元CIAの凄腕エージェントが身分を隠し、圧倒的な殺人能力を駆使して弱者のために立ち上がるデンゼル・ワシントン主演の痛快アクション『イコライザー』(2014年)から4年。デンゼルが初めて続編に挑んだ『イコライザー2』は、7月に全米で公開されるや、大ヒットスタートを記録。9月には全米興行収入が1億ドル(※Box office Mojo調べ)を突破し、前作を超えるヒット作になるのは確実だ。

監督は、前作に続きアントワーン・フークア。こちらも初めて監督を続投。10月5日(金)に日本公開される本作の主演俳優、デンゼルとフークア監督の関係や、作品の見どころをご紹介!

主演はハリウッドの名優デンゼル・ワシントン

イコライザー2 デンゼル・ワシントン

アントワーン・フークア監督が、「彼は役者としてすべてを兼ね備えている」と語るように、多くの俳優が活躍するハリウッドで、デンゼルほど長年にわたってスターであり続けている黒人俳優は多くない。

『マルコムX』(1992年)で世界的に注目を集めて以来、常に新しい役に挑戦し続ける彼は、スターとしての地位を確立。知的な風貌と雰囲気から、“誠実で優秀なイメージを持つ黒人俳優”として高く評価され、世界中で人気を獲得していった。

2001年には、アントワーン・フークア監督の『トレーニングデイ』に主演。それまでのイメージからは考えられなかった“非道な汚職警官”を迫力あるキャラクターに昇華させ、黒人俳優としては史上2人目のアカデミー賞主演男優賞を受賞した。同作以降、善人のイメージに“危険な男”という要素が加わり、俳優としての幅をさらに広げている。

イコライザー2 ネタバレなしレビュー

アクション映画の秀作を連発するアントワーン・フークア監督

一方のアントワーン・フークアは、『リプレイスメント・キラー』(1998年)で監督デビュー。それほど注目はされなかったものの、同作は当時ハリウッドに進出していたチョウ・ユンファの魅力をうまく引き出した佳作だった。それから『トレーニングデイ』を経て、ヒット作『ザ・シューター/極大射程』(2007年)は、後にテレビシリーズ化。北朝鮮のテロリストがホワイトハウスを襲撃する『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年)も、全米興収が1億ドルに迫るヒットを記録する(※Box office Mojo調べ)など、スタイリッシュなアクション描写で、映画ファンを唸らせる作品を次々と生み出している。

しかし、常に水準以上の作品に仕上げる監督であるにも関わらず、あくまで娯楽作品として着地させる作家性からか、賞レースにはまだ無縁。ハリウッドでの評価は決して高いとは言えないのが、ファンとしては納得のいかないところだろう。

デンゼルの魅力を最大限に引き出した『イコライザー』

そんな2人が13年ぶりにタッグを組んだのが、2014年公開の『イコライザー』だ。

妻を亡くした元CIAの凄腕エージェント、ロバート・マッコールは、昼はホームセンターの従業員。夜は世の悪人を葬る仕事請負人をしている。そんなある日、マフィアから搾取される少女を見かねた彼は、かつてCIAで培った能力を使い、マフィアを組織ごと壊滅に追い込む。その中で、自分が生まれてきた理由を悟った彼は、弱きを助け、悪を成敗する“イコライザー”として生きる決意をする。

同作の最大の魅力は、デンゼル史上、最高のハマり役と言っても過言ではない“ロバート・マッコール”というキャラクターだ。普段は物静かで他人に心を開かない男が、悪党に制裁を下す時には問答無用の殺人マシーンと化すが、彼が人格者であることは雰囲気からしっかり伝わってくる。それは、デンゼルが“善人であり危険な男”というイメージを兼ね備えているからこそ出せる魅力で、そこにその活かし方を熟知しているフークア監督ならではの演出が加わった時、映画は特別なものとなり、『イコライザー』はフークア監督作品の中で最大のヒットを記録することに成功した。

最新作で描かれるのはマッコール自身のための戦い

イコライザー2 あらすじ

『イコライザー2』は、マッコールが“イコライザー”として悪党を成敗するところから始まる。一方で、絵の才能がありながら危うい生活を送る隣人の黒人少年と、父と子のような関係を築いていく。そんな中、彼の過去を知る唯一の理解者・スーザンが、滞在中のホテルで強盗に殺されてしまう。マッコールはスーザンの死因を確かめるうちに、ただの強盗に殺されたのではないことを突き止め、事件の真相に迫っていく。

卑劣な輩を成敗するイコライザーとしての活躍は必見で、メリハリの利いた殺人マシーンぶりも健在だが、もう一つの大きな見どころは、前作とは対照的に、彼個人の戦いが描かれているところだ。

前作での彼は、困っている誰かのために行動してきた。しかし本作では、彼が心を開いてしまった大切な人たちに危険が及び、彼らを救うため、そして他人に心を閉ざした過去の自分に戻らないために強敵との戦いに身を投じていく。そんなマッコールの姿には、グッとくること間違いなしだ。

本作の成功で高まる、デンゼルとフークア監督への注目

イコライザー2 アントワーン・フークア

長年ハリウッドで活躍してきたデンゼルも、今年で64歳になる。

彼は世界中で記録的な大ヒットを飛ばし、黒人層からも絶大な支持を受けた『ブラックパンサー』(2018年)を観て、涙を流したという。ブラックパンサーを演じる黒人俳優チャドウィック・ボーズマンの姿を見た時、師と仰ぐ名優シドニー・ポワチエから受け取ったバトンを、ようやく渡すことができたと思ったのだとか。さらに、マーベルヒーロー作品に出演する可能性を聞かれ、含みを持たせた発言をしていることも気になるところだ。

アントワーン・フークア監督もまた、マーベルスタジオの社長と面会すると語っており、いよいよマーベルヒーロー作品の監督を、フークアが務めるのではないかという噂も流れた。相性抜群の2人の動向に、今後も注目が高まるだろう。

デンゼルはまだまだ健在であることを、フークア監督は本作を自身最大のヒット作にしたことで、その手腕を改めてハリウッドに証明した。2人にとって特別な作品となった『イコライザー』シリーズの続行はもちろん、新しいアクション映画で、再び抜群の相性を見せてもらいたいものだ。

文=SS-Innovation.LLC