないかなと思うんです。

その笑える部分をフィーチャーした作品を撮るとなった時、ダンさんが中心になってやるとなったら、当然イエスと言う以外の返事は考えられなくて。むしろ、僕らもやりたかったという(笑)。正直、“ハイロー”には男くさくてカッコイイ人がたくさんいるので、そうじゃないところでの可能性を広げられるならやるべきだと思うし、それができるDTCは逆に強みがあると思っていたので、今回の『DTC —湯けむり純情篇—from HiGH&LOW』ができる喜びというのは、すごく大きいですね。それにコメディーって、そうそう誰もができるジャンルじゃないと思うので、それもうれしかったです。

芝居をしていく中での糧になった

(C)2018 「HiGH&LOW」製作委員会

佐藤寛太 『HiGH&LOW』では、最先端の技術を使ったアクションや新しいことにずっと挑戦させてもらってきましたけど、今回の台本を読んだ時、歌や踊りのミュージカル要素が入っていたので……誤解を恐れずに言うと、自分が得意じゃないと自覚している分野なので、「え、本当に大丈夫なのかな?」って、最初は正直思いました。でも、身内というか、歌と踊りが本職の健二郎さんや大樹くんたちと一緒にミュージカルのシーンを演じられたのは、やっぱり感慨深かったですし、感動的でしたね。

本番はすごく緊張したんですけど、リハーサルの時点では、もうひたすらに楽しくて! 僕の中で一つの大きな思い出というか…これからお芝居をしていく中での糧になった気がします。映画のストーリーも、家族の話を軸に、最後にホロリと涙できるような素敵な作品になっていたので、こういう角度で攻めるエンタテインメントもあるんだなっていう新しさを、皮膚感覚で味わいました。

インタビューの続きは『キネマ旬報NEXT Vol.21』に掲載。今号は俳優・岩田剛典30ページ大特集と題して『パーフェクトワールド 君といる奇跡』で表紙・巻頭特集を行った。岩田剛典のほか、岩田剛典×杉咲花、山田裕貴、橋本愛×成田凌×山内マリコ、福士蒼太ら新作公開を控える俳優陣のインタビューや対談を掲載している。(敬称略)

取材・文=平田真人/制作:キネマ旬報社