取材・文=パラソル亭ミス/Avanti Press

公開中の三木聡監督最新作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。主演に阿部サダヲ、ヒロインに吉岡里帆、脇には麻生久美子やふせえり、松尾スズキら三木作品の常連が揃う上に、5年ぶりの三木映画ということもあって公開前から何かと話題の本作。

皆さんは本作に伊能聖子役で出演している女優・片山友希(21)をご存知だろうか。ブレイク必至とかそういう言葉で紹介するのはちょっと違う。けれど、三木監督以外にも名だたる演出家・監督らにすでに一目置かれており、今後の日本映画を支えていく役者になるだろう一人。そんな彼女に話を聞いた。

偶然が必然になって、役者への一歩を踏み出した。

Q:デビューのきっかけは、いつどんな時でしたか?

中学2年の時に三木聡監督の映画を観て、作品の世界観にも役者さんのお芝居にも、どっぷりハマったのがきっかけです。

当時はまだ中学生で、地元・京都にいたので、関西に支社がある芸能事務所の面接を受けたんです。ところが「(この世界は競争が激しいから)キミには無理だよ」と。でも、その時に「もし他の事務所にスカウトされたら、うちの事務所に入れてあげる」と言われました。

その面接の後に、東京に遊びに行く予定があったので、東京でスカウトされてやるぞ!って思いました。

Q:そして、その東京旅行中に、スカウトされたんですか?

はい。原宿の竹下通りを歩いていたら、急にスカウトの人から声をかけられて「もし、芸能界に興味があったら連絡してください」って名刺をいただいたんです。自分でもビックリしましたね。京都に戻って、面接を受けた事務所にこのことを報告したら、約束どおり所属させてもらえました(笑)。

東京で声をかけてくれた方の名刺は、今でも財布に入れて大事に持ち歩いています。

上京を機に、本格的な女優活動を。

Q:役作りはどうしていますか? 現場で、悩んだりすることはありますか?

役作りでは、演じる役柄がどういう人物かとか、こういう喋り方をするだろうとか。まず自分で台本を読み込んで演じています。映画でも、舞台でも、役作りの部分はあまり変わりません。

現場で、自分が想像していたお芝居と、監督が思い描いていたものが違うこともありますが、悩むことは少ないです。監督に演技指導を受けたら、そういう考え方もあるんですねって思えるんです。考え込まない性格なのかもしれません(笑)。

憧れの監督の作品で演じられる喜び。

(c) 2018「音量を上げろタコ!」製作委員会

Q:初めての三木監督作品は、かなり緊張されましたか?

顔合わせの時に、ふせえりさんはじめ、憧れていた役者さんがたくさんいたので、緊張して自分の役名を忘れてしまいました。でも何か言わなきゃと思って「なんかの役の片山友希です」と言ってしまって(笑)。

ふせえりさんが「なんかの役なのね」と言って笑ってくださり、阿部サダヲさんが「伊能聖子役でしょ」とフォローしてくれました。そんな共演者の方々のおかげで、現場の雰囲気もあたたかくて、緊張しすぎることもなくやれました。

Q:上京して2年、振り返ってみていかがですか?

がむしゃらに駆け抜けて来たのですが、憧れの三木監督の作品に出られて本当に嬉しかったです。あと、今年7月にモダンスイマーズという劇団の舞台で主演を経験できたのが、自分にとっては大きかったですね。舞台は、映画やドラマとは違って、本番が何度かあります。毎回、次をどう良くしていくか、他の役者さんたちと考えるのが新鮮で、楽しかったです。

自分にしかできない役を見つけたい。

Q:人気の映画作品や舞台への出演を経て、変わったことはありますか?

舞台では沢山の学びと気づきがありました。あと、先日、廣木隆一監督の『ここは退屈迎えに来て』の試写でスクリーンの中にいる自分を観て、客観的に自分のお芝居をみて納得したというか。自分の中で何かが変わっていく感覚はありましたね。

Q:近い将来、どういう人になっていたいですか? 目標などあれば教えてください。

この世界に入ったのは三木聡監督作品と、その映画に出ていた麻生久美子さんがきっかけでした。役者としてはもちろん、人としても麻生さんのような素敵な女性になりたいと思います。将来の具体的なことは、まだ手探りですが、役者を続けていく中で、自分にしかできない役を見つけたいですね。

(撮影:東 京祐、スタイリスト:山口香穂、ヘアメイク:鷲塚明寿美)