台湾で社会現象を巻き起こした青春映画『あの頃、君を追いかけた』を、日本映画界がリメイク。そこで、愛おしくもカッコ悪い主人公・浩介を演じる山田裕貴が、ヒロイン役の「乃木坂46」齋藤飛鳥との撮影エピソードなどを振り返った。

浩介という役に出会えて良かった!

Q:台湾のオリジナル版を観たときの感想を教えてください。

何より、劇中で主人公が言う「世界を動かすようなスゴい人間になりたい」というセリフが響きました。僕も昔、同じようなことを考えてこの仕事を始めたぐらいですから。学生時代の自分を思い起こすようなキャラクターの日本版リメイクで、「浩介という役に出会えて良かった!」という思いがありました。同時に、僕なりに面白くして、たくさんの人に観てもらい、楽しかったと言ってもらいたいという、使命感が強まりました。

Q:オリジナル同様、実際に頭を丸刈りにされましたが、リメイク作品とコミックの映画化では役づくりの違いはありますか?

役づくりはコミックが原作の作品の方が意識しますね。ただ、無名のキャストにもかかわらず、アジアで大ヒットしたオリジナル版は、いろんな可能性を秘めていた作品だと思うんです。僕らはその設計図をいただき、どこまで再現できるかを、めちゃくちゃ考えました。頭を丸めたことは、ヒロインの真愛との約束を守るため、浩介の中で、何かが変わった大切なシーンなので、「ぜひやらせてください」と言いました。日頃から「役者が坊主になっただけで、なぜニュースになる?」と思っていたので、当たり前のことをしただけです。

自然な空気感が出せた台湾ロケ

Q:オリジナル版にはいない、浩介に片思いするキャラクターとして登場する、詩子を演じる松本穂香さんの印象について教えてください。

松本さんとは、僕が東京に出てきて、すぐに参加したワークショップで一緒だったんです。今回の台本読みで再会して、「久しぶり~!」と声を掛けたとき、すっかり洗練された女優さんの顔になっていてビックリしました。スゴいスピードで、いろんなものを吸収してきたんだと思います。今回の撮影現場でも、作品への没頭力が強く、スーパー素直な方なので、ストレートに詩子が浩介を好きな感じを出されていたのが印象的でした。

Q:食べ物など、台湾ロケでの想い出を教えてください。

台湾ではいろいろ食べましたが、特に魯肉飯(ルーローハン)が美味しかったです。あと、新北市にあった「臭豆腐ストリート」のインパクトは忘れられません。個人的に、名古屋発祥の台湾まぜそばが好きなので、本場のまぜそばを食べるのが楽しみだったんですが、店員さんから、日本語で「そんなものないよ。ラーメンは日本の方が美味しいよ!」と言われたんです。本当に、名古屋発祥ということがショックでした(笑)。

Q:台湾ロケでは、オリジナル版と同じロケ地(十分)で、浩介と真愛がランタンを飛ばすシーンなども撮影されていますね。

2人がデートをしている点描のシーンは、特に決まり事のようなものはなかったんですが、そこを自然な空気で演じられたのが、スゴく楽しかったです(笑)。教室でふざけているシーンもそうですが、飛鳥ちゃんが素で笑ってくれている感じもありましたし、彼女のそういう顔も引き出せればと思っていたので、本気で笑わせにいきました。

まだ世間に認知されているとは思っていない

Q:『海賊戦隊ゴーカイジャー』シリーズのゴーカイブルーに始まり、近年は『闇金ドッグス』シリーズの闇金業者社長・安藤、『HiGH&LOW』シリーズの鬼邪高校番長・村山といったワイルドなイメージがある山田さんですが、今回そのイメージを裏切るハマり役に出会えたことをどう思われますか?

僕の中では“この役のイメージが強い”というほど、まだまだ世間に認知されているとは思ってないですし、僕自身もそこまでのものを作り上げていないし、中途半端な位置にいると思うんです。ほかにも、「イタズラなKiss2~Love in TOKYO」の金之助だったり、『ストロボ・エッジ』の拓海だったり、演じたキャラも、そのキャラクターを好きな人の意見もバラバラですし。今回の浩介がハマり役になればいいというのも変ですが、なりやすかったのは事実です。だからこそ、この映画がこれまでの活動の集大成になれば……そんな簡単な言葉で片付けるのもイヤですど(笑)。

取材・文:くれい響 写真:日吉永遠