『シンデレラ』(2015年)や『美女と野獣』(2017年)など、実写作品での大ヒットも記憶に新しいディズニー。最新作『くるみ割り人形と秘密の王国』(公開中)は、チャイコフスキー作曲の名作バレエで知られる「くるみ割り人形」を映像化した大作ファンタジーです。本作の魅力と共に、ディズニーの創始者であるウォルト・ディズニーと「くるみ割り人形」の関係を紹介します。

意外と聞きなじみのある「くるみ割り人形」

(C)2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『くるみ割り人形と秘密の王国』の原作は、1892年に初演されたバレエ「くるみ割り人形」です。

このバレエ作品は、「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」と並んで“チャイコフスキー三代バレエ”の一つに数えられています。作品名を聞くだけではピンとこないかもしれませんが、8曲から成るバレエ組曲「くるみ割り人形」の楽曲は日本のCMでも頻繁に使用されるなど、我々の生活にも深くなじんでいます。

「葦笛の踊り」がSoftbankのCMで使用されているのをはじめ、「行進曲」や「花のワルツ」、「金平糖の精の踊り」といった楽曲もあらゆる場面で聞くができるはず。曲名を知らずともその音色を聞けば、“ああこの曲か”と納得することでしょう。

ウォルトとチャイコフスキーの深い関係

(C)2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

日本人にも耳なじみのある数々の名曲を生み出したチャイコフスキー。この大作曲家に光を当てたのは、他でもないウォルト・ディズニーその人でした。

ウォルトは1940年のディズニー・アニメーション『ファンタジア』で、クラシック音楽とアニメーションの融合に挑戦します。

ウォルトをはじめとしたディズニーのスタッフは、100曲以上のクラシック音楽の中から、ベートーヴェンの「田園交響曲」やシューベルトの「アヴェ・マリア」といった名曲とともに、「くるみ割り人形」を選曲。アメリカでは、まだ「くるみ割り人形」の全幕が上演されていないにも関わらず、ウォルトはチャイコフスキーの楽曲に着目し、それまで誰も見たことのない、アニメと音楽の融合を成功させたのです。

『ファンタジア』の公開後となる1944年、アメリカでもようやく「くるみ割り人形」の全幕が上演されます。その後、1959年にウォルトはディズニー・アニメーション『眠れる森の美女』を製作。チャイコフスキーの楽曲に魅了されたウォルトは、本作でも彼の音楽を使用し、何度も再公開される名作に仕上げています。

(C) 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

『くるみ割り人形と秘密の王国』の壮大な世界観

ディズニーとチャイコフスキーの約80年にわたる縁が結実したとも言える『くるみ割り人形と秘密の王国』は、愛する母を亡くし心を閉ざした少女・クララが主人公の冒険物語です。

ある日、クララは「雪の国」「花の国」「お菓子の国」「第4の国」からなる「秘密の王国」に迷い込むことに。そこで彼女は“プリンセス”と呼ばれ、戸惑いながらも危機に瀕した王国を守るための戦いに身を投じて行きます。それは母がクララに残したメッセージを探す大冒険の始まりでした……。

(C) 2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

本作のポイントは、「くるみ割り人形」を息をのむ美しさで表現した、幻想的な世界観。特に、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)でアカデミー衣装デザイン賞を獲得したデザイナーが手がける、4つの国の特徴を取り入れた独創的な衣装の数々は必見です。

美しい映像と珠玉の名曲でつづられる『くるみ割り人形と秘密の王国』。ウォルトとチャイコフスキーの縁にも想いを馳せながら、本作を鑑賞するのもオススメです!

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)