10月12日公開の『BD~明智探偵事務所~』は、江戸川乱歩の小説『少年探偵団』シリーズを元にして作られた映画です。

探偵団を率いる“小林少年”を演じるのは、今回が映画初主演となる人気急上昇中のアイドル・B2takes!の小澤廉。彼の相棒の“井上くん”には、同じく今回が映画初主演となる、祭nine.のリーダー・寺坂頼我が抜擢されました。他にもB2takes!のメンバーが総出演するとのことで、スクリーン上は実に華やかなことになりそうですね。

そんな、フレッシュなメンバーが演じる本作ですが、原案となった『少年探偵団』シリーズが、戦前から書き始められていたことをご存知でしょうか? 最初の作品『怪人二十面相』が書かれたのは、二・二六事件のあった1936年のこと。実に80年以上にわたって愛されてきた人気作なのです。

第二次世界大戦をはさんで書き続けられた『少年探偵団』

『少年探偵団』シリーズは1936年の『怪人二十面相』以降、光文社より『少年探偵団』、『妖怪博士』、『大金塊』といった作品が刊行。第二次世界大戦をはさみ、今度はポプラ社からの刊行で、1949年の『青銅の魔人』から1962年の『超人ニコラ』まで、江戸川乱歩は毎年この作品を書き続けています。

1964年から刊行が始まったポプラ社版は、1999年の時点で販売冊数1,000万冊を突破。現在は1,600万冊を超えているということです。図書館や学校の図書室でもおなじみのシリーズなので、かつて学生時代にこの本を読んだ人も少なくないでしょう。

梅宮辰夫が明智小五郎に!? 半世紀以上に渡るドラマ・映画化の歴史

「ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団♪」というフレーズが印象的な曲は、ニッポン放送で放送された、『少年探偵団』のラジオドラマの主題歌。後にテレビドラマや映画でも使用されています。

今回の『BD~明智探偵事務所~』まで、『少年探偵団』はその人気から、さまざまなメディアミックスの歴史をたどってきました。初めて映像化されたのは、1954年のこと。『怪人二十面相』、『青銅の魔人』という2つの映画シリーズが松竹で作られました。当時は1つの作品を30分ずつ数回に分けて、週替りで上映していたようです。

その後、1956年から1959年にかけて、今度は東映が計9本の映画を制作しています。その最終作となる『少年探偵団 敵は原子潜航艇』では、少年たちの後ろ盾となる明智小五郎を梅宮辰夫が演じました。梅宮はこの頃、『遊星王子』(1959年)でヒーロー役を演じており、今のイメージとは違いますが、当時としてはハマり役でした。

一方、テレビドラマでは、1958年に日本テレビ系で「怪人二十面相」が、1960年にフジテレビ系で「少年探偵団」が放送開始となります。この2作品はテレビの黎明期に作られたこともあって、なんと生放送の番組だったようです。そのため、フィルムなどは残されていません。

さらに、1966年に放送された「怪人四十面相」を経て、1975年には日本テレビ系で「少年探偵団」が放送されます。このとき、小林少年を演じたのは、当時人気絶頂だったキャロライン洋子の兄である黒沢浩。怪人二十面相は「帰ってきたウルトラマン」の団時朗(当時は団次郎)というキャスティングでした。最終回のあっと驚くような展開もあって、このドラマは多くの人気を集めたようです。

その2年後の1977年からフジテレビ系で「怪人二十面相」が、1983年から84年には関西テレビで「怪人二十面相と少年探偵団」、「怪人二十面相と少年探偵団 パートⅡ」と、『少年探偵団』はその後も繰り返し映像化されています。

少年探偵団から派生した、数々のエピソード

さまざまなエピソードが、多彩なキャストで映像化されている『少年探偵団』。そこに着想を得たと思われる作品も、また数多く存在しています。

“東映不思議コメディーシリーズ”として制作されたドラマ「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」(1987年・フジテレビ系)、「じゃあまん探偵団 魔隣組」(1988年・同)もその一つです。原作者は『サイボーグ009』などでお馴染みの石ノ森章太郎。それぞれ魔天郎、大怪盗ジゴマという怪盗が登場し、少年たちと丁々発止の対決を繰り広げました。

さらに、『BD~明智探偵事務所~』をほうふつとさせる、フレッシュなメンバーが集まった作品もあります。『新宿少年探偵団』(1998年)は主演が相葉雅紀で、松本潤や横山裕も出演するという、今となっては豪華なキャストが集まった作品。原作はミステリー作家の太田忠司が手掛けており、ミステリーというよりはSFジュブナイルっぽい作品でした。

そのほか、アニメでは「乱歩奇譚 Game of Laplace」(2015年)、「TRICKSTER -江戸川乱歩「少年探偵団」より-」(2016年)、「超・少年探偵団NEO」(2017年)と、3年連続で少年探偵団が登場する作品が登場。

アニメといえば「名探偵コナン」にも、少年探偵団が登場していましたね。ベストセラー作家・東野圭吾の著作には『浪花少年探偵団』という作品があって……。ここまでくると『少年探偵団』をインスパイア”とは少し違いますが、“〇〇探偵団”という名の作品は、まだまだ数多く存在しています。

『BD~明智探偵事務所~』/ (c)2018 「BD~明智探偵事務所~」製作委員会

『少年探偵団』の映像化作品としては、最新作となる『BD~明智探偵事務所~』。物語の舞台となるのは、日本のどこか、いつとも知れぬ時代、稀代の盗賊・怪人二十面相と名探偵・明智小五郎が果てることのない闘争を繰り広げている世界です。

長らく主人が不在となっている明智探偵事務所では、小林少年と井上一郎くん、花崎マユミさんが留守を守っていました。そこに、「娘を探してほしい」という一人の母親からの依頼が入ってきて……。果たして『少年探偵団』たちは、どんな事件に巻き込まれることになるのか? ぜひ劇場で確かめてみてください。

(文/ハーバー南@H14)

【参考文献】
『完全復刻版 少年探偵手帳』(串間努/光文社文庫/1999年)
『江戸川乱歩と横溝正史』(中川右介/集英社/2017年)
『江戸川乱歩映像読本』(洋泉社・映画秘宝ex/2015年)