今年4月に公開された国民的人気アニメシリーズの第22弾、劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』は、6年連続でシリーズ最高の興行収入を突破する空前の大ヒットを記録した。毎年“大ヒット”と言われながら、さらに高みへと向かい続ける本シリーズのパワーには圧倒されるばかりだ。プロデューサーの諏訪道彦は、「コナンを地球的アニメに!」と意気込むが、その言葉もうなずけてしまうほどの“おばけコンテンツ”へと成長している。

一体なぜ、『劇場版コナン』はヒットし続けているのか、その理由を考察したい。併せて、あまりコナンを観たことがない人に向けたオススメ作品もピックアップして紹介しよう。

“脱・コナン”させない!大人も堪能できるミステリー

天才的な推理力を持つ江戸川コナンの活躍を描く『名探偵コナン』シリーズ。
青山剛昌原作の『名探偵コナン』は、1994年から『週刊少年サンデー』にて漫画連載がスタート。1996年にはアニメ放送が始まり、連載&放送共にスタートから20年以上が経っている。幼少期にコナンファンになった人は成人しているが、そんな大人たちでも満足できるミステリーを用意してくれるのが、本シリーズの大きな魅力だ。

本作のはじまりは、高校生探偵の工藤新一が、黒ずくめの男たち(黒の組織)によって飲まされた毒薬の副作用によって小学1年生ぐらいの子供の体になってしまったことからはじまる。その事件をきっかけに、新一は小学生の江戸川コナンとして生活をスタートさせ、様々な難事件の解決に奔走する。

そもそも日本人は推理&ミステリーが好きな国民。日本中で開催されている謎解きイベントが盛況なことからも、「“謎”にワクワクする」という人は老若男女問わず多い。いつだって新鮮な驚きを与えてくれて、“脱・コナン”する隙を与えないのが、『劇場版コナン』がヒットし続ける要因だろう。

キャラクターが奥深くて魅力的!

謎解きの面白さと共に、“脱・コナン”させないもう一つの理由がキャラクター設定の奥深さだ。

各話のストーリーと並行して、コナンの宿敵である“黒の組織”という大きな謎が横たわる本シリーズ。物語が進むにつれ、少しずつ黒の組織の謎も明らかとなっているが、その過程には、主人公のコナンだけでなく、彼と同じように薬によって幼児化した灰原哀や、FBI捜査官の赤井秀一、公安警察官の安室透など、知れば知るほど興味が湧くキャラクターたちが登場する。彼らの背負う運命が徐々に浮き彫りになるにつれ、「え、そうだったの……!?」と、ドラマチックな設定に胸を打たれること請け合い。ここからもまた、目が離せないのだ。

社会現象化した安室透って、何者?

劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』でキーキャラクターを担い、「かっこいい!」と評判を集めて大人気となった安室透を例に、『コナン』シリーズのキャラクターの奥深さを見てみよう。

もともと彼は、毛利探偵事務所の下にある喫茶「ポアロ」でアルバイトをしながら、毛利小五郎に弟子入りをする私立探偵という設定でコナンの前に現れる。しかし、実はコードネーム“バーボン”として黒の組織に潜入している公安警察官でもあるのだ。

私立探偵の安室透、黒の組織のバーボン、公安警察官の降谷零という3つの顔を持つ彼の謎めいた行動が原作やアニメで描かれるたびに、ファンは歓喜し、好奇心をくすぐりまくられている。

ミステリアスでクールな雰囲気、その一方で見せる信念を貫く熱さ。安室は一筋縄ではいかない魅力を炸裂させ、とりわけ女性陣を虜にし、熱狂的なファンを生み出した。

初心者はまず安室から攻めるのもアリ

気にはなっていても「劇場版だけでも本数が多すぎて、今さらどれを観たらいいのか……」と悩む人も少なくない。

そんな人は、まず前述した安室透に焦点しぼってみるのがオススメだ。安室が登場する劇場版はまだ2本しかない。彼が劇場版に初めて登場した第20作目、劇場版『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』(2016年)と、最新作である劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』をチェックすれば、安室がなぜ人気なのかを知ることができるだろう。

どちらの脚本も『相棒』シリーズも手掛ける櫻井武晴が担っているので、ストーリーは一級品。彼のバックグラウンドを頭に入れて鑑賞するとより楽しめるが、前情報無しでも、十分楽しめる物語展開が待っている。

また、『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』といえば、安室と同じく女性からの人気が高いキャラクター・赤井秀一も忘れてはならない。原作者の青山は熱狂的なガンダムファンで、安室と赤井には『機動戦士ガンダム』へのオマージュが込められている。ノリに乗って安室&赤井の関係性を描いていることが、観る側にもビシビシと伝わってくるのが、また楽しい。2人は今後の展開にも大きく絡むはずなので、今のうちにチェックしておけば、次回作が公開されたときも楽しめるだろう。

映画好きにおすすめしたい初期作品

映画好きなら、初期の作品もオススメ。ストーリーで楽しませる第6作目の劇場版『名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊』は見逃せない。江戸川乱歩賞を受賞した作家・野沢尚が脚本を担当し、19世紀末のロンドンを舞台に、ゲームの謎と現実世界の殺人事件をリンクさせた度肝を抜くミステリーに浸ることができる。コナンとホームズが交差するなど、脚本の素晴らしさにうならされる。

そして『劇場版コナン』の人気の理由のひとつ、ハラハラ&ドキドキする圧巻のアクションもチェックしておきたいところ。コナンの超人的スキルに思わず突っ込みたくなることもあるが、アクション映画好きにプッシュしたいのが、第5作目の劇場版『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』だ。

日本一の高さを誇る“ツインタワービル”を巡る連続殺人事件の謎にコナンが立ち向かう本作。高層ビルに爆発物が仕掛けられ、コナンたちが脱出劇を繰り広げる様は『タワーリング・インフェルノ』(1974年)さながら! 隣のビルへとスケボーで飛び移るコナンの無謀すぎるアクションなど、興奮度MAXの一作となっている。

キャラクターの奥深さ、大人も楽しめる推理、ド派手なアクション……。魅力がてんこ盛りの『劇場版コナン』の世界に、ぜひハマってみてほしい!

文=SS-Innovation.LLC.