「新世紀エヴァンゲリオン」を手がけたアニメスタジオ・GAINAX(ガイナックス)が、2000~2001年にProduction I.Gとともに制作した伝説のOVA(※)作品「フリクリ」の新作が18年ぶりに登場した。“新作”だけでも驚きだが、劇場版『フリクリ オルタナ』(現在公開中)、劇場版『フリクリ プログレ』(9月28日より公開)と、2作連続で公開されることに! 「フリクリ」とは何なのか? 今からでも間に合う本作の魅力をご紹介しよう。

※オリジナル・ビデオ・アニメーションの略。アニメファンに向けて初めからパッケージ販売・レンタルされる作品で、1980年代から数多くのマニアックな作品が制作された。昨今は劇場での期間限定上映も多い。

アニメ業界・音楽業界・演劇業界から才能が集結――OVA『フリクリ』のすごさとは?

OVA『フリクリ』は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの監督(総監督は庵野秀明)を務める鶴巻和哉の初監督作品として、アニメファンの注目を大いに集めたタイトルだ。 

メディカルメカニカという企業によって、巨大な“アイロン”がそびえる町に暮らす小学生のナンダバ・ナオ太のもとに、突如ベスパに乗って現れた謎多き女性、ハルハラ・ハル子。ナオ太はハル子と出会ったことで、額に角が生えてしまうという奇抜なストーリーが描かれていく。 

マンガのコマ割り風に描かれるポップかつ斬新な演出が随所に見られ、2003年にカナダのファンタジア映画祭アニメーション部門の銅賞を受賞するなど、国内外での評価も高い『フリクリ』。

「ユーリ!!! on ICE」の平松禎史や「天元突破グレンラガン」の今石洋之など、名だたるアニメーターが作画監督として参加しており、キャラクターの艶やかな動作やダイナミックなアクションを展開。今観ても色あせない高いクオリティを誇っている。

本作の中心人物であるハルハラ・ハル子役を務めたのは、近年では『この世界の片隅に』(2016年)などに出演している新谷真弓。その特徴的な声色で、存在感あるエキセントリックなキャラクターのハル子を演じており、ロックバンド「the pillows」の楽曲とも相成って、オンリー・ワンな魅力を放つサブカルアニメの金字塔と言える作品なのだ。

劇場版『フリクリ オルタナ』より (C)2018 Production I.G / 東宝

17歳の少女が叫ぶとき――劇場版『フリクリ オルタナ』

9月7日から公開された18年ぶりの新作、劇場版『フリクリ オルタナ』は、全6エピソード、135分というボリュームで描かれる。

本作は、17歳の女子高生・河本カナが主人公。友人たちと何の変哲も無い日常を過ごしていた彼女のもとへハル子が現れて、少しずつその日常が変わっていく。何でもない17歳の少女が、ありのままの自分の気持ちに気づいていく良質な青春ストーリーだ。

本作でも再び楽曲を手がけている「the pillows」の音楽に合わせて、各エピソードを積み重ねて盛り上がっていくストーリーは、アニメファンはもちろんのこと往年の「the pillows」ファンも楽しめるだろう。

劇場版『フリクリ プログレ』より (C)2018 Production I.G / 東宝

9月28日からは、劇場版『フリクリ プログレ』が公開される。劇場版『フリクリ オルタナ』とは別作品となっており、本作だけを観ても問題はない。こちらも全6作からなる長編で、エピソードごとに6人の監督が手腕をふるい、刺激的なアニメーションを展開していく。OVA版の『フリクリ』でのハル子とナオ太の出会いを彷彿とさせる衝突シーンなど、元の作品をオマージュした場面も数多く登場する。

本作では「フリクリ」の象徴ともいえるハル子が、ハルハ・ラハルとジンユという2人のキャラクターに分かれて現れる。ネコ耳型のヘッドフォンをいつもつけている無口な少女・雲雀弄ヒドミをめぐり、2人の関係性がどう変わっていくのかに注目してほしい。

劇場版『フリクリ プログレ』より (C)2018 Production I.G / 東宝

アニメファンを騙るならば、ぜひ観ておきたい『フリクリ』。刺激的で魅力的な『フリクリ』のセカイを劇場で体感してほしい!

(文/加藤真大@アドバンスワークス)