EXILE TRIBEのメンバーが総出演し、ありとあらゆるメディアで一大ムーブメントを巻き起こした「HiGH&LOW」シリーズ。そんなシリーズの登場人物の中でも異色な立ち位置にある3人組“DTC”にスポットを当て、スピンオフ映画として製作されたのが『DTC 湯けむり純情篇 from HiGH&LOW』(公開中)です。DTCのどのあたりが異色なのか? 彼らが登場するシリーズ作品を振り返りながら迫ってみたいと思います。

「HiGH&LOW」シリーズには特濃キャラが大集合!

荒廃した街“SWORD地区”を舞台に、対立するチーム同士の覇権争いが描かれる「HiGH&LOW」シリーズ。その独特な世界観とド派手なアクションはもちろんですが、最大の魅力は群像劇の中で大暴れする個性豊かなキャラクターたちです。EXILE TRIBEに属する各グループのメンバーに加え、窪田正孝や斎藤工といった人気俳優や、ラッパーのANARCHYらミュージシャンまで、EXILE TRIBE以外からも多数キャスティングされ、強烈なインパクトを放ってきました。

特に、かつて“ムゲン”というチームの総長を務めていた伝説の男・琥珀(AKIRA)の存在感は強烈! アメリカに実在するバイカー集団“ヘルズ・エンジェルズ”を彷彿させるバイカーファッションに加え、左目が琥珀色の義眼という設定もケレン味にあふれています。総勢100人の大群を率いるカリスマ性を、抜群の説得力で体現していました。

メインキャラのひとりであるコブラ(岩田剛典)も人気が高いキャラクター。口数は少なくてクールなのに、誰よりも仲間への思いが熱いという、まさにマンガの主人公が誌面から飛び出しきたような存在です。

この他にも、TAKAHIRO&登坂広臣というEXILE TRIBEの中でもトップクラスの人気を誇るボーカリストが演じた“雨宮兄弟”ら、物語の主軸になった名物キャラは多数。“全員主役”というキャッチコピーが示すように、「HiGH&LOW」シリーズではとにかく登場人物のキャラが立ちまくっていました。

(c)2018「HiGH&LOW」製作委員会

一服の清涼剤?中毒性の高いコミカルな3人組・DTC

超個性派キャラが群雄割拠する「HiGH&LOW」シリーズの中でも、独自の存在感を確立したのが“DTC”と呼ばれる3人組です。“山王連合会”というチームに所属するダン(山下健二郎)、テッツ(佐藤寛太)、チハル(佐藤大樹)の3人の頭文字から付けられた“DTC”。

ダンは関西弁で喋りまくり、チームを盛り上げる山王連合会のムードメーカー的存在。おっちょこちょいな性格で後輩から突っ込まれることもしばしばですが、コブラと近しい立場であることから人望も厚い男です。

そんなダンのツッコミ役が山王連合会の特攻隊長・テッツ。ケンカでは率先して敵に突っ込んでいくヤンチャな性格ですが、お調子者の先輩・ダンを諌めたりする真っ当な一面も。YouTuberに憧れている……なんていう意外な素顔も持ち合わせています。

そして、テッツの盟友として行動を共にしているのがチハルです。チハルは控えめな性格ですが、物事を客観的に見る冷静さがあり、時に仲違いをしてしまいかねないダンとテッツの間を取り持つ役割を担っているのです。

2017年8月には、DTCを主人公にした配信限定のショートコメディドラマ『HiGH&LOW THE DTC』が製作されました。DTCの結成の過去から3人でYouTuberを目指そうとする姿などが描かれ、絶妙なバランスで成り立つ彼らの関係性が同作で確立されました。DTCは権力闘争が描かれるシリアスな「HiGH&LOW」シリーズの中で、唯一ともいえるコミックパートを担う3人組なのです。

(c)2018「HiGH&LOW」製作委員会

「HiGH&LOW」の世界観にはそぐわない?温泉旅館で人情話が展開!

『DTC 湯けむり純情篇 from HiGH&LOW』は、そんなDTCの特徴を全面に活かした作品です。ケンカばかりの刺激的な日々から一転、平和な日常に退屈さを感じていたDTCは、高鳴る鼓動と青春を求めて、行き先も決めずにバイク旅へ出発。しかし、所持金が底をついた3人は、たどり着いた温泉街の旅館でアルバイトを始めます。

旅館の若女将・マリ(笛木優子)にチハルは淡い恋心を抱きますが、マリは旅館の番頭・宮崎(駿河太郎)と惹かれあっていることが発覚。再婚に踏み切れないマリと宮崎が幸せになるために、3人がひと肌脱ぐ……という何ともほっこりした展開に。「HiGH&LOW」シリーズの代名詞ともいうべき“アクション”は一切ありません。

本作は、シリーズ初となるド直球の人情喜劇という点がポイント。山王連合会のメンバーがバイクで温泉旅館に行くという展開は一見シュールに思えますが、意外とハマるのはDTCが持つ“愛されオーラ”がなせる技。温泉街で浴衣姿の美女を見つけて3人が鼻の下を伸ばしたり、チハルがマリに惚れてしまったり、ダンがマリの娘に「キモっ!」と言われたり……と、劇中では彼らの等身大の魅力が爆発しています。

さらに、佐藤大樹演じるチハルがマリと結ばれることを夢想しながら「三代目になるってわけかぁ〜」と呟くと、ダンがすかさず「お前に三代目はつとまれへん!!」と一喝するなど、EXILE TRIBEファンならずともニヤリとさせられるセリフも盛り込まれているので見逃せません。

(c)2018「HiGH&LOW」製作委員会

サブキャラ的なポジションだったDTCについて、山下健二郎は台本を読んで、「本当にこういうことがやりたかった」というのを一番感じ、「『HiGH&LOW』でダンという役を3年近くやって、ケンカがあったりグループの友情だったりが描かれてきた中で、DTCの3人は何かもっと他のことができるんじゃないかな」と話し合っていたようで、念願の企画だったことが分かります。

また、佐藤寛太は「あ、こういう角度で攻めるエンターテインメントもあるんだな」という新しさを感じ、佐藤大樹は「観に来たお客さんをびっくりさせられるな」と、良い意味で期待を裏切る作品に自信をのぞかせていたようです。

これまでのシリーズとはまったく方向性の異なる映画ですが、熱量が異常に高いキャラクターがスクリーンいっぱいに大暴れするのはこれまで同様です。“人情”という新たな切り口を提示し、なおも拡大する「HiGH&LOW」ワールドにぜひ注目してみてください。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)