『ムーンライト』(2016年)で米アカデミー賞作品賞を獲得、翌年度のアカデミー賞でも『レディ・バード』(2017年)が作品賞を含む主要5部門にてノミネートされるなど、次々と話題作を世に送りだしている映画会社A24。2012年の設立から快進撃を続ける同社の話題作が、満を持して日本公開となる。今回の作品で描かれるのは、ゴーストの視点から見た「死後の世界」。

死んでしまった者の魂は、その悲しみは、いったいどこへ行き着き、どのように消化されるのか? 自分のいなくなった世界で、残された妻を見守り続ける、ひとりの男の切なくも美しい物語。それが、11月17日より日本公開される『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』だ。

ファンタジックで神話的な大人のゴーストストーリー

A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー ルーニー・マーラ

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不慮の事故死を遂げ、シーツ姿のゴーストとなって彷徨い続ける夫をケイシー・アフレック。夫に先立たれ、悲しみに暮れる妻をルーニー・マーラと、ハリウッドきっての実力派俳優を起用した本作。これまでありそうでなかったゴーストの視点から紡ぐ美しくも切ない物語として話題を集める同作は、その制作費は10万ドル(約1100万円)と超低予算であることも話題のひとつとなっている。

近年、制作費の少なさが話題に上がることは珍しくない。ここ数年でも『ドント・ブリーズ』(2016年)が990万ドル、『ゲット・アウト』(2017年)で1万5,000ドルと、見出しに踊る数字は映画製作費としては異例の低予算だ。しかし、それらでも日本円にすると1億円以上は最低かかっている中で、本作の制作費がハリウッド作品としては規格外の低予算であったことがわかる。そのため、主人公夫婦が住む家は、元々取り壊し予定だった荒廃した一軒の平屋を見つけて撮影に利用するなど、撮影には様々な工夫を凝らしたそう。

A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー ケイシー・アフレック

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日本の映画界でもインディペンデント作品の『カメラを止めるな!』が、300万円という低予算の中、斬新なアイディアとストーリーで人々を魅了した。あまり低予算であることばかりに目を向けるのは、映画業界にとって決して喜ばしいことではない。困難な状況の中でも、創意工夫で我々を楽しませてくれる映画人たちに心より敬意を表したい。

撮影が始まるわずか2日前まで前作『ピートと秘密の友達』(2016年)の作業をしていたという監督のデヴィット・ロウリーは「3年がかりのビッグプロジェクトを終えたばかりだったから、自分の直観だけを頼りに、やりたいことを好きにやれるのは気持ちがよかったよ」と事もなげな様子で当時を振り返る。さらに頭が下がる思いだ。

アメリカでは昨年公開された本作。サンダンス映画祭の観客賞を筆頭に、世界各国の映画祭でノミネート&受賞、米映画批評サイトRotten Tomatoesでは91%が高評価を獲得している。A24が送り出す作品の快進撃はまだまだ続きそうだ。『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』は11月17日(土)より全国ロードショー。