キラキラ系青春映画の流行も手伝ってか、ここにきて再びアイドルの映画出演が増えてきている感がある。

その中で、現在アイドル・グループのトップをひた走る乃木坂46をはじめとする坂道シリーズ系アイドルの映画出演も俄然目立ってきているのだが、その内容も実に充実したものばかり。特にこの9月から10月にかけての彼女らが出演した映画は要チェックといってもいいだろう。

透明感あふれる乃木坂46齋藤飛鳥の主演映画

10月5日から公開される『あの頃、君を追いかけた』は、同名邦題の台湾映画(2011年)リメイクで、高校時代からおよそ10年におよぶ若い男女の恋愛と友情を描いた青春群像劇。その中でヒロイン真愛を演じているのが乃木坂46の齋藤飛鳥だ。

やんちゃな主人公・浩介(山田裕貴)は、医者の娘でお堅い優等生の真愛を苦手に思いつつ、次第に心惹かれていく――

あの頃、君を追いかけた

(C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ

バラエティ番組ではクールできついユニークな物言いのSキャラが人気だが、その風情は実にフォトジェニックに映え、それこそヨーロッパ映画のムーディなヒロインが似合いそうな齋藤飛鳥。

個人的には『シベールの日曜日』(1962年)や『かもめの城』(1965年)のパトリシア・ゴッジを彷彿させるオーラを感じており、少しでも早く映画主演するべきと常々思っていたのだが、その願いがようやく叶って嬉しい限りである。

現にここでの彼女はこちらの期待に十分応え、生真面目であるがゆえに、時に天然にも映る真愛のピュアな可愛らしさを、文字通り透明感あふれる存在感で体現している。劇中ウェディングドレス姿も披露しているので、なおさらファンにはたまらないものがあることだろう。

あの頃、君を追いかけた ネタバレなし

(C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ

この秋をにぎわす坂道シリーズの面々

現在公開中、マンガ大賞2017大賞受賞の同名コミックを原作とする『響 -HIBIKI- 』に主演しているのは、欅坂46のセンターとしてカリスマ的人気を誇る平手友梨奈。

常に本気モードで信念を曲げることを知らず、それゆえに誰に対しても物おじせず、時に過激な暴力も辞さない天才文学少女・響。もはや平手友梨奈=響そのものではないかと思わせるほどの強烈なインパクトで観る側を圧倒する。

ふと往年の山口百恵を思い出すクールな佇まいを漂わせる彼女だが、一方で動物園のシーンでの子どものように愛らしい笑顔も目の当たりにすると、これからまたどのようにオーラが変わっていくのか、目が離せないものがある。

10月の公開映画としてはもう1本、先ごろ惜しくも亡くなった樹木希林が茶道の先生役で好演している『日日是好日』に、乃木坂46の3期生・山下美月が茶道教室の生徒役で出演している。実際に彼女は高校時代、茶道部の副部長だったとのことで、出番こそ少ないが、作品の世界観の中に自然に溶け込んでいるのが頼もしい。

坂道シリーズ3グループの今後のコラボにも期待!

実はこれまで発表されてきた乃木坂46の面々が出演する映画は、なかなかユニークな展開がなされているように思える。

彼女らが初めて本格的に映画出演したのが『劇場版BADBOYS J-最後に守るもの-』(2013年)。これはもともと乃木坂46の面々が大挙出演していた同名テレビドラマの映画版なので、無理のない自然な流れではある。

続いて秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未が出演した『超能力研究部の3人』(2014年)は大橋裕之の『シティライツ』を原作とする劇映画パートと、フェイク・ドキュメンタリーとしてのメイキング・パートを混在させながら描いた摩訶不思議な魅力あふれる作品であった。

翌2015年にはアイドルとしてのシビアな日常と、その上での彼女たちの覚悟を示したドキュメンタリー映画の秀作『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』と、今春卒業したばかりの生駒里奈が主演した『コープスパーティー』が発表された。後者は同名ゲームが原作の学園ホラーで、いわばティーンのアイドルなら一度は通る登竜門的ジャンルへの出演。生駒は翌2016年の続編『コープスパーティー Book of Shadows』にも主演している。

2016年は白石麻衣が金融ピカレスク映画『闇金ウシジマくんPart3』に出演し、アダルトな魅力を発散。

あの頃、君を追いかけた レビュー

(C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ

そして2017年、舞台と映画に分かれて乃木坂46の面々が大挙出演した薙刀青春群像映画『あさひなぐ』は、これぞ乃木坂映画としての代表作と呼べるだろう。映画版の主演は今年いっぱいでグループ卒業することを発表したばかりの西野七瀬で(舞台版の主演は齋藤飛鳥)、諸所の薙刀シーンでの真摯なふるまいはもとより、実に愛らしいコメディエンヌぶりを披露。また彼女が憧れる先輩役の白石麻衣も『エースをねらえ!』の気品とプライドの高いお蝶夫人を彷彿させる好演であった。

そして2018年には、前年にグループを卒業した深川麻衣が主演した青春ラブストーリー映画の佳作『パンとバスと二度目のハツコイ』も発表されている。

これに一時SKE48と乃木坂46を兼任し、卒業後は女優として活躍中の松井玲奈の『gift』(2014年)、『笑う招き猫』(2017年)、『めがみさま』(2017年)、『劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)』(2018年)なども加えると、なかなか壮大な乃木坂46系ムービー相関図ができあがるのだ。

一方、欅坂46も今後は平手友梨奈以外のメンバーによる映画出演も増えていくことだろうし、“ひらがなけやき”の愛称で親しまれているけやき坂46も同様だ。双方とも『あさひなぐ』のようなグループ映画を作ってみれば、メンバーの誰が映画向きか? なども容易に見渡せるかもしれない。

また欅坂46は「徳山大二郎を誰が殺したか?」(2016年)、「残酷な観客たち」(2017年)、けやき坂46も「Re:Mind」(2017年)と連続テレビドラマに主演。また、けやき坂46は『あゆみ』(2018年)で既に舞台進出も果たしている。

あの頃、君を追いかけた 感想

(C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ

現在、乃木坂46、欅坂46、けやき坂46の坂道3グループが合同オーディションを開催。11月には3グループが共演する舞台劇『ザンビ』が公演となる。こちらは乃木坂46のホラー系プロジェクト『ザンビ』第1弾として発表されたものであり、映像面での3グループの交流も今後ありえそうだ。

坂道シリーズとAKB48グループがコラボするユニット“坂道AKB”の映画版的な展開も、今後期待したい。

……と、ここで乃木坂46の堀未央奈が、販売部数累計450万部を超える相原実貴の同名人気少女漫画を原作とする2019年公開予定の映画『ホットギミック』に主演することが発表された。しかも監督が『溺れるナイフ』(2016年)の才人・山戸結希となると、これはもう俄然注目せずにはいられないではないか!

(文・増當竜也)