映画大国のインドが放つアクション超大作『バーフバリ』2部作。第一作目『バーフバリ 伝説誕生』(2015年)は、小規模の上映ながらSNSを中心とした口コミで広がり、じわじわと映画ファンの認知度を増加した。そして、続編となる『バーフバリ 王の凱旋』(2017年)で一気に火が付き、その圧倒的スケールのアクションや、強烈な世界観に魅了される人々が後を絶たない。現在も、日本全土に“バーフバリ旋風”が起き続けている。

あらすじ

『バーフバリ 伝説誕生』

赤ん坊の頃、戦いに巻き込まれ滝に残されていたところを、村人に拾われ育てられた青年シヴドゥ。彼は運命に導かれるように滝の上の世界にたどりつき、暴君が支配する王国と戦う女戦士と出会う。彼女と共に戦いに身を投じるシヴドゥは、自分がこの国の王子、バーフバリであることを知る。背景には、祖父の代から続く壮絶な王位継承争いの歴史があった。バーフバリを待ち受ける運命とは──!
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『バーフバリ 王の凱旋』

国母シヴァガミから新国王に指名された勇者アマレンドラ・バーフバリ。やがて麗しく勇敢な姫を妻に迎えるが、王位継承争いに敗れた従兄弟、バラーラデーヴァの邪悪な策略により、王の座を奪われた上に、誕生したばかりの息子にも命の危機が及ぶ。バーフバリと妻子は壮絶な運命にのみこまれていく──。
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前後編の世界興収が400億円を突破!

『バーフバリ』2部作を合わせた製作費は、インド映画史上最高額の43億ルピー(約73.5億円)と言われている。

前編『バーフバリ 伝説誕生』の興行収入は、インド国内で51.9億ルピー(約91億円)、世界興収9800万ドル(約112億円)を記録する大ヒット。その2年後に公開された後編『バーフバリ 王の凱旋』は、待たされ続けた国民の欲求が限界まで達したのか、インド国内だけでも興収141.7億ルピー(約249億円)を記録し、世界興収は2億7000万ドル(約308億円)という驚異的な数字を叩き出した。インド国内では興収歴代1位をはじめ、様々な記録を塗り替えている。

プラナブ・ムカルジー大統領(当時)より、第63回ナショナル・フィルム・アワード 最優秀推薦映画賞を贈られるラージャマウリ監督
Hindustan Times/GettyImages

中でも『バーフバリ 王の凱旋』は、全米でも週末興行成績は初登場3位を記録、批評家サイト「Rotten Tomatoes」でも100%の最高評価を獲得するなど、近年の『PK』(2014年)や、『ダンガル きっと、つよくなる』(2016年)といったドラマ作品ではない、インド発のアクション大作として世界中で注目を集めた。さらに小規模公開から始まった日本でも、現在に至るまで興行収入は伸び続け、ついに2.6億円を突破。日本国内で公開されたインド映画では史上第2位を記録している(※1位は『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1998年)、動員約25万人、総興収4億円)。

世界中の誰もが楽しめる王道アクション

『バーフバリ』2部作は、古代インドの架空の国“マヒシュマティ王国”を舞台に、英雄バーフバリの活躍を描いたアクション叙事詩だ。監督を務めたS.S.ラージャマウリは、インドに古くから伝わる神話的叙事詩「マハーバーラタ」を下敷きに本作の物語を構築したと語っている。

インド国内で小説やドラマ、映画など様々な形で語り継がれてきた馴染み深いストーリーをベースに、三代にわたる家族のドラマ、王位継承を巡る闘い、熱いラブストーリーといった要素を見事なバランスでミックス。そこにインド映画最大の持ち味である、歌と踊りで魅せるミュージカル演出が加わり、豪華絢爛の娯楽大作が完成したのだ。

インドの神話や文化、伝統で彩られている本作ではあるが、物語自体は世界中に存在する貴種流離譚(若い神や英雄が、旅をしながら様々な試練を乗り越え、尊い存在になる説話の型)。

シンプルで力強い王道の物語に加えて、最新CGと演者自身の肉体を駆使する神話的でド派手なバトルシーンは、『300<スリーハンドレッド>』(2007年)のスローモーションや、スパルタ軍の荒々しくもケレン味に満ちた大殺陣回りを彷彿とさせ、ハリウッドのアクション映画と遜色のない出来に仕上がっている。インド映画に馴染みがない人でも身構えることなく楽しむことができるだろう。

留まることを知らないバーフバリ旋風

観客が思い思いのコスプレをし、劇場に光り物や鳴り物を持ち込んで「バーフバリ! バーフバリ!」と叫ぶ“絶叫上映”や、音楽ライブの音響セットで通常以上の大音量で鑑賞する“爆音上映”といった参加型のイベント上映は、チケットが発売されると即完売。

今年4月に来日したラージャマウリ監督は絶叫上映に参加し、「インドでは観客の絶叫で俳優の声はほとんど聞こえませんし、食べ物を投げるのでスクリーンもよく見えません(笑)。でも、日本の皆さんの絶叫は息が合っている。これは世界でも類を見ないので素晴らしいと思います!」とコメントしている。

『バーフバリ』2部作はすでにDVD、Blu-rayでソフト化されているが、劇場には作品の盛り上がりを身近に体感したいというリピーターや、新規の観客が後を絶たない状況が続いている。

『バーフバリ 王の凱旋』ファッションショーにてランウェイを歩く、アヴァンティカを演じたタマンナー
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そんな「もっと、あの世界に浸りたい!」というファンの熱い要望に映画会社が応え、公開から半年後に日本で上映されていた「インターナショナル版」に、カットされたミュージカルシーンや、物語をより深く理解できるシーンが26分も追加された167分の『バーフバリ 王の凱旋〈完全版〉』が公開された。続いて『バーフバリ 王の凱旋〈完全版〉』IMAX版や、前作『バーフバリ 伝説誕生〈完全版〉』も公開され、日本全土に「王を称える声」が鳴り続けている。

広がり続ける『バーフバリ』ワールド

実写映画『バーフバリ』の大成功を受けて様々なメディアミックスが展開されている。

創造主のラージャマウリ監督が自ら製作総指揮を務めるアニメ『バーフバリ 失われた伝説』(2017年〜2018)は、映画では語られなかった前日談が3シーズン、全39話にわたり展開。日本オリジナルのコンテンツとして、『バーフバリ 王の凱旋』のコミカライズも刊行されている。

さらに、最新の話題では、Netflixにて映画のスピンオフ小説『ザ・ライズ・オブ・シヴァガミ』を原作にしたオリジナルドラマの制作が計画中。こちらは映画の舞台でもあるマヒシュマティ王国の国母シヴァガミを主人公に、彼女の人生を巡る物語が語られるという。

2017年のZEE Jaipur Literature Festivalにて、ラージャマウリ監督と
悪役バラーラデーヴァを演じたラーナー・ダッグバーティ、著者のアナンド・ニーラカンタン
NurPhoto/GettyImages

まだまだ終わりそうにない『バーフバリ』旋風。わかりやすい構成と圧倒的なパワーで展開するアクションで、世代を問わず、世界中の誰が観ても面白い娯楽作に仕上がっている。未見の方はぜひとも英雄バーフバリの伝説に触れてみてほしい。

文=SS.Innovation.LLC

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