2018年も俳優・岩田剛典の快進撃が止まらない。EXILE/三代目 J Soul Brothersでの活躍ぶりは言わずもがなだが、今年だけで5本の映画に出演。雑誌、テレビ、映画館で彼の姿を目にしない日はないだろう。そんな岩田の最新作が10月5日(金)公開の『パーフェクトワールド 君といる奇跡』だ。

今作で岩田は、車イス生活を送る建築士の樹を好演。原作とは若干ストーリーが異なる、高校時代の後輩・つぐみ(杉咲花)との恋模様に注目が集まっている。撮影の日々を振り返るなかで“人のことを完全には信用していない”と語った岩田。その言葉の真意とは? アーティスト活動と俳優活動のふり幅のギャップで観客を魅了する岩田剛典の“今”をインタビューで探っていきたい。

樹の暗く閉ざされた心を照らした、つぐみという光

パーフェクトワールド 君といる奇跡

映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』(C)2018「パーフェクトワールド」製作委員会

事故により障がいを負った青年という役どころでした。役作りのために行われたことをお聞かせいただけますか。

原作のモチーフとなった一級建築士で車イス生活をされている阿部一雄さんと、この作品に入る前から何度もお話をさせていただいて、撮影中も現場でアドバイスをもらっていました。普段の何気ない暮らしのなかで不便さを感じるポイント……もっと言うと、具体的な生活そのものというか実態ですよね。車イス生活を送るうえでのリアルな話を直接お聞きして役作りに活かしました。

樹は事故が原因で閉ざしていた心をつぐみには開きます。この理由について岩田さんはどのように分析されていますか?

おそらく、不器用に自分のことを想い続けてくれているつぐみの“一途さ”に折れた感じだと思います。それと、樹にとって事故の後に出会う人は、“障がいを負った自分”というポジションとして接するわけじゃないですか。だけどつぐみは高校時代からの後輩で、昔と変わらない様子でコミュニケーションを取ってくれる。好きな相手に迷惑をかけてしまうことを恐れて“もう恋愛はしない”と決めていた樹にとって、一途で、良い意味で自分を特別扱いしないつぐみは、救世主のように映ったのかもしれないですね。

岩田剛典 パーフェクトワールド インタビュー

良い作品にしたい想いから「人のことも完全には信用しない」

今年だけで本作の他に『去年の冬、きみと別れ』『Vision』『ウタモノガタリ -CINEMA FIGHTERS project-』と多くの作品で活躍されていました。ご自身の演技を振り返ってみて俳優としての弱点はどこだと思いますか?

集中力はあると思うけど、瞬発力はイマイチですね。良くも悪くもいちいち考えてしまうタイプなんです。監督に「こうして」って指示されてもたぶん、その通りにはやらないと思う(笑)。語弊があるかもしれませんが、僕は監督のことも全部は信用していないので、指示された意味がちゃんと理解できていないと行動に移せないんです。そのまんま言われた通りにやった結果、作品にとってマイナスになったとしても責任を取れないじゃないですか。自分のなかでちゃんとかみ砕いて、その言葉の意味や監督の狙いを理解できて初めてやれるんです。だからそういう意味で瞬発力はないのかなと。

そこは岩田さんが貫き通したい部分ですか?

いや、貫き通したいものなんてないです。僕はあくまで良い作品にしたいだけなので。エゴというか作品を想っているからこそ「こんなんでいいのかな」っていう疑問が頭のなかにずっとありますし、「OKをもらえたけどさっきので本当に大丈夫かな」って不安になる。きっとそういう気持ちが常にあるから、人のことも完全には信用していないんだと思います。

もちろん監督やスタッフのほうが僕よりもたくさん悩まれて、作品のことを考えているというのはわかっているんですが、何テイク撮っても実際に劇中で使われるのは1テイクです。だからその1テイクはちゃんと自分が責任を持ったシーンにしなくてはいけないという思いがありますね。

お話を聞いているととてもストイックな印象を受けます。

仕事に関しては妥協できないし、完璧主義者だと思います。常に考えちゃうんですよね。「だいたいこんな感じだろう」っていうのができない。だけど、私生活とか仕事以外の部分は適当ですよ(笑)。

岩田さんの心の拠りどころは何ですか?

先程、“人のことを完全には信用していない”と話しましたが、心が落ち着くときはやっぱり現場で同じ目線で頑張っているスタッフといるときですかね。自分だけじゃ何も形にできないし、人の意見も積極的に取り入れたい。ハードな撮影が続いているときはそこだけを頼りに取り組んでいる感はありますね。

岩田剛典 パーフェクトワールド インタビュー 感想

パフォーマーと俳優を兼業するからこそ、両者に良い結果が生まれる

俳優業と並行しながらEXILE/三代目 J Soul Brothersのパフォーマーとしても活躍し、形は違えどダンスも演技も“表現”をする仕事です。岩田さんが思う両者の共通点とは?

人を楽しませる要素を持っているという点は似ていますが、それ以外だとダンスと演技に共通点はほとんどないと思います。ダンスはただ楽しくて続けたことがたまたま仕事に結びついただけなので。興行としては成り立っているし、仕事をやらせてもらっているという自覚はあるけど、演技と違ってダンスそのものを難しく考えたことは一度もないです。

僕にとって俳優の活動は“新しい道”。俳優のお仕事をさせてもらうなかで、アーティスト活動をしているだけでは出会えなかったような人達と出会えて、表現者としてたくさんの刺激をもらいました。演技もダンスも共通点はほぼないけれど、それぞれの活動を行うことで良い相乗効果を生み出していると思います。

岩田さんの人生に影響を与えた映画は何ですか?

『RIZE』(2005年)です。これは僕がダンスを始めるきっかけとなったアメリカのドキュメンタリー映画で、人生観を大きく変えてくれました。クランプというジャンルのダンスが誕生する背景をリアルに捉え、ファッションやカルチャー面でもすごく影響を受けましたね。冗談抜きで僕の人生を変えてくれた一本で、サントラが流れただけですぐにそのシーンがフラッシュバックするくらいずっと大好きな映画です。

取材・文/近藤加奈子 写真/黒宮丈治