映画『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』『ゴーストバスターズ』などのメリッサ・マッカーシーが、実在した詐欺師に挑戦した話題作『キャン・ユー・エヴァー・フォギヴ・ミー?(原題) / Can You Ever Forgive Me?』について、10月13日(現地時間)、ニューヨークのザ・ウィットビー・ホテルでインタビューに応じた。

 本作は、伝記作家リー・イスラエルが詐欺をはたらいた実話を描いた作品。エスクワイア誌に大女優キャサリン・ヘプバーンを取材した記事が掲載され、70年代にはセレブの生涯をつづった伝記本でベストセラー作家の地位を得ていた作家のリー(メリッサ)。しかし、化粧品ブランド「エスティ ローダー」の設立者エスティ・ローダーと伝記本をめぐって衝突したことから彼女の人生は転落し始め、詐欺師になっていく。映画『ミニー・ゲッツの秘密』(日本未公開)のマリエル・ヘラーが監督を務めた。

 リー・イスラエルを演じる上で行ったリサーチは、非常に困難だったとメリッサは語る。「彼女が2014年に亡くなってから、まだそれほどたっていないし、最初はたくさん研究ができると思っていたの。ところが彼女の性格は、人が彼女の人生に入ってくることを好まず、自ら進んで人を招き入れることもなかったの。つまり今日のSNSのように、日々全ての瞬間を記録として残す習慣がなかったから、彼女の写真とビデオはほとんど残されていなかったのよ」。

 今作のプロデューサーであるデヴィッド・ヤーネルは、リーとは20年来の(数少ない)知人で、彼はあまり乗り気じゃなかったリーに、自伝を書くように勧めた人物。もう一人のプロデューサーのキャリー・ラディガンは、リーの自伝を映画化しようと、何度もリーと食事をしていたそうだ。「キャリーがレストランでリーと待ち合わせすると、リーは必ずキャリーが来る前に座っていて、お酒を飲んでいたそうよ。食事が終わると、勘定が来る前に席を立って帰ってしまう。そんな話をデヴィッドやキャリーから聞いて、役作りしていったわ」と明かした。

 リーが詐欺行為に走ってしまった原因については、「人は集中力が途切れると、自分を見失うことがあると思うの。加えて、リーのような無愛想な外見だと、(客観的に)自分を見ることができなくなっていたんだと思うわ。彼女は、『なぜわたしは仕事を失っているの?』とか『なぜわたしの才能は過小評価されているの?』と葛藤していて、人を怒らせてしまっていることさえも気付いていないのよ。だから、『自分は今何をしているのか?』と問いただして、どこかで自分を見つめ直すことができず、世界は自分に反対していると感じていたのだと思うわ」と見解を語った。

 ヘラー監督については、「今までやったことないけれど、もしマリエルが『わたしのために書いた脚本がある』と言ったら、読む前に出演を決められるぐらい彼女は素晴らしい監督だと思っているわ」と称賛するメリッサ。「彼女の監視下だからこそ、落ち着いて仕事ができたの。あるシーンで何かが起きたり、自然な流れで変わったりしても、彼女はOKだったし、クルーとも心地よいトーンで話すから、わたしたちは彼女が導く方向についていけたわ」と撮影を振り返った。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)